詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

「新冷戦」とはしゃいでいるときなのか。

2021-04-18 08:17:09 | 自民党憲法改正草案を読む
読売新聞が「新冷戦の日米同盟」という連載を始めた。
日米共同宣言で「台湾の平和」へ介入することをもりこんだことによるものだ。
「冷戦」時代とは、台湾が「中国」として国連に加盟していた時代のことだ。
いまは台湾は「国」ではない。これは、日本政府も認めている。中国の「一地域」だ。
たとえて言えば、香港や新疆ウイグルと変わりはない。
問題があるなら、香港や新疆ウィグル政策に対して言論で批判するのと同様、台湾海峡問題についても言論で批判すればいい。自衛隊を派遣するための「共同声明」など必要はない。
台湾海峡ではなく、香港、新疆ウィグルの「平和」のために日米が共同で軍事行動を起こす(準備する)と共同声明に明記したら大問題だろう。
なぜ、台湾だけ、「例外」にするのか。
アメリカにとって、台湾は、ケネディ・フルシチョフ時代(冷戦時代)のキューバなのだ。(日本も、アメリカにとってはキューバなのだ。)中国へ軍事的圧力をかけるための「基地」にすぎないのだ。
このアメリカの世界戦略に、菅は、安倍路線を継承したまま乗っかっている。
アメリカの言い分にあわせてアメリカから軍備を買えば、自分の地位を守ることができるからだ。つまり「私欲」のためだ。
日本と中国の関係はとても重要だ。
10年以内といわず、5年以内に日本人は中国に出稼ぎにいかないと生きていけない。
日本の格差社会は、資本主義経済の末期的症状そのものだ。日本で「非正規雇用」で搾取されるよりも、きっと中国で出稼ぎをする方が楽に金を稼ぐことができる。出稼ぎ先から日本へ仕送りをするという生き方から、中国へ移民して生きなおすという人が増えてくるだろう。
そんな中国を相手に、「台湾の平和」を口実に、軍事介入をちらつかせるというのは、日本人の生き方そのものを破壊することになる。
それに。
この「新冷戦時代」への逆行は、さらに時代を逆行させるだろう。
「冷戦」がはじまる以前、つまり、太平洋戦争時代、台湾とはどういう「場」だったか。
日本が侵略し、支配していた。亜細亜への侵略の「拠点」とさえ呼べるだろう。中国語をうばい、日本語を押しつけさえしている。
「台湾有事」のときは、きっと同じことが起きる。
いや、同じことをしたいために「台湾有事」を期待している人がいるに違いないのだ。
台湾を拠点に、ふたたびアジア近隣諸国への侵略、植民地化を狙っている人間が、菅や安倍を利用している。
いま、アジアのいちばんの問題はミャンマーだろう。
国連安保理さえ開かれている。
展開次第では難民が続出する。
ミャンマーの平和(安全、民主主義)を放置しておいて、「台湾の平和」を言っているときなのか。
「新冷戦」などと言っているときなのか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「台湾危機」

2021-04-17 20:57:00 | 自民党憲法改正草案を読む
読売新聞の、この記事。西部版(4版)の見出しは、
日米「台湾の平和」明記 共同声明
となっている。
見出しを読みながら、私は瞬間的に「台湾危機」ということばを思い浮かべた。
「キューバ危機」はケネディ・フルシチョフ時代にあった。
ソ連がキューバにミサイルを持ち込もうとした。もちろんミサイルの照準はアメリカ。
今度はアメリカが台湾(海峡)にミサイルを持ち込む代わりに「日本の自衛隊」を派遣しようとしている。
中国と台湾の間に、どんな緊張があるか。
それは香港、新疆ウイグル問題のような深刻なものか。
さらには、いま、東南アジアでいちばん緊張が高まっているのはミャンマー問題だろう。
そうした問題を押し退けて「台湾海峡」を取り上げ、共同声明に明記するのは、どういう目的だろうか。
私には「台湾危機」をつくりだすことで、日本にアメリカの兵器を買わせようとしているとしか思えない。
もし台湾海峡に入り込んだ米艦隊が攻撃されるようなことが起きたら、「集団的自衛権」が発動され、自衛隊の艦隊が台湾海峡へ出動することになる。
アメリカから米軍を派兵するよりも、自衛隊派兵の方が経済的だし、アメリカ人の被害も少ない。
日本の福祉は、自衛隊のためにどんどん削除され、しかも戦争の危機も高まる。
菅は、安倍と同様、国民のことは何も考えていない。
自分の「地位」だけを考えている。
首相でいるために、アメリカの言うことなら何でも聞く。
拉致問題解決に協力する、五輪開催支持という「ことばだけの約束」と引き換えに、日本はアメリカの戦略のために破滅への道をたどりつづける。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

なぜ台湾問題?

2021-04-17 07:51:23 | 自民党憲法改正草案を読む
日米共同文書、「台湾の安定」と「中国の人権懸念」一致へ
読売新聞の見出し。
「台湾の安定」とは、何を意味するのだろう。
私には安定しているとしか見えない。
私の友人のひとりは台湾と中国(上海)を行き来している。
安定しているからこそ、こういうことができる。
記事中に、こう書いてある。
↓↓↓↓
 日米首脳間の共同文書に台湾問題が書き込まれるのは、1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領との会談以来となる。バイデン政権は中国が台湾への軍事的圧力を強めていることを警戒しており、台湾海峡の平和と安定に向け、日米両国で結束する考えを国内外に示す狙いがある。
↑↑↑↑
1969年といえば、国連に台湾が「中国」として加盟していたとき。
71年に台湾にかわり、中国が「中国」として加盟した。
代表権が交代した。
その後、日本もアメリカも台湾とは断交し、中国と国交を結んだ。
その後、「台湾」は中国の一地域である。日本にとって「国」ではない。
なぜ、ここで台湾が問題になるのか。あるいは台湾を問題にするのか。
アメリカは、いわゆる「冷戦時代」に方向転換している。
「台湾」を「キューバ」のように位置づけようとしている。
ケネディ時代のキューバである。
ソ連(ロシアではない)は、アメリカの「庭」にあるキューバにミサイルを配備しようとした。キューバからなら、アメリカをすぐ攻撃できる。
いま、アメリカは、日本と台湾を、そのときのキューバのように利用しようとしている。
問題は、アメリカが台湾と協力して「台湾海峡」の安全を守る(台湾を守る)という関係を、アメリカと台湾との間で確認しているのではなく、台湾を抜きにして、アメリカと日本で確認していることである。
これは、簡単に言い直せば、アメリカの戦略に日本が片棒を担がされているということである。
「インド洋、東シナ海の安全を守る」という名目で、アメリカの軍備費の負担が増えるだけである。「台湾防衛」の分担も日本がになわされる。
日本と中国の関係が、いま以上にややこしくなる。
アメリカは、中国と日本に、不必要な緊張関係をもたらし、軍事費を投入させ、結果的に経済力を低下させる。中国、日本の経済力(日本の経済力は低下する一方だが)を抑圧しておいて、アメリカは自国の経済を活性化するために金をつぎ込むということだろう。
アメリカの「一石二鳥作戦」に菅は利用されているだけである。
「1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領との会談以来」などと、まるで「大手柄」であるかのような書き方は、現実を無視している。
国連での中国の代表権の交代、中国との国交樹立、台湾との国交断絶という歴史を踏まえて、バイデン-菅の会談を見ないととんでもないことが起きる。
だいたい、いま取り上げるべきは台湾問題というよりも、ミャンマー問題だろう。ミャンマー問題に、どう日米が協力するか。それが共同宣言にもりこまれないとしたら、それはあまりにも「現実離れ」しているとしか言いようがない。
このことだけからも、台湾問題を共同声明にもりこむ、それが「目玉」というとらえ方がおかしいことがわかるだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

