年金だけでは65才から暮らせないという、漠然とした思いはだれしも持っていたはずである。それを明らかにしたのが、金融庁の金融審議会が発表した「高齢社会における資産形成・管理」の報告書である。麻生太郎はそれを蹴飛ばし、なかったことにしようとした。財務大臣の行った事実の隠ぺい工作であるが、この金満坊ちゃまは年金を受け取ていないようだ。ようだというのは年間の飲み代が2000万円を超える79歳の本人にしてみれば、年金の金額など眼中になく、詳細は不明だとのことである。この男に年金を語る資格があるのか。年金の重要性を論じる感性があるのだろうか。
この報告書が示した問題は年金だけではない。さらに年金額が落ち込む現役の40代は17%が、さらに減額される30代になれば25%が預貯金ゼロ世帯である。この世代は2500万円と3000万円の預金が必要となるのでないか。この世代にもっと金を貯めとけというのである。
アベノミクスで好景気が続いているというのは、金融資本主義を評価する指標による判断である。実態は上の表のように、非正雇用者の増大で一方的に減少している。企業の蓄えは見事に増加している。
この20年で時給は先進各国は5割増から倍増しているが、日本だけがマイナスになっている。どこかで増えている方々はいるようであるが、5割にもなった非正規雇用がこれを下ている。つまり格差の進行こそがアベノミクスの本態である。
もう一つの問題は、積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、膨大な資金を背景に市場に参入して株価の下落を支え円安を演出する役目を担って、アベノミクスがあたかも成功したかの如く演じたことである。
格差社会の演出は貧困層の増大による、社会資本の薄さと不安をも増大させた。少子高齢化が進行する日本が決して選択してはならない、やれ行けドンドン政策の極みがアベノミクスなのである。