前2つの記事より先に見たので、既に忘却気味ですが、記憶をたぐりながら書きます。
某藩の青年侍の話。
学問好きな律儀な青年の融通が利かない理由からか、閑職に配置転換されてしまう。
そのことで腐った気持ちもあったのか、遊郭に通うようになり、好いた女性ができる。
身分違いの相手との密会を咎めた、幼馴染の侍同士で、なにを思い込んだか、ある日果し合いとなり、刀を抜く。
このことが発覚して、息子の咎の責任を取って父親は職を辞し、息子は国許から江戸へやられる。
場面変わって、遊郭の女は青年侍が江戸に立った後まもなく、身ごもっていることがわかる。
ある晩、職を辞してひそかに暮らしている父親の屋敷の前に、生後5か月の赤子が置き去りにされている。
門前に捨てられていた赤子には、一時も早く、乳を飲ませてくれる女が必要である。
乳の出る女性を探したところ、婚家に子供を置いて離縁となった女性がいる、とひとりの農民風の女が連れられてきた。
子どもが乳離れするまで、という条件で、その家に雇われることになる。
その女は、奥の部屋で赤子の泣き声を聞きつけると、無遠慮にも飛び込んで行ってしまう。
一心不乱に、乳を飲ませ、かいがいしく世話をする。
病にかかると、寝ないで看病する、と言った日々が続く。
乳離れするころに、赤子は天然痘にかかる。
ひっかくと傷跡が残る、となると、寝ないで何昼夜も子どものそばを離れない、というありさま。
治ったから、と言って、彼女はその子供のそばを離れがたい。
御武家の奥様はいう。この子は侍として育つのだから、あなたのように読み書きもできないものに、育児を任せておくわけにはいかない。
もし、この家に残りたいと願うなら、あなたが読み書きを覚える覚悟はあるか、と尋ねる。
勿論、ある、と応じる。
それから、読み書きの特訓が始まり、子どもと漢文を読み合わせをするまでになる。
そのような年月を送ること8年(?)。
息子と果し合いをした若者が訪ねてきて、江戸行を命じられた息子のその後の報告を受ける。
もともと学問好きだった息子は、昌平坂の学問所の講師を務めるまでに学問をきわめており、今度、殿様の藩への帰国の時に供をして帰国することになっている。だから、息子を喜んで受け入れてくれ、という申し出だったのです。
息子の不義理に免じて、職を辞してひっそりと暮らしてきた夫婦には、思わぬ吉報でした。
子守女も、この話は嬉しい話です。でも、身分違いはいかんともしがたく、8歳に育った子どもとも別れの時が来た、と察して屋敷を出ていきます。
この女の気持ちを察した夫婦は、子どもの手を曳かせて、江戸から帰国した息子侍の前に押し出すのです。
御武家の奥様は、言います。
いつごろからか事情はわかっていました。夫も知っています。そういうこともあって、あなたに厳しく教育をしなくては、という思いがあったのです。それをあなたはしっかりと乗り越えてくれました、と。
江戸帰りの息子侍との距離が近づいたところで、END。
某藩の青年侍の話。
学問好きな律儀な青年の融通が利かない理由からか、閑職に配置転換されてしまう。
そのことで腐った気持ちもあったのか、遊郭に通うようになり、好いた女性ができる。
身分違いの相手との密会を咎めた、幼馴染の侍同士で、なにを思い込んだか、ある日果し合いとなり、刀を抜く。
このことが発覚して、息子の咎の責任を取って父親は職を辞し、息子は国許から江戸へやられる。
場面変わって、遊郭の女は青年侍が江戸に立った後まもなく、身ごもっていることがわかる。
ある晩、職を辞してひそかに暮らしている父親の屋敷の前に、生後5か月の赤子が置き去りにされている。
門前に捨てられていた赤子には、一時も早く、乳を飲ませてくれる女が必要である。
乳の出る女性を探したところ、婚家に子供を置いて離縁となった女性がいる、とひとりの農民風の女が連れられてきた。
子どもが乳離れするまで、という条件で、その家に雇われることになる。
その女は、奥の部屋で赤子の泣き声を聞きつけると、無遠慮にも飛び込んで行ってしまう。
一心不乱に、乳を飲ませ、かいがいしく世話をする。
病にかかると、寝ないで看病する、と言った日々が続く。
乳離れするころに、赤子は天然痘にかかる。
ひっかくと傷跡が残る、となると、寝ないで何昼夜も子どものそばを離れない、というありさま。
治ったから、と言って、彼女はその子供のそばを離れがたい。
御武家の奥様はいう。この子は侍として育つのだから、あなたのように読み書きもできないものに、育児を任せておくわけにはいかない。
もし、この家に残りたいと願うなら、あなたが読み書きを覚える覚悟はあるか、と尋ねる。
勿論、ある、と応じる。
それから、読み書きの特訓が始まり、子どもと漢文を読み合わせをするまでになる。
そのような年月を送ること8年(?)。
息子と果し合いをした若者が訪ねてきて、江戸行を命じられた息子のその後の報告を受ける。
もともと学問好きだった息子は、昌平坂の学問所の講師を務めるまでに学問をきわめており、今度、殿様の藩への帰国の時に供をして帰国することになっている。だから、息子を喜んで受け入れてくれ、という申し出だったのです。
息子の不義理に免じて、職を辞してひっそりと暮らしてきた夫婦には、思わぬ吉報でした。
子守女も、この話は嬉しい話です。でも、身分違いはいかんともしがたく、8歳に育った子どもとも別れの時が来た、と察して屋敷を出ていきます。
この女の気持ちを察した夫婦は、子どもの手を曳かせて、江戸から帰国した息子侍の前に押し出すのです。
御武家の奥様は、言います。
いつごろからか事情はわかっていました。夫も知っています。そういうこともあって、あなたに厳しく教育をしなくては、という思いがあったのです。それをあなたはしっかりと乗り越えてくれました、と。
江戸帰りの息子侍との距離が近づいたところで、END。