TPP交渉が姿かたちが見えないまま、何やら行き詰りながらも形を見せそうで見えてこない。聞こえてくるのは、タフな交渉だとか、真剣な話し合いだとか、最終段階だとか形容詞で飾られた言葉ばかりである。中身がない。
そもそも、TPPはオバマが景気浮揚・雇用創出を掲げて打ち出した、多国間協議の貿易交渉である。アメリカの内政問題の対策として、オバマは打ち出したに過ぎない。根回しもなく。
関税撤廃を求める多国籍企業が、積極的である以外の動きなど元々ないのである。
そのアメリカであるが、失業率も比較的安定し、何よりも中国に依存した経済が順調で景気が良くなってしまった。何かと問題が国内外に噴出して、止まらないTPPなど関心がなくなってしまった。
2期目後半にはどの大統領も陥る、レイムダックと言われるほとんど機能しない時期にオバマはいる。オバマの場合は特別で、二期目になった途端に、この状況に落ちっいっている。何の外交成果もなく、政治的には対峙する中国とは、経済的な結びつきが強く政治的動きは何も取れない。
現実を知った、アメリカの農家は日本の農家を応援している。(左は東京新聞の記事である)その農業の基盤となるのが地方であるが、安倍政権がTPPを進めれば、今国会で大見え切った「地方の創生」など一気に吹っ飛んでしまう。主要5品目とはそうした意味を持っているのである。
安倍はできるだけこの交渉は、長引かせる方が得策だと思っている。おあつらえ向きに、自民党でTPP担当にした風に吹かれると、そのまま動いてくれる西川公也を大臣に据えることができた。
財界には今にも妥結するようなしぐさを見せ、農業団体などにはタフな交渉をしているふりを見せることができるからである。
然しその中身はとなると、アメリカがすでに交渉に秋波を送っているのが実態である。中間選挙後に、TPPはなくなるかそれに近い形で終わることになるかもしれない。この騒ぎの中で、農業の実態と重要性を知ってもらう機会になったのがせめてもの救いであろうか。