経済財政諮問会議が召集され、アベノミックスが動き始めた。アベノミックスとは、安倍とエコノミックスをつなげた造語である。安倍首相が打ち出した、金融緩和・財政出動(公共投資)・円高誘導・インフレターゲット2%などの経済対策の、通称でもある。
現在のところ株価の上昇など、肯定的な動きが見られる。然し仮に景気が上昇したとしても、賃金に反映されるのが早くても一年先である。その間に、労働者は上がらない賃金で、上昇物価を受け止めなければならない。
その一年先の賃金が上がる要因ができた時には、消費税の3%アップが待っている。8%の消費税はこうした動きに水を差すことになる。企業側は、再度内部留保に向かい、労働者に還元されることはないだろう。
そもそもデフレとはなにか? どうして起きたのかを考えなければならない。企業は競争によって凌ぎ合うことで価格を下げ、消費者に貢献するというのが、新自由主義の基本理念である。小泉はこれに忠実の従った。
商品価格が下がり、労働者単価まで下がり雇用関係も浮ついたものになった。正規雇用者を減らし、賃金が下がったことで、購買力が下がり商品が売れなくなった。非正規雇用者が20%を超え、200万円未満の労働者が200万人を超え、年金未払い者が増加している。不安定な雇用関係が、社会不安を起こしていいる。これが現在日本に起きているデフレの実態である。
小泉時代は戦後最長の好景気時代であったが、庶民はそれを実感していない。事業実績が上がっていたが、労働者に還元されることはなかったからである。企業内留保が200兆円を超えるとされている。
20兆円もの財政出動は、国債発行で補うとされるが、財政悪化が進行するのは火を見るより明らかである。税収増でこれを補う腹積もりであろうが、税制破たんの原因が、公共投資であったことを自民党は忘れてしまっている。
安倍が倣ったと思われる、レーガンの「レーガノミックス」は、通貨流通量の制限や大幅減税による需要の喚起や福祉削減や軍事拡大であった。強いアメリカがの存在が際立ち成功したかに見えたが、結局は双子の赤字を生む結果になっている。
アベノミックスも、類似の経過をたどることになるあろう。恩恵を受ける大企業はこれを歓迎し、最後まで評価するであろう。結局は国民には福祉の切り捨て(小泉がやったように)、雇用不安、地方の切り捨てと疲弊、農業の衰退、軍事増強そして、財政規律の悪化の進行が残ることになる。
少子高齢化になった経済成長を遂げた国家が採る政策とは程遠い、アベノミックスは将来に、現在以上の大きな不安と負債を残すことになるであろう。