菅の言い分の「垂れ流し」は公害である。

2021-04-14 08:23:37 | 自民党憲法改正草案を読む

2021年4月14日の読売新聞。

福島第一 処理水 23年めど海洋放出…飲料基準以下に希釈
政府は13日、東京電力福島第一原子力発電所の敷地内にたまる「処理水」について、海洋放出する方針を正式に決めた。事前に大量の海水で薄め、放射性物質の濃度を飲んでも健康に影響がないとされる国際基準よりもさらに引き下げる。東電は2年後の2023年をめどに放出を開始し、期間は30年以上の長期に及ぶ見通し。
↑↑↑↑
この記事の不可解さ。
海の水で薄めた後、海に放出する。
このときトリチウムの総量は減るのか。
そのまま海に垂れ流すときと、総量が変わらなければ「薄めた」というのは見かけのこと。
チッソは水銀を垂れ流し続けた。
きっと「薄めて排出した」と言うだろう。
「薄めて」排出したものが、どこで、どんなふうに蓄積され、それがどう影響するか、その「実証」がおこなわれた後でなければ、安全とは言えない。
だいたい、だれが汚染水を陸上にためておくことに反対しているのか。
福島県民か。日本国民か。
だれが海へ放出することを望んでいるのか。
何のために望んでいるか。
新聞が追及すべきことは、政府の言い分に疑問点がないかどうかである。
菅が言っているままに(あるいは、耳障りの言いように「希釈」して)、それを垂れ流しているのでは「公害」である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「特ダネ」?(情報の読み方)

2020-12-31 10:13:58 | 自民党憲法改正草案を読む
「特ダネ」?(情報の読み方)

 2020年12月31日の読売新聞(西部版・14版)24面に「桜を見る会」の続報。あるいは、「解説記事」というべきか。

「桜」追及 法の壁/報告書不記載 時効5年 保管義務3年

 安倍晋三前首相(66)側が主催した「桜を見る会」前夜祭を巡る政治資金規正法違反事件では、同法の不備も浮かび上がった。検察は、政治資金収支報告書に前夜祭の収支を記載しなかったとして、公訴時効にかからない5年分の立件を検討したが、略式起訴したのは4年分にとどまった。収支報告書の法定保存期間を超える分が廃棄されていたことが一因で、識者から保存期間の延長が必要との声もあがる。

 簡単に言い直すと、収支報告書に関する時効は5年。しかし、安倍の事務所は、収支報告書の保存義務期間が3年と定めているために、5年前の分は廃棄していたため、不記載の「証拠」がなく、4年分しか略式起訴できなかった(4年前の分は、11月に廃棄する予定だったが、まだ廃棄されずにあった)。これに類することは、すでに秘書の略式起訴、安倍不起訴の報道のときに書かれていた。今回は、それをていねいに書き直したもの。(詳細は、本記部分に書かれているのだが、省略。)
 これは、法律問題だね。
 ここに書かれていることに間違いはないだろう。しかし、問題は、なぜ、いまこの記事が書かれているかである。しかも、ネット(デジタル版)とは「独自(特ダネ)」のマーク付き。なぜ、いま? しかも、この記事のどこが「特ダネ」? 

 視点を替えて、読み直す必要がある。
 「桜を見る会」で問題なのは、何か。桜を見る会というとき、「法の壁」とは何か。
 桜を見る会の一番の問題点は、安倍の関与である。追及の「矛先」は「収支報告書」そのものではない。
 この問題を読売新聞は、今回の記事では取り上げていない。純粋に「収支報告書の保存期間(3年)」と不記載(不実記載)の公訴時効(5年)との間に隔たりがあり、そのために文書が廃棄されていた5年前の分は控訴の対象にならなかった、と書いている。秘書の「略式起訴」が相当だったかどうか、というところに、問題の視点がすりかえられている。
 つまり、この記事は、安倍追及の視点を逸らすために書かれていることになる。あべは、その「不記載」や「補填原資」にどうかかわったのか、そのことへの言及がひとこともない。

 国会でも問題になったが、「3年間の収支報告書」の訂正は、単に「支出」の訂正であり、その「支出」に出てくる「補填」の原資がわからない点である。「時効」の問題ではない。
 読売新聞が「法の壁」と呼んでいるのは、むしろ「政治資金規制法」の「限界」というものであり、安倍が「不起訴」になった根拠としての「法の壁」ではない。
 「法の壁」というような大げさなことばで読者の視点をひっぱっておいて、「安倍不起訴」とは無関係な「法律論」を書くのは、明らかな「目くらまし作戦」である。

 注目すべきは、見出しにとっていない次の部分である。

 収支報告書は所在地の選挙管理委員会や総務省に提出され、同省や選管は、原本や領収書などの関係書類を公表日から3年間保存することが同法で義務づけられている。山口県選管はこれに基づき15年分をすでに廃棄し、16年分は今年11月に廃棄することを決めていた。
 安倍氏側は23日付で、17~19年分の3年間の収支報告書を訂正し、前夜祭の収支を記載した。16年分は略式起訴の対象だったが、保存期間が3年であることなどから訂正しなかった。25日に開かれた衆院の議院運営委員会では野党から、こうした対応を疑問視する声もあがった。

 書き方が非常に微妙である。
 「16年分は今年11月に廃棄することを決めていた」は「11月〇日に廃棄していた」ではない。さらに「16年分は略式起訴の対象だったが、保存期間が3年であることなどから訂正しなかった」と言う。
 これは、つまり、16年分は、「廃棄は決めていたが、捜査を始めたときはまだ廃棄してないかった」であり、16年の収支報告書を訂正することはできるのに、それをしなかったである。訂正すべき箇所があるのに、保存期間を過ぎている(廃棄を決めていた)から訂正しない、というのはおかしいだろう。「無駄」に見えるかもしれないが、「無駄」を承知でしなければならないことは、世間にはいくらでもある。

 だから、もし、見出しとして指摘するならば、

安倍側、16年収支報告書訂正せず/保存期間3年理由に

 なのである。秘書の「罪」を少しでも軽くし、同時に、秘書の罪が軽いから、安倍の責任はさらに軽い、と言いたいのだろう。
 問題視しなければならないことは、たくさんある。しかし、読売新聞の「見出し」は、その問題点を単に「保存義務期間」だけにしぼっている。
 こんな視点でニュースを報道していいのか。こんな視点で捉えたニュースを「特ダネ」と言っていいのか。





 







#菅を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#菅を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「詭弁」にさえなっていない「駄弁」。

2020-12-28 08:05:03 | 自民党憲法改正草案を読む
jiji.comが「自民党の二階幹事長、大人数会食批判に反論」という見出しで記事を配信している。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020122700276&g=pol&fbclid=IwAR0aG--d9GL4noT9Yt9BpINYj1rmZbGapkfJ13kYagWzlvh_GAGjeZ1607U

「会食を目的にやっていない。意見交換を考えてやっている。全く無駄なことをしているわけではない」

↑↑↑↑

意見交換が主目的なら、会議室を借りてやればいい。
食事の提供が必要なら、個別に「テイクアウト形式」で料理を配り、各自が個別に食べるということもできる。
多くの人が批判しているのは「無駄なことをしている」ではなく、政府が「多人数での会食自粛」を打ち出しておいて、みずからそれを破っていること。指針と行動との矛盾を批判している。
さらに、意見交換を「考えて」やっている、とはどういうことなのか。「考えて」いれば、意見交換をしなくてもいいのか。いったい、どんな「意見交換」をしたのか。「〇〇〇について意見交換した。〇〇〇という意見が出た」という具体的なことを言わない限り(言えない限り)、「意見交換」したとは言えない。
二階の表現を借りれば、国民がこういうこともできる。
「意見交換を考えて100人が集まり、飲食もした。飲食が目的ではなく、意見交換が目的だったから、みんなが大声で話し合った。要約ができないくらい多様な意見が飛び交い、予定の1時間では足りずに徹夜で激論を展開した。活気に満ちた意見交換会だった。1年を振り返り、新しい年を迎えるたその貴重な意見交歓会だった。」
そういう「論理」で、いいのか。
「論理」さえ、整合性がとれていればいいのか。
「論理」はことばだげで成り立っているのではなく、「事実」と「ことば」の関係を証明しないといけない。
二階はいったい「意見交換会」で出席者から、具体的にどういう「貴重な意見」を聞いたのか、それを政策にどう反映していくのか。それをきちんと説明しない限りは、「無駄な会食会」を通り越し、「危険な会食会」になる。
政府が多人数での会食を自粛するように求めたのは、それが「無駄」ではなく「危険」だからだ。
「危険」を上回る「貴重な意見」が交換されなかったなら、それはそれこそ完全に「無駄」になる。「危険+無駄」が二階のやった会食会である。
ジャーナリズムは単にだれそれがどういうことをした、どう言ったかを伝えるだけではなく、その行動、言論の「意味」を正確に分析し、言語化する責任をになうべきである。

