昭和の妖怪岸信介がまたしても、日本の外交史の裏工作で暗躍した事実が、外交文書公開で判明した。沖縄返還の5年前の、岸に対するマクナマラ長官の恫喝である。
当時は、冷戦真っ最中でアメリカは、自作自演のトンキン湾事
件を理由に、北ベトナムの空爆まで行っていた。泥沼になったベトナム戦争の、沖縄はその最前線基地であった。マクマナラは
「日本が米国の基地保有を欲しなくなった日から、一日も早く沖縄に米銀がいるべきではない」さらに「米軍は日本と東南アジアの前進防衛のためにこそ沖縄にいる。日本が米国の存在を欲しないなら、日本に防衛の責任を引き継いでもらい」と発言していた。
自主防衛論者の岸の足元を見透かすような、マクマナラの発言である。自民党政権がそんなことができないのははっきりしている。
当時の沖縄県民は誰しも、本土復帰を願っていた。そして、本土復帰は同時に、米軍基地の撤退をも意味していた。
岸はあえて、マクマナラからこの発言を引き出したのではないか。それは、米軍の駐留を容認することをも意味していた。
A級戦犯でありながら、政界に復帰し日米安保条約を強引に結んだ、昭和の妖怪岸信介ならやりそうなことである。
こうして沖縄返還は、岸の弟の佐藤栄作によってなされるのであるが、のちに判明する数々の密約の根っこになる事実である。