
金融庁の金融審議会が発表した「高齢社会における資産形成・管理」の報告書であるが、このなかで“100年安心プラン”とうたわれていた年金について「年金だけでは老後の資金を賄うことができないために95歳まで生きるには夫婦で2,000万円の蓄えが必要になる」と述べている。
これほど無責任な発言はない。明らかな失政である。国民と約束したことが果たせなかったのである。詫びるのが先であろう。政権に不利になるようなことには言及せず、預貯金ゼロが増加する現役世代に「つみたてNISA」や「iDeCo」などを用い資産形成するよううながし、
「今のうちから考えておかないかんのですよ」などと持論を展開する麻生太郎坊ちゃまの発言は、政権トップの言葉とは思えない。
そもそも年金を積み立て方式から、単年度の収支で支払う賦課方式にかえて、資産運用して儲けで年金原資を増やそうとした判断が誤りであった。年金には積み立てた俺の金があるから受け取るのは当然と思うのは間違いである。
積立金管理運用独立行政法人(GPIF)はこのように主張している。「この積立金を市場で運用し、その運用収入を年金給付に活用することによって、将来世代の保険料負担が大きくならないようにしています」と述べている。儲けることしか考えていない、いわばバブル時代の思想で、年金運用するというのである。
実態はバブル崩壊や無責任な運用失敗で、GPIFが資金を減らしたのである。当初は利回りは低いが安全な国債などをが中心であったが、団塊の世代などが現役でどんどん増える資金が巨大化するのを、時のバブル思想でリスクの高い投資を繰り返した。
GPIFは豊富な資金を背景に、アベノミクスの貢献のため株高を演出も行っている。ギャンブルのような投資で、2015年度には中国株が暴落し5兆円の運用損を負い、2018年には10月の世界同時株安の影響を受けて、15兆円もの損失を出している。
ポンコツ戦闘機を購入する金の一部を回すだけで、年金の問題は見事に解決する。そうした考えもなく、麻生太郎の「お前ら金貯めとけ」は暴論以外の何物でもない。