*

こういうニュースもある。産経新聞である。
「安倍首相、二階幹事長や王貞治氏らと会食」
https://www.sankei.com/.../news/200722/plt2007220039-n1.html

安倍晋三首相は22日夜、東京・銀座のステーキ店で、自民党の二階俊博幹事長やプロ野球ソフトバンクホークス球団会長の王貞治氏らと会食した。少年野球の振興事業などを通じて王氏と親交の深い二階氏が呼び掛けた。王氏は東京五輪・パラリンピック組織委員会の理事を務めており、来年夏に延期となった東京五輪などについて意見交換したとみられる。

↑↑↑↑

これは、二階の言う「意見交換」説を補強するためのものだろうが、安倍まで出席したのか、というのが私の驚き。
さらに。
すでに書いたが、gotoとオリンピックは密接に連携している。
gotoで旅館・ホテルを維持しないと、オリンピックを開いても観光客の宿泊先がないということがおきかねない。それを心配して、旅館・ホテルの維持に懸命なのである。
しかも、その維持のための予算をなるべく抑え込むための方法が、国民の旅行なのだ。旅行する国民は恩恵を受けるが、同時に旅館・ホテルを直接支援しないですむ国も恩恵(?)を受ける。
旅館・ホテルだけに「休業補助金」を出すと、他の中小企業から不公平だという声がおきるだろうからね。
しかし、gotoそのものだって、不公平なのだ。
利用することができる国民も富裕層にかぎられている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「立て替え」ということばの重大さ(情報の読み方)

2020-12-27 14:44:30 | 自民党憲法改正草案を読む
 安倍が、桜を見る会の「補填問題」で「安倍の私的預金」を管理している(?)東京の事務所が、会費だけでは不十分な分を「立て替えた」と語った。
 私は、この「立て替えた」ということばにびっくりした。
 「立て替えた」は、きっと安倍の弁護士(?)だとか、安倍のとりまきの、「会見想定問答集」にはなかったことばだと思う。つまり、安倍が「独自に考えた」ことば、安倍の知っていることば。「無意識」が出たといえばいいのか。隠しておかなければならないのに、「尻尾」が出てしまった。

 ふつうは、どう言うか。私が安倍なら、絶対に「立て替え」ということばはつかわない。「立て替え」には「立て替えられる人」「立て替える人」のふたりが必要であり、そこには「関係」が発生してしまうからである。
 こういうときは、私なら、東京の事務所が「支払った」とだけ言う。金の動きを「事務所」と「ホテル」に限定して言う。
 安倍は必死になって、「実務は東京の事務所」「金の支払いは下関の事務所」であり、「連携」がとれていなかったと言っている。しかし、「実務は東京の事務所」「金の支払いは下関の事務所」という形で前夜祭が開かれていたのなら、それは業務を「分担」していたということである。「分担」というのは「連携」が前提である。「連携」なしの「分担」などはありえない。費用がいくらかかるか想定せずに会を催していては、予算が破綻するだろう。会計を担当する事務所の方も予算を伝えて、「この範囲で」と実務を依頼するのが一般的なことだろう。「総経費がいくらになるかは、あとで清算するから、実務は予算を心配せずにやってくれ」と言われないかぎり、「会の規模」を拡大などできない。
 そういう「前提(事前の連携)」があったからこそ、東京の事務所は「立て替え」たのだ。「立て替え」でなければ、安倍の「私的預金」から支払ったことになり、安倍がポケットマネーで有権者を買収したことになる。
 安倍もそう認識しているからこそ、ポケットマネーで支払ったわけではない。あくまで「立て替えた」と言ったのだ。
 これは、安倍が「ぼくちゃん知らない、ぼくちゃんの責任じゃない」という「方便」であり、「ぼくちゃん」の責任を他人に押しつけることなのだが、ここから新たな問題が生まれる。もし、下関の事務所が「補填」をしたのなら、その原資は支援者からの寄付金ということになるだろう。事務所ぐるみで、支援者から政治活動のために寄付してもらった金を買収につかったことにある。安倍にとって政治活動は「買収」ということになる。事務所ぐるみで「買収」をしていたことになる。

 「立て替え」ということばをつかわなくても、やっていることは同じだが、「立て替え」ということばをつかうとき、そこには「立て替える人」「立て替えられる人」の密接な関係が存在する、ということに安倍は気づいていない。
 おそらく人に高額の金を立て替えてもらったり、立て替えたりするとき、ふつうの人がどういうことをするか(借用書を書いたり、領収書を書いたり)を知らないのだ。一緒にランチに出て、財布を忘れたのに気づき、500円を立て替えてもらうのとはわけが違うのだ。
 「立て替え」ということばに反応せず、では「立て替えの返却の原資は何?」と質問仕返すことのできない議員やジャーナリストは、安倍と同じように国民の金銭感覚とは違う世界を生きているとしか言えない。この「私的預金」と「立て替え」の問題を追及しているのは、私が見た範囲で言えば共産党の田村だけである。
 政治家もジャーナリストも「ことば」が仕事である。ことばにもっと敏感に反応する必要がある。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「連携」の意味は?(情報の読み方)

2020-12-26 08:59:22 | 自民党憲法改正草案を読む
「連携」の意味は?(情報の読み方)

 2020年12月26日の読売新聞(西部版・14版)。9面に安倍の国会質疑の詳報が載っている。詳報といっても1ページだから限りがある。
 そのなかで疑問に思ったこと。
 安倍は、こう言っている。(番号は、私がつけた。)

①前夜祭を開催する責任は東京の事務所が負い、主催は(地元の)安倍晋三後援会だった。東京と地元の事務所が連携していれば、こうしたことは起こらなかったと思う。
②前夜祭の運営やホテルとの交渉、支払いなどを行ったのは、東京の(事務所の)責任者だ。私が「5000円で賄っているか」と聞いたのも、東京の責任者だ。地元の公設第1秘書は「安倍晋三後援会」の代表者であり、主催者としての責任があった。実際の運用は東京で行ったため、支払いについて十分、地元の公設第1秘書に伝わっていなかった。

