
どこかで見た記憶があったと思ったら、BSE発生時のスカタン発表を繰り返した、農水省政務次官だった男である。BSE発生が確認される2か月前にわざわざ、「日本での発生はあり得ない」と発表した政務次官である。その会見50日後に発生が確認されたが、イギリスまで再確認に行かせた男である。渋々発表したのは、2001年9月10日である。
この元政務次官が、家庭内暴力を振るう引きこもり気味の44才にもなる息子を、メッタ刺しして殺害した。自分も殺されるかと思ったとか、川崎事件のようなことを起こさないか不安だったということである。
ふと思い出されるのが、4月に起きた池袋ひき逃げ暴走事件である。元通産相高級官僚の人物が起こした事故であるが、最初の母子を轢いたことで、逃げようと思ったのであろう。一層加速してさらなる事故を重ねたのである。事故処理など被害者には無関心で、息子にアクセルを踏み間違えたと即座に連絡している。事故の言い逃れのアリバイ工作に思えてならない。
彼らなら平気でそんなことはやってきた。今回はお世話になったと思われる後輩官僚が何やら暗躍しているようである。もみ消しをするつもりなのか。
お役人特に高級官僚の机上論には、一般人とはかけ離れた長けたものがある。制度や法律それに組織を作ったりすることは得意技である。知識も幅広く圧倒される。
しかし現実論となるとこの程度のことも知らないのかと思うことに何度も遭遇する。お役人にとって、現実社会こそが浮遊する社会である。論理こそが優先的に正しく、論理にそぐわない現実があれば現実を否定するのである。
この国は良く悪くもこうした優秀な官僚が辣腕を振るってきた歴史がある。今その質的劣化も安倍政権が加速させている。