昨年の今ごろ日本中は大騒ぎだった。多くの日本人はそれが何かも、すでに思い出すことさえ困難になっているだろう。穀物が高騰しピークを示したのが、08年の3月であった。この時の価格は、05年に比してほぼ4倍になっていた。
穀物の高騰を受けて、日本中の畜産農家が大騒ぎをした。多くの消費者は穀物高騰と畜産の関係に無知であった。このブログで何度も書いたように、日本の家畜はアメリカの穀物を消費するために飼育されている。アメリカの支配下にある。飼養方法や給与、買い付けや供給について仔細に、アメリカは日本の畜産農家を制圧してる。そのことを間接的に消費者は知るきっかけになった。
穀物高騰は、大量の投機マネーが石油から穀物へと移行したためである。投機マネーとは、新自由主義によって後押しされた、市場を席巻したマネーである。ヘッジファンドなどの実体のないマネーが、石油の高騰であらゆるものを買い漁ったためである。
穀物の高騰は、穀物がなくなったためではない。買い占められたためである。畜産物については、消費者にそのつけを回した。20年ぶりに牛乳の価格が上がった。同時に、金融危機が起き多くの実体のない投機マネーが破綻し、穀物価格は急落した。お陰で、ほかの畜産農家も同じであろうが、酪農家は昨年は経営は安定した。
日本では消費者につけを回すことで乗り切ったのである。もう一つ、今までは円が高くドルが安かったので、金の力でこうした事態になると解決してきたのである。つまり、世界の穀物価格を引き上げ貧国の供給量を抑えながらも、日本は世界中から買い漁ることができた。ドル安はともかく、円がどれほどの力を持つかはともかく、日本が中国に世界第二の経済大国の地位を明け渡す事態になっても買い漁れるかは疑問である。
世界各国は、昨年の食料危機を受けて様々な取り組みをしている。ブラジル、アルゼンチン、インド、ベトナムなどは穀物の輸出規制を強めている。中国は食糧備蓄を高め地方(農業)振興に力を入れている。アメリカは余剰穀物を買い占める生産振興を行っている。日本は、生産構造にも量にも質にも全く関わることなく、価格いついての論議を行っているだけである。
昨年日本のあらゆるお店から「バター」が消えた。買うこともできなかった。穀物が下がり乳価が上がり生産量が伸びたので、バターがだぶついている。また酪農家は強制的にバターを買わされることになる。日本の農業政策に係わる政治家も官僚も、昨年の穀物高騰から何も学んでいない。
左にフォトアルバム<知床の最高峰羅臼岳>を、アップしました。
知床の最高峰羅臼岳の写真、四季折々の表情を見せていただきました。花の季節も 紅葉の季節も 夏の残った雪もどれもがもっとたくさんの写真が見たくなりました。北海道の山登ってみたいです。