 ①で「連携」ということばがつかわれている。「連携していれば、こういうことは起こらなかった」と。
 しかし、今回の「補填」は「連携」していたからこそ起きたのではないか。
 また「連携していない」ということが本当ならば、安倍の買収(贈賄)は、いっそう明確になる。「補填」の原資は、安倍の「私的貯金」と主張している。「私的な金」をそのまま会費の不足分としてつかったのだ。「私的な金」だから、「政治資金収支報告書」に記載しなくていいと判断した。言い換えれば「私的な金」で票を買い集めた(有権者を買収した)から、「政治資金収支報告書」に記載してはならないと判断したということだろう。
 その認識が東京の事務所と地元の事務所で共有された結果、政治資金収支報告書にはそれが記載されなかった。こういうことを「連携」といわずに、どういうことを「連携」というのだろうか。
 さらに、「詳報」には書かれていないからわからないのだが、これまでの報道では、桜を見る会の収支についてどう記載すればいいのか、地元の秘書は総務省に問い合わせたということが何回か報道されている。「記載すべきだった」という認識も持っていた、とも報道されている。
 「連携していなかった」という「証拠」として安倍は②で、こう詳しく言い直している。
 「前夜祭の運営やホテルとの交渉、支払いなどを行ったのは、東京の(事務所の)責任者」であり、「地元の公設第1秘書は「安倍晋三後援会」の代表者であり、主催者としての責任があった」。これは「実務」は「主催(名義/名目)」の担当者は別々だった。「分担していた」ということを言いたいのだと思うが、「分担する」とは「連携する」と同義である。「連携」しないことには「分担」は不可能である。
 「論理」が完全に破綻している。(この点を、質問者が指摘しているかどうか、私は知らない。)
 「分担」しているのだから、②の「実際の運用は東京で行ったため、支払いについて十分、地元の公設第1秘書に伝わっていなかった」はまったく奇妙な話であり、本来なら「実際の運用は東京で行ったため、支払いについて、地元の公設第1秘書は十分に詳細を把握し、それを報告書に記載すべきだったのに、怠った」ということだろう。「分担の結果を共有することを怠っていた」ということになる。
 そして、この「怠った」は偶然ではなく、「意図的」である。一度ではなく、複数年にわたって連続している。わざとしないかぎりは、こういうことはおきない。そして、「怠った(忘れた)」と気づいたなら、それをすぐに訂正するはずなのに、それをしなかった。これも、「意図的に連携」しないかぎりはできないことだろう。「記載することを意図的におこなった」だけであり、「補填した事実」は共有し続けたのである。
 だいたい、これまでは「私的預金」から立て替えたと言っているが、立て替えたのなら、立て替えた分が地元の事務所から東京の事務所に支払われていたはずである。それも一回ではなく、連続して複数回である。こういうことは「連携」していないとできない。
 もっと別なことばで言えば、そのときの借用書/領収書(収支報告)が東京や地元の事務所に残っているのか。もしそういうものが存在しないとしたら、それこそ「連携」しているからである。「連携」が強固でないところで700万円だったか800万円だったかの金が行き来するはずがない。もし、「連携」のないところでそういう金が動くのだとしたら、もうそれは「資金を管理している」とは言えないだろう。東京の事務所も、地元の事務所も金の動きに無頓着である。そして、安倍も、「私的預金」がどのうよにつかわれているかまったく気にしていないことになる。
 そんなことをそのまま信じられるのは、「自分の金」が他人によっていくらつかわれようが気にしないよほどの金持ちだろう。あるいは、「自分の金」という感覚がないからだろう。たぶん、安倍は後者なのだ。「金は国民から吸い上げて(納税のことを、安倍は国会で「吸い上げる」と言っていた)、自分のためにばらまけばいい」と思っているのだろう。事務所で管理しているのは「税金」ではないが支援者などから集めた献金だろう。そして、それはもしかしたら「安倍の私的預金」に流用されているかもしれないということも考えてみるべきである。「私的預金」と「後援会の管理する政治資金」がごちゃまぜになっているという「実情」が今回暗示されたのではないのか。「私的預金」から「立て替えた」。けれど、その「立て替え」を証明する「明細」も、「立て替え」を返却したという「文書」ものないのではないのか。
 「私的預金」で「立て替えた」という安倍の主張は、単にホテル代金の補填を超える問題を含んでいる。それこそ「政治資金」と「政治家の個人資金」の問題にも関係してくる。支援者の献金は、もしかすると、別の有権者の「買収資金」としてつかわれたかもしれないのである。言い換えれば、「支援者」が有権者を間接的に買収していたということかもしれないのである。

 読売新聞の「詳報」では、「原資」について、共産党の田村だけが、きちんと問題点を指摘している。

③収支報告書の訂正を見ると、支出部分は増えているが、不足分がどこから払われたか、記載がない。原資が分かる資料を提示していただきたい。

 安倍は「東京の事務所(安倍の私的預金を管理している)」と「地元の事務所(政治資金規制報告書を提出している)」は「連携」してない、と言っている。「事実報告(補填の報告)」、つまり「ことば/認識(文書)」を共有するという「連携」はしていないが、金のやりとりはするという「連携」があれば、それは「連携」である。
 「連携していな」というかぎりは、不足分をどこから収入として得たのか、「原資」がどこからなのかを明確にしなければいけない。「原資は安倍の預金」だけれど、「連携はしていない」というようなことは、何を言っているのか、わからない。その場その場で、ことばをごまかしているだけである。



 







#菅を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#菅を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ホテルの企業秘密ではなく、安倍の秘密。

2020-12-25 18:45:58 | 自民党憲法改正草案を読む
ヤフーポストが、安倍の国会での「弁明」を速報している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d93cbe5eed5064c4acd39fba5ec4154b346a3dbb?fbclid=IwAR3Ygs5Hry1AGAUkcPY8sofKmq2iBM7yimZbVAHQ7FYk2t8SWS8jDBajUGQ

そこに辻本とのやりとりが書かれている。私が注目したのは、安倍のつぎの発言。

安倍「営業上の機密ということについてですね、明細書を出さないという(ホテル側の)立場が変わっていないと私は承知しております」
↑↑↑↑
安倍が「承知している」かどうかではなく、明細書を出してもらうために安倍がどういう努力をしたのかが問題。
「私は、いま、こういう状況にある。経緯を説明するために、どうしても明細書が必要なので、明細書の提出してほしい」ということを文書で正式に申し入れ、それに対してホテル側が文書で「営業上の秘密なので提出できない」と文書で回答する。
そういう「記録」が必要。
いま問われているのは、安倍政権下でおきたさまざまな「文書廃棄」が原因。
桜を見る会の名簿も廃棄されている。
文書の廃棄によって、すべてのことが「検証不可能」になっている。
これを改めるためにも、ホテルが「営業上の秘密なので出せない」と回答した文書が必要。
「承知しております」という言い方なら、「補填」も「事務所はいっさい関係ないと承知していた(認識していた)」だろう。
「知らない」と主張するだけでは不十分。「知る」ために何をしたのか、それが問題。
それに。
もっと根本的な問題もある。
最初「企業秘密」といったとき、半額の会費(個人負担)5000円で前夜祭を開催できる理由が「企業秘密」だったはず。なぜ安倍の会だけ安価でできるか。それはたしかに「秘密」にしてもいいことかもしれない。
しかし、実は5000円ではできなかった。つまり、安倍の会は、他の人の会と変わりはなかった。「秘密」にするべきことはない。
ひとり1万円、800人なら800万円。そういう「人数×会費=総経費」という明細は、共通なのだから「秘密」になるはずがない。
いまからでも、ホテルから明細を取り寄せ、きちんと公開し、安倍はこういう嘘をついていたということを「記録」として残す必要がある。
これはさらに言い直すと。
「秘密」はホテル側にはなかった。ホテルは他の会と同じように安倍側に費用を請求し、請求通りに支払ってもらった。
「秘密」は安倍の側にあった。
つまり会費5000円では開催できなかった。差額は安倍が補填した。これは「秘密」。
なぜか。ばれると、有権者への寄付(贈賄、買収)になるからだ。
犯罪だから「秘密」にする必要があった。
それなのに、安倍は、あたかもホテル側が「秘密」を持っているという言い方をした。
こういうことは、きちんと「記録」しないといけない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私的支出のための預金?(情報の読み方)

2020-12-25 09:29:11 | 自民党憲法改正草案を読む
私的支出のための預金?(情報の読み方)

 2020年12月25日の読売新聞(西部版・14版)。「桜」前夜祭、安倍不起訴の記事が展開されている。
 いくつかの見出し、記事ががあるが、注目したのは

補填「私の預金」

①安倍前首相は24日の記者会見で、安倍前首相側が主催した「桜を見る会」前夜祭の費用の一部として後援会から補填資金は、私的な支出のために事務所に預けていた「手持ち資金」で賄ったと説明した。
②安倍氏は「日々、食費や交通費などの費用は事務所に請求書が来るので、事務所で支払う。預金からおろしたものを事務所に預けており、そこから立て替えたということだ」と語った。

