今日の朝日新聞朝刊
社説・声欄などと一緒の紙面
「風」というコーナー、石合力さん(中東アフリカ総局長)の記事です。
タイトルは
ービンラディン後の中東「日本ブーム」対話求める好機―
今、サウジアラビアでは日本ブームが起きている、らしい。
ブームのきっかけは、サウジのバラエティ番組。
ラマダンの時期に毎日15分30回連続で日本を特集した番組にある、と。
その番組をみたサウジの人たちにとって、日本の学校では、児童が給食の給仕や教室の掃除をしながら規律を身につけている姿は、出稼ぎ外国人任せのサウジの人の目には驚きだった。
アブドラ国王が、この番組にいたく感銘を受けて、衛星放送の放映後は教室の清掃を取り入れ始めたとか。
また「東京の正直さ」という特集では、落し物の財布を見つけたとき人はどういう行動をとるか、という試しとして、東京の公園と、中東のある都市で実験した映像を流した。東京では、拾った親子は交番に届け、中東のケースは中身を抜き取って財布を捨てるという違いがテレビから流れた。…「やらせ」を疑う声すら出たそうだ。
リポーターの一人は、この番組が注目を集めた理由として
「この国では多くの人が、イスラムこそが最高の宗教だと思っている。でも、聖典コーランが説く誠実さ、清潔さといった価値観をどの国よりも体現しているのが、イスラムとは無縁の日本だった」と。
イスラムの伝統を守りながら、経済発展を目指したい中東諸国にとって、伝統文化を持ちながら先進国になった日本はモデルケースなのだ。
そんなサウジ側の思いや期待は、必ずしも等身大で日本側には伝わっていない。ビンラディン容疑者の死を受けて、異教徒、異文化に対する「寛容」の精神をどう深めていくべきか。そのとき、日本に果たせる役割は何か。中東イスラム世界に対して独自の「文明間外交」の構想力を築くことは資源外交、経済外交を進める上でも役立つはずだ。
通り一遍の表層的判断をしている部分が多いのだろう。「きちんとイスラムを知る」ことも大切なのだと、気づかせてくれる紙面だった。
社説・声欄などと一緒の紙面
「風」というコーナー、石合力さん(中東アフリカ総局長)の記事です。
タイトルは
ービンラディン後の中東「日本ブーム」対話求める好機―
今、サウジアラビアでは日本ブームが起きている、らしい。
ブームのきっかけは、サウジのバラエティ番組。
ラマダンの時期に毎日15分30回連続で日本を特集した番組にある、と。
その番組をみたサウジの人たちにとって、日本の学校では、児童が給食の給仕や教室の掃除をしながら規律を身につけている姿は、出稼ぎ外国人任せのサウジの人の目には驚きだった。
アブドラ国王が、この番組にいたく感銘を受けて、衛星放送の放映後は教室の清掃を取り入れ始めたとか。
また「東京の正直さ」という特集では、落し物の財布を見つけたとき人はどういう行動をとるか、という試しとして、東京の公園と、中東のある都市で実験した映像を流した。東京では、拾った親子は交番に届け、中東のケースは中身を抜き取って財布を捨てるという違いがテレビから流れた。…「やらせ」を疑う声すら出たそうだ。
リポーターの一人は、この番組が注目を集めた理由として
「この国では多くの人が、イスラムこそが最高の宗教だと思っている。でも、聖典コーランが説く誠実さ、清潔さといった価値観をどの国よりも体現しているのが、イスラムとは無縁の日本だった」と。
イスラムの伝統を守りながら、経済発展を目指したい中東諸国にとって、伝統文化を持ちながら先進国になった日本はモデルケースなのだ。
そんなサウジ側の思いや期待は、必ずしも等身大で日本側には伝わっていない。ビンラディン容疑者の死を受けて、異教徒、異文化に対する「寛容」の精神をどう深めていくべきか。そのとき、日本に果たせる役割は何か。中東イスラム世界に対して独自の「文明間外交」の構想力を築くことは資源外交、経済外交を進める上でも役立つはずだ。
通り一遍の表層的判断をしている部分が多いのだろう。「きちんとイスラムを知る」ことも大切なのだと、気づかせてくれる紙面だった。