そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

自民党帰りで農政はどうなるか?

2013-01-29 | 政治と金

民主党が出した政策で最も評判のよかったのが、農家への戸別所得補償制度である。お金まみれに苦しんでいる農家ばかりを、自民党農政は支援した。農業生産は、大きければいいというものではない。

規模拡大すると、経営も生産スタイルも工業的発想の生産形態になり、農薬や化学肥料や機械に頼らなければならなくなる。有機農業などには全く向いていない。

民主党は小沢一郎の提案を、元農水官僚の篠原孝が中心になって、金額は減らされながら作った制度である。変動する価格に応じて支援するため、規模の大小は関係なかった。むしろ健全な経営でも、総量が小さなために苦しんでいた農家が救われた。

再度の政権交代で自民とは、この制度をなくす方針のようである。「意欲のある農家」を支援するとのことのようである。意欲のある農家の評価は、規模拡大である。規模拡大すれば、お金が盛んに出回り、設備投資が増え、生産量が増え、GDPが高くなる。

しかし、問題のある食べ物が生産されることになったり、環境が汚染されたり、農家や消費者の健康が問題になったりする。

今回農水大臣になった林芳正は、TPP推進論者である。総裁選を戦った相手に、自説を曲げるかどうかの困難を安倍はぶつけたことになる。早速、林はアメリカ産牛肉の輸入を開放した。

農水予算はわずかに増額されているが、全体に公共投資で膨らんだ来年度予算のなかで、減らされた感が強い。

安倍政権は、食糧に対する見解をどこにも述べていない。食糧の自給については何の関心もないようである。気候変動や人口増加、何よりも経済大国になった中国が世界に食を求め始め、世界の食糧事情が大きく変化している。

新自由主義者の議員たちは、食糧を単に商品としての認識しかなく、付加価値を付けることにしか興味がない。農業の現場は、転換する農政に気をもんでいる。

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