 である(番号は私がつけた)。
 ①の「手持ち資金」を②で「(私の)預金」と言い直している。ふつうは、なんにつかっているのか。①で「私的な支出」といい、②で「食費や交通費」と言い直している。なぜ、事務所が「私的な支出」を管理しているかといえば、②で「事務所に請求書が来る」と説明している。
 これだけを読めば、「整合性」がとれている。だから、記者会見でも、これをさらに追及していくということはなかった。
 私が疑問に思うのは、②の「事務所に請求書が来る」、その「請求書」のうち、どれが①の「私的な支出」に当たるのか、だれが判断したのか。何を根拠に「私的な支出」と判断したのか、その基準が示されなかったこと。(問われなかったこと)。「請求書」の明細(食事代など)をきちんと仕分けしていたのか。
 さらに②で「預金からおろしたもの」とあるが、この「おろした」の主語は誰なのか。安倍なのか、昭恵なのか、それとも「事務所」の責任者なのか。また、①「私的な支出」というかぎりは、毎月の「使用額」はだいたい決まっていると思う。請求書がくるたびに、その合計金額を計算して預金を引き下ろし、支払うということはないように思う。それは毎月いくらぐらいだったのか。
 もし、毎月「一定額」を引き下ろしていたのなら、そこから補填額(4年間で708万円、と記事中にある)を、どうやって工面したのだろうか。月々「予備費」として金庫で貯めつづけたのか。補填が必要なときだけいつもよりも多くの金額を引き下ろしたのなら、その月だけなぜ突出して金額が多いのか、なぜ安倍は気がつかないのだろうか。
 預金というからには、「通帳」に「記録」が残っているはずである。それを提出し、「補填」がどのような形で実行されたのか、「説明」する意志はあるのか。
 これを、記者にはぜひ追及してほしかったし、また、きょう(25日)に開かれる国会でも追及してもらいたい。(この文章を読んでいる国会議員はいないだろうけれど、私は、提案しておきたい。)
 ②には「立て替え」ということばが出てくる。この「立て替え」は「安倍晋三後援会」が支払うべきものを、東京の「事務所」が「立て替えた」ということである。東京の事務所がしたことが「補填」ではなく、「立て替え」というのなら、「安倍晋三後援会」から東京の「事務所」に「立替金」の「支払い」がないといけない。その「記録(領収書/請求書)」はあるのか。
 おなじ「安倍関連事務所」だから、「領収書/請求書」というものがないというのであれば、「東京の事務所」が「立て替えた」という「論理」は成り立たない(証明できない)し、それは結局「安倍の私的預金から支払った」ということも証明できない。「補填の原資」の説明にはならないだろう。「立て替え」ではなく、東京の事務所が支払った(補填した)のであり、それは安倍の「私費」から支払ったのだ。「立て替え」なら、安倍の「私的預金口座」に払い込みがなければいけない。
 さらに、「補填」が「安倍の私的預金」からおこなわれたというのであれば、「補填」の恩恵を受けた桜を見る前夜祭の参加者に、安倍から「一定の金額」が寄付された、贈与されたということになる。これは「政治資金規正法」というよりも「公職選挙法」の問題になるのではないか。安倍は「原資は私的預金」と明言している。事務所が集めた金から支出しても、公選法違反になると思うが、「原資は私的預金」と言った意味は大きいと思う。「立て替え」ではなく、「収賄」(贈与)だろう。
 たとえば忘年会で、追加の酒、料理を注文して、会費をオーバーした。そのとき追加分をその会の「幹事(会計責任者)」ではなく、「部長」が「立て替えた」。その後、その「立て替え」を参加者が支払ったということがなければ、その「立て替え」は部長の「おごり(贈与)」である。
 そういうことを、安倍は記者会見で認めたことにならないか。
 政治資金規正法のことはよくわからないが、金の流れの「実感」として、私は、そう感じる。
 読売新聞は、このことを「1段見出し」で小さく紹介しているが、もっと追及すべき問題が隠れていると思う。

 もうひとつ、ぜひ書いておきたいことがある。読売新聞には書かれていないが、「いつ知ったか」の問題である。
 安倍は記者会見で、秘書が聴取を受けているという「報道」のあと、初めて知った。秘書から報告を受けたと言っている。
 これを聞いた瞬間、「既視感」に襲われた。秘書に責任を押しつけることは予想できたが(多くのひとが予想していたが)、どんなふうに「押しつけるか」ということまで私は予想していなかったので、「報道の後」というようなことばを聞いた瞬間に、別のことを思い出したのだ。
 加計学園問題である。加計学園が「獣医学部」の設置を希望していることをいつ知ったか。それを問われた安倍は、獣医学部設置の問題が文科省(だったっけ?)で審議されて、そのとき初めて加計学園が新設枠に応募していることを知った、と答えている。
 このとき国会では、「ええーっ」という驚きの声が響きわたった。
 誰ものが知るようになってから、つまり「公表」されてから初めて知った。
 この「論理展開」が加計学園とそっくりである。もっと前から知ることができたのではないか、加計から働きかけがあったのではないか。これに対して安倍は、そういうことはない。そういう「記録はない/事実を証明するものはない」と言い張った。
 「記録がない(公表されていない)」ということを、安倍は「知らなかった」の根拠にしている。
 そして、このことは逆に言えば、「記録」さえなければ、すべてを「知らなかった」で処理できると考えているということである。
 これが、あらゆる安倍疑惑の問題につながっていく。「記録(文書)」の廃棄。証拠隠滅である。これまで安倍がやってきたことを、前はそれでうまく言い逃れられたから、また繰り返しているといことなのだ。
 どこまでもどこまでも「既視感」だらけなのは、このためだ。

 で。
 だからこそ、「補填原資は私的預金」と答えたことが重要になる。「預金」はいつも「預け入れ」と「支払い」の記帳(記録)によって管理される。その記録(記帳)の公開をどこまで国会は追及できるか。「私的預金」だからプライバシーを盾に公開を拒否するだろう。しかし、そこから「立て替えた」と安倍は明言しているのである。明言しているならプライバシーも何もないだろう。
 ぜひ、追及してほしい。

 もうひとつ、「見出し」になっていないが、非常におもしろい「記事」が社会姪に書かれていた。問題の秘書の「人間像」に迫る社会面の記事である。末尾に、こう書いてある。
 
 前夜祭費用の補填問題が報じられた11月下旬。配川容疑者は周囲に「連夜、桜を見る会で頭が痛い」と漏らしたという。読売新聞は複数回、配川容疑者に取材したが、質問には答えなかった。

 では。
 11月23日の「特ダネ」から始まった一連の記事の中で、「安倍にうそをついてもらった」というような配川容疑者の「声」は、いったいどこから入手できたのか。聴取しているのは特捜本部である。一連のリーク元が特捜本部であるという「種明かし」を読売新聞は、最後で、ぽろりと「正直」にさらけだしている。
 リーク元が特捜本部であるかぎり、その捜査の「行方」もリークされただろう。「結果」が未定(見込み)のまま捜査情報をリークするはずがない。ということは、すべてが「情報操作」であるといことだ。繰り返し繰り返し、問題は「政治資金規正法違反」であり、それは秘書の問題という記事を書くことで、安倍批判を弱めていく。安倍が不起訴になるのは当然だという論理を納得させるために記事が書かれ、そのシメとして安倍の「会見」が設定された。たぶん、最初から、そういうシナリオだったのだ。秘書の犯罪を糾弾するのではなく、秘書が犯した犯罪を、秘書に代わって謝罪する。会見では、「3度頭下げ」たと読売新聞は見出しにとっている。読みようによっては、秘書の犯罪のために、安倍がこんな目にあうなんてかわいそう、と思うひとも出てくるだろう。
 私は、安倍が頭を下げようが(それが何回であろうが)、そんなことは気にもならない。安倍が辞任するか、どうかが安倍自身の行動として問題だ。どうせ、「頭を下げる」という演技をしただけなのだ。







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「最近知った」が特ダネ?

2020-12-23 15:49:15 | 自民党憲法改正草案を読む
「最近知った」が特ダネ?(情報の読み方)

 2020年12月23日の読売新聞(西部版・14版)35面(社会面)。「桜」前夜祭の続報。(番号は、私がつけた。記事の順序は番号どおりではない。また、一部は括弧で私がことばを補った。)

安倍前首相「補填、最近知った」/「桜」前夜祭 任意聴取で説明

①安倍晋三前首相(66)側が主催した「桜を見る会」の前夜祭を巡り、東京地検特捜部が安倍氏から任意で事情を聞き、安倍氏が前夜祭費用の補填などについて「最近になって知らされた」と説明したことが関係者の話でわかった。
②特捜部は、安倍氏が首相当時、実態を知らないまま、「補填の事実はない」などと国会で答弁していた可能性が高いとみている。

 デジタル版(ネット)には「独自」(特ダネ)の印がついていた。どこが「特ダネ」なのか、私にはよくわからないが。
 見出しにとっている「補填、最近知った」と説明したということが「特ダネ」なのだろうか。
 この部分は、本記では、こう補足されている。

③安倍氏も特捜部の聴取に答弁の経緯を説明。補填の実態を知ったのは首相辞任後の11月後半だとした上で、「不正には関わっていない」などと述べたという。
 
 この「11月後半」とは具体的には、いつか。
 2020年11月23日の読売新聞は、「桜を見る会前夜祭」問題で、東京地検が安倍の秘書を聴取したというニュースを「特ダネ」で報じている。
 読売新聞が報道するまで、あるいは秘書が東京地検に聴取されままで(聴取されたと安倍に報告するまで)補填の事実を知らなかった、ということだろうか。
 「論理的」には、それで辻褄が合う。

④こうした答弁(「補填の事実はない」)をした理由について、安倍氏周辺は先月の取材に対し、安倍氏から昨年末、国会答弁に際して補填の有無を確認された際、事務所担当者が「支出していない」とウソをついたためだと話していた。

 この辻褄合わせを、読売新聞は、ごていねいに「先月の取材」をもとに「正しい」と細くしている。安倍は、長い間、補填の事実を知らなかった。補填については、担当者が「支出していない」と嘘をついていたので、安倍には知りようがなかった、と。
 この読売新聞の「論理補強」には非常に問題がある。
 もし、それが「事実」だとして、なぜ、安倍は秘書が言っていることをそのまま信じたのか。別ないい方をすると、「真実」を知るために、安倍がいったいどんな「努力」をしたのかがわからない。「知らなかった(だまされた)」ということばが有効なのは、さまざまな方法で事実確認をしてきたが、事実が巧妙に隠されていたからであるというときだけである。
 国会では、たしか「ホテル側の領収書を提示しろ」というようなことが何度も言われたはずである。ホテル側の領収書や見積書を調べれば、費用がいくらかかったかということが即座にわかり、金の動きが明確になったはずである。安倍は、自分が疑われているのに、そういう「潔癖証明」を一度もしてこなかった。「知らなかった」のではなく、「知ろうとしなかった」あり、それは事実を書くそうとすることでもある。
 隠そうとし続けてきたが、隠しきれなくなったために「知らなかった」と言っているだけである。
 それで、突然、「11月後半」になって知った、という。
 それを補足することを「11月後半」に、秘書が読売新聞に語ったのだとしたら、それは単純に考えて、安倍と秘書が口裏を合わせて読売新聞をだましているということだろう。可能性だけれどね。ことばをあつかう仕事をしているのなら、どうしたって、そういうこと疑ってかかるべきだろう。
 読売新聞は、そういう「だまされているかもしれないこと」を根拠に、逆に、安倍は正しいことを言っていると主張している。
 その部分が、繰り返しになるが、
 
④こうした答弁(「補填の事実はない」)をした理由について、安倍氏周辺は先月の取材に対し、安倍氏から昨年末、国会答弁に際して補填の有無を確認された際、事務所担当者が「支出していない」とウソをついたためだと話していた。

 である。
 ④を報道するとき、読売新聞は「裏付け」取材をしたのか。簡単に言い直せば、そのとき安倍本人にも取材したのか。秘書は「支出していないとウソをついた」と言っているが、安倍自身はそのことを知っているか。知っているとすれば、いつ知らされたのか、を安倍から確認したのか。
 もしそのとき確認していれば、あれから1か月たったいま、

「補填、最近知った」

 ということばを「特ダネ」として報道するのではなく、あのとき、その段階で、一緒に報道できただろう。その方が、「安倍は無実(安倍は何も知らなかった)」を「衝撃的事実」として報道できたはずである。その方が「安倍弁護」としても有効だったはずである。ところが、読売新聞の記者は、そこまでは頭がまわらないというか、頭をまわそうとしない。ここに、読売新聞の「正直」が強烈に出ている。
 11月下旬に、読売新聞が「取材する」ことで確認できたはずのことをいままで取材せず、いまごろになって安倍自身を取材するのではなく「関係者の話でわかった①」と書いている。リークされたことを、リークされたままに、何の手もくわえないという「正直」きわまりない方法であるが……。
 こんな「ずぼら」な取材があっていいのだろうか。
 「特ダネ」があるとしたら、読売新聞は11月の取材で安倍から「補填、最近知った」ということばを引き出せたはずなのに、それをしなかった、ということだろう。
 なぜ、11月下旬に安倍を取材し、安倍のことばを引き出さなかったのか。11月の「特ダネ」はいったいなんだったのか。

 さて。
 もう一度「特ダネ」に戻ろう。前文に書いてあった、

②特捜部は、安倍氏が首相当時、実態を知らないまま、「補填の事実はない」などと国会で答弁していた可能性が高いとみている。

 これが「特ダネ」だと読売新聞はいいたいのかもしれない。安倍は実態を知らなかったと特捜部は「みている」「可能性が高い」。言い直すと、特捜部は安倍の責任は問えないと見ている、つまり不起訴であるといいたいのだろう。
 「不起訴(見通し)」については、いろいろなことろで批判の声が出ている。そういう声に対する「反論(安倍は正しい/特捜部の判断は正しい)」と主張するための記事だといえる。
 でもねえ。
 そんなことは新聞社がすることではない。
 なぜ、安倍は「最近」まで「補填」を知らなかったのか。「補填」を知らない、ということは、事務所の金の不正な動きもぜんぜん知らなかったということになる。安倍だけではなく、周辺の人も金の動きに対して何の不信も持たなかったということになる。そんなことは、ほんとうにありうるのか。政治資金規正法が関係してくるのに、みんな無頓着だったといことがありうるのか。
 リークされたことをリークされたまま「特ダネ」として書くのではなく、「安倍周辺」を自分で取材して「特ダネ」を探すべきではないのか。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どこが「特ダネ」?(情報の読み方)

2020-12-22 09:31:10 | 自民党憲法改正草案を読む
どこが「特ダネ」?(情報の読み方)

 2020年12月22日の読売新聞(西部版・14版)1面。「桜」前夜祭の続報。(番号は、私がつけた。記事は必ずしも番号の順番で構成されているわけではない。)

安倍前首相 任意聴取/東京地検 不起訴の公算/支所は略式起訴 週内にも

①安倍晋三前首相(66)側が主催した「桜を見る会」の前夜祭を巡り、東京地検特捜部が安倍氏から任意で事情を聞いたことが関係者の話でわかった。
②特捜部は、安倍氏が前夜祭費用の補填などの実態を知らなかったとの見方を強めており、不起訴とする公算が大きい。
③一方、政治団体「安倍晋三後援会」の代表を務める安倍氏の公設第1秘書については、週内にも政治資金規正法違反(不記載)で略式起訴する方針。

 デジタル版(ネット)では「独自」のマークがついている。「特ダネ」である。でも、どこが「特ダネ」なのか。すでに、あちこちで推測が書かれていたこととどこが違うのか。やっぱりという既視感が強い。「推測」ではなく「確認した」ということが「特ダネ」なのか。
 ①「関係者の話でわかった」とあるが、「リーク元」は匿名のままである。「いつ」かも明確にされていない。
 ②「見方を強めており」は誰の推測(判断)なのか。「不起訴とする公算が大きい」もだれが、そう推測(判断)しているのか。取材した記者(読売新聞)だろう。だから見出しにも「公算」と書いているのだが、このジャーナリズムが多用する「公算」は、非常に無責任である。「公」という文字が大手をふるっている。恣意的である。誰の判断か明記せず「公算」ということで、世論をリードしようとしている。
 ③の「略式起訴」(見出しの最後にとっている部分)が「特ダネ」なのかもしれない。「起訴」ではなぐ「略式起訴」。
 この部分については、記事の「末尾」で、ていねいに、ていねいに、ていねいに、こう解説している。

④不記載罪の法定刑は、5年以下の禁錮または100万円以下の罰金など。略式起訴を受けた簡裁は通常、公開の法廷を開かず、書面審理だけで刑を言い渡す「略式命令」を出す。
⑤ただし刑事訴訟法は、事案が複雑で慎重な審理が必要だと簡裁裁判官が判断した場合などには、正式裁判を開く必要があるとしている。

 ④からわかるように、略式起訴だと「公開の法廷を開かず」、処分が決定する。起訴の罪さえ「公開の公判を開かない」なら、安倍の関与についてはもちろん公判を開かない。つまり、これは「安倍不起訴」を補強するための材料として書かれている。
 ⑤は一見、まだ秘書の起訴がありうるかもしれないと言う意味を含んでいると読むことができるが、逆だろう。「事案が複雑」と「簡裁裁判官が判断」するわけがない、と念押ししている。
 秘書は、

⑥公設第1秘書は特捜部の聴取に対し、「前夜祭の収入と支出は後援会の収支報告書に記載すべきだった」などと供述しているという。

 と「罪」を認めている。「否認」していない。何ら「事実関係」を調べる必要がない。

 ここからが問題だ。
 「桜を見る会」で問われているのは(世間が注目しているのは)、「政治資金規正法違反(不記載)」ではない。
 ②の「安倍氏が前夜祭費用の補填などの実態を知らなかった」かどうか、という問題である。この問題は、安倍が「東京地検特捜部」に「実態知らなかった」(デジタル版には見出しにとっていたが、記事中には、そういう文言は明記されていなかった)と言えば解決することなのか。知っていても「知らなかった」と言うことはできる。「知らなかった」は「忘れていた/覚えていない」とも言い直せる。
 このことについては、読売新聞は、こう書いている。

⑦安倍氏は首相当時の国会答弁で「後援会としての収入、支出は一切なく、収支報告書への記載は必要ない。補填したという事実は全くない」と述べていた。
⑧ただ、安倍氏は後援会の役職には就いておらず、安倍氏周辺によると、不足分を補填していないか安倍氏が確認した際、事務所担当者は「支出していない」と虚偽の説明をしていたという。
⑨特捜部は、捜査を尽くすためには安倍氏の認識を問う必要があると判断し、聴取を実施。安倍氏は不記載などへの関与を否定したとみられる。

 ⑦は国会答弁として記録に残っているので、「事実」である。
 ⑧は安倍が嘘をついたのではなく、秘書が嘘をついた(安倍はだまされた)ということを語っている。
 ⑨は、安倍が「関与を否定したとみられる」という憶測。
 このとき、問題になるのは、なぜ⑧の秘書が安倍に「虚偽の説明」をしたのか、その「理由」のようなものがわからないことである。⑥でわかるように、秘書は「記載の必要性」を認識している。知っていて、嘘をついたのはなぜか。
 ありふれた例でいえば、秘書が事務所の経費を「私的流用」した場合、「金を使っていない」と嘘を言うことはある。自分のためにつかったのだから。ところが、今回の場合は、自分のふところには入れていない。もちろん、ホテルに補填した金額からいくらかのキックバックを受けている(私的流用をしている)という可能性はあるが、そういうことをしているという「供述」は表面化していない。
 なぜ秘書が嘘をつく必要があったのかが解明されないかぎり、安倍と秘書は「口裏を合わせている」ということになる。
 すでに書いたが、この問題がニュースになったとき、秘書はたしか「安倍にうその答弁をしてもらった」というようなことを語っている。
https://blog.goo.ne.jp/shokeimoji2005/e/6cda4fed1cb8e654a15cd5014f262468
 「してもらう」というかぎり、そこには「打ち合わせ」がある。
 11月25日の読売新聞には書かれていたことが、きょうの新聞では「省略」されている。つまり、ここでは「情報操作」がおこなわれている。
 そして、いま多くの国民が注目しているのは、この「情報操作」なのである。安倍と秘書がどんな「情報操作」をしたのか。その「情報操作」に対して東京地検はどこまで踏み込むのか。国会は、その「情報操作」をどこまで追及できるのか。

 もし、きょうの読売新聞に「特ダネ」があるとすれば、11月25日に報道したことを「隠蔽」しようとしている、「情報操作」に加担しているということを明確にした点か。すでにわかっていることだが、「読売新聞は安倍の味方」であることをアピールしているのが「特ダネ」。
 それは、きょうの読売新聞の記事のどこを読んでみても、「安倍が不起訴でいいのか」という疑問が書かれていないことからもわかる。東京地検の動きを「不起訴の公算」と伝え「不起訴」へ向けて、世論を説得する(安倍は知らなかったのだから、罪は問えないと宣伝する)ことがジャーナリズムの仕事なのかどうか。ジャーナリズムがしなければならないのは、東京地検の不徹底な態度、国会の安倍の虚偽答弁を許す姿勢への追及だろう。安倍を擁護することではなく、安倍の問題点を厳しく追及することだろう。









#菅を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#菅を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースの価値判断(情報の読み方)

2020-12-21 08:39:14 | 自民党憲法改正草案を読む


 2020年12月21日の読売新聞(西部版・14版)1面にに驚くべき記事が載っている。コロナ感染拡大に関連する記事である。

「静かな年末年始を」/全国知事会、緊急メッセージ
 全国知事会は20日、新型コロナウイルス対策でオンライン会議を開き、国民に対して「静かな年末年始」を過ごすよう求める緊急のメッセージを出した。感染拡大地域とそれ以外の地域を往来する帰省や旅行を控えることを含め、慎重な行動を呼びかけた。

 会議には40道府県の知事が参加。メッセージでは、「家族や友人とふるさとで穏やかに過ごす期間だが、今が肝心な時。力を合わせて感染拡大を防ぎ、自分、大切な人、ふるさとを守ろう」と訴えた。帰省や旅行は、行き来する都道府県の感染状況を確認した上で家族らと相談して判断するよう求めた。初詣を含めて「3密」を避け、移動する際は時期を分散するよう呼びかけている。

 なぜ驚いたか。
 緊急メッセージを出したのが「国」ではなく、「全国知事会」だからだ。知事会は、お盆の帰省のときもメッセージを出してた(8月8日)。メッセージは二度目であり、驚くべきことではないと思うひとがいるかもしれないが、私は二度目だからこそ、驚いた。
 菅は内閣支持率の急下落に驚き、急いで「GoToキャンペーン」を中止したが、中止したことについては二階の忘年会にかけつけ、二階に謝罪しただけで、国民に対して記者会見などをつうじて直接呼び掛けるということをしていない。知らん顔をしている。
 そういう事態に耐えられなくなって、知事会が声を上げたということだろう。一度目のメッセージ(批判)よりも、二度目のメッセージの方が重いのだ。二度もおなじメッセージを知事会が出したということを、菅は認識すべきだが、菅にはそれができていない。ここには菅への強い批判がこめられていると受け止めるべきだろう。
 それを読売新聞は、1面で伝えている。このことに驚いた。
 だが。
 同時に、菅批判をするなら、もっとそれを強調すべきだろうとも思った。読売新聞はトップに「不動産 対面取引見直し」、二番手に「再エネ目標 自治体に義務」というニュースを掲載している。いずれも「特ダネ」なのかもしれないが、「案」や「方針」である。それよりも3週間で5万人もが感染したコロナとどう向き合うべきなのか、それを伝えるべきだろう。「忘年会」は終わったところが多いだろうが、その影響はこれからあらわれる。それが年末年始を直撃する。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ものすごく、いやあああなニュース

2020-12-18 11:45:58 | 自民党憲法改正草案を読む
共同通信が、こんなニュースを配信している。
安倍前首相、国会招致応じる意向/「桜」夕食会費用疑惑で

https://this.kiji.is/712482045412884480?fbclid=IwAR2ZoK-t3-fZqFrMU9HzA30OwjkPAChgoEQssrW4giFnKT8sUJ2bGJIaiRo

安倍晋三前首相は18日、「桜を見る会」前夜の夕食会費用補填疑惑に関し、捜査終結後の国会招致要請に応じる意向を示した。国会内で記者団に「誠実に対応していきたい」と語った。
↑↑↑↑
いやあああな感じのする「書き方」。
きのう夜、TBSが「安倍国会招致」の「特ダネ(?)」の形で報道した。
でも「特ダネ」ではなくて、「情報のばらまき」だったことは、きょう18日の新聞を見るとわかる。
そして。
TBSのニュースにも、各新聞にもなかったことばが、ここに書かれている。
「捜査終結後」
これって、どういうこと?
TBSや各紙の報道を読むかぎり、自民党(幹部)が安倍に働きかけているような印象。
つまり「捜査」とは関係ないような書き方だったが、実は「捜査」と密接に関係している。
そうすると、きのうのニュースの大元の「リーク元」は「捜査関係者」?
地検か特捜本部かしらないけれど、そこから何らかの「情報」が自民党関係者にもたらされ、打ち合わせがあった。それを踏まえて自民党関係者が「国会招致」を語った。
もちろん、その「情報」というのは、「安倍は逮捕しないから」ということなんだろうなあ。
「逮捕されないことを確認したから、国会で何か言えよ。そうすれば菅の人気もちなおす。自民党への批判も弱まる」
そういう「筋書き」か。
「逮捕されない」という確証を得たから「誠実に対応していきたい」と言ったんだろうなあ。
態度の急変の「根拠」は、それしかない。
このニュースのいちばんのポイントは、「捜査終結後」だね。
そして、TBSが最初に報じたように、「国会招致」が「年内」ということなら、年内に捜査が終わる、というとだ。
ニュースは、見だしにならないところにある、といえるかも。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安倍国会招致の狙いは?(情報の読み方)

2020-12-18 10:36:08 | 自民党憲法改正草案を読む
安倍国会招致(情報の読み方)

 「桜を見る会補填問題」をめぐり、「安倍国会招致」のニュースが17日の夜から飛び交った。私がそれを知ったのは、知人がTBSの報道を知らせてくれたからである。TBSの「特ダネ」かと思ったが、各紙の朝刊に載っている。「特ダネ」ではない。しかし、伝え方のトーンが微妙に違う。

①TBS
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4154533.html?fbclid=IwAR2vqfo4GUSHiKM3vhiFLofsyq0yqdqp8vgL3_un1NQnZprKhLjGDQ9qOk0

安倍前首相の国会招致を検討、「桜を見る会」前夜祭の費用補てん問題
「桜を見る会」の前夜祭をめぐり自民党が、安倍前総理大臣の国会招致を検討していることが党幹部への取材でわかりました。
(略)自民党幹部の1人は「安倍さんに何らかの説明をしていただく必要はある」と話していて、与党側は司法の判断を待ったうえで、早ければ年内にも安倍氏を国会に参考人として招致する検討を進めています。

 最後のくだりは、当初は、「自民党幹部の1人は「何らかの説明をしていただく必要はある」と話していて、自民党は、早ければ年内にも安倍氏を国会に招致する検討をしているということです」だった。「検討している」が「検討をすすめている」にかわり、前にはなかった「参考人」が付け加わっている。
 これを読んで、私はフェイスブックに次のように書いた。

 国会は12月4日に閉会したのでは? もちろん閉会中も審議はできるが。わざわざ「年内」に開く? 「年内」って、実質何日? いままで野党の要求を拒否し続けてきたのに、急に方針転換をしたのは何故?
 私はなんだか菅の人気取りに利用されているような感じがする。学術会議、コロナ対策(菅自身の定員オーバー忘年会)で菅の人気はガタガタ。それを立て直すためなら、安倍を利用しようということなのでは? ほんとうに「年内招致」なら、それはそれで画期的な前進だけれど。
 私は、ずるずると引き延ばし、「年末年始のGOTO停止(コロナ感染の推移)」を見ながら、感染拡大がおさまるなら、「やっぱり、やめた」と方針転換するのでは、などと疑ってしまう。もしほんとうに「年内国会招致」なら、菅は、よほど「コロナ対策失敗」(人気の急落)が身にこたえていることになる。
 そして、自民党内が、いまテンヤワンヤなことがわかるニュースだなあ。なんとしても人気を回復したい一心なのだろう。

②東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/74981?fbclid=IwAR39zCZ0gEiop0w5l2H1Cn-M2uPYkgpZFGsZSQKCza-CMHNRaoyBXr_tVkM

「桜を見る会」前夜祭 安倍前首相が国会で「虚偽答弁」陳謝へ 自民、年内実施を検討
 自民党は17日、安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前夜の夕食会の費用補疑惑に関し、安倍氏を国会に招致する方向で調整に入った。東京地検特捜部の捜査や安倍氏の意向を考慮しながら早ければ年内にも実施したい考えだ。疑惑解明に努める姿勢を見せなければ世論が離反し、菅義偉首相の政権運営にも影響しかねないと判断した。安倍氏は国会での説明が結果的に「虚偽答弁」となったことを踏まえ、陳謝するとみられる。複数の関係者が明らかにした。
 来年1月18日召集の通常国会をにらみ、自民党内では「安倍氏を招致し、早めに区切りを付けなければ野党が追及を強める」(閣僚経験者)との懸念がある。次期衆院選への影響は不可避だとの危機感も判断を後押ししている。閉会中審査での対応を想定し、招致する場は野党と協議して決める見通しだ。

 TBS報道にはなかった「閉会中審査」と「陳謝するとみられる」がある。
 この記事の問題点は「陳謝するとみられる」。これは「複数の関係者」の見方。安倍が「陳謝する」と言ったわけではない。つまり、複数の関係者は「安倍に陳謝させる」という形で状況を打開したいと狙っているということだ。
 ここからも、菅の(あるいは菅を支える自民党内部の)混乱と、必死さがつたわってくる。

③毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20201217/k00/00m/010/419000c

「桜を見る会」前夜祭 安倍氏が国会で経緯説明 自民検討、年内の実施も視野
自民党は安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭の費用の一部を安倍氏側が補 (ほてん)していた問題を受け、東京地検特捜部による捜査が終結するなど進展した場合、安倍氏が国会で一連の経緯について説明する検討に入った。安倍氏の意向も踏まえ、判断する。早ければ年内の実施も視野に入れている。
(略)自民党は安倍氏については衆院議院運営委員会などに出席し、一連の経緯を説明することを想定している。安倍氏が公的な場で直接説明することで、世論の反発や疑惑を払拭する狙いがある。

 「陳謝(謝罪)」ではなく「経緯説明」と毎日新聞は書いている。そしてここでも「説明する」は安倍の意志ではない。安倍がそう語ったのではない。自民党(菅総裁)が「安倍に説明させる」ということにある。目的は「世論の反発や疑惑を払拭する狙い」と指摘している。狙いはあくまでも「選挙対策」(菅の人気回復)である。

④読売新聞(18日朝刊、西部版・14版)は政治面(4面)で2段の見出し。

安倍氏招致 自民幹部が言及/「桜」前夜祭 「国会で説明 必要」
安倍前首相側が主催した「桜を見る会」の前夜祭を巡る問題で、自民党幹部は17日、「捜査に一定の区切りがつけば、安倍氏が国会で説明することも必要だろう」と語った。安倍氏の国会招致を検討する考えを示したものだ。ただ、党内では招致に反対する声が強く、実現は容易ではない。

 私が読んだ記事の中ではいちばん淡々としている。毎日新聞は「経緯」と書いていたが、読売新聞は「経緯」を省略し、「安倍氏が国会で説明する」とあるだけで、何を説明するかが明示されていない。まだ安倍との間で調整が進んでいないことがわかる。さらにこの「説明する」には「ことも必要だろう」ということばが追加されている。「ことも必要だろう」にさらにことばを追加するなら「と考えている」である。言い直すと、「安倍氏が国会で説明することも必要だろうと考えている」である。あくまで、個人的な考えである。
 さらに「党内では招致に反対する声が強く、実現は容易ではない」と補足している。
 TBSの「特ダネ」と見えたのは、「リーク」というよりも「情報のばらまき」。「ばらまき」だとわかって、読売新聞は「リーク元」以外の自民党のほかのひとの声を取材し、「裏取り」をしようとしたのだろう。その結果「招致に反対する声が強く、実現は容易ではない」と書いたことになる。
 だからこそ、見出しも「自民党検討」ではなく、「自民幹部が言及」となっている。ある幹部が語った、というところで留めている。慎重である。一面ではなく、政治面に小さく載っているというのも、慎重な見方をあらわしている。
 読売新聞は、こんなところに「正直」を発揮している。TBSの「特ダネ」に見えたものは、実は「特ダネ」ではないと書くことで、まだ、安倍よりの姿勢も維持しているということか。

 さて、ここからわかることは何か。
 何もわからない。
 ただ、自民党内部が「菅の支持率下落」に動揺していることだけはわかる。このままでは選挙に勝てない。何をすればいいか。「悪人」を叩いて、菅の「正義」をアピールするしかない。
 ここで「正義」と書いたのは、安倍を国会に呼ぶことは「政策」でもなんでもないからだ。
 コロナ対策や学術会議は、国民生活の「今後」がかかっている。安倍の問題には安倍の今後がかかわっているが、国民の生活は関係ない。別なことばで言えば、「予算」が関係しない。もちろん「政治倫理」の問題として関係してくるともいえるが「政治倫理」ということばが象徴するように、それは「倫理」が基本問題である。
 「倫理」に対して「正義」を主張することは、国民に納得してもらえ、なおかつ菅自身には直接影響がない。
 そして、「正義」はいつでも「国民受け」がいい。「正義」が嫌いな人などいないからである。
 で、さらに、こんなことも考える。
 菅が「正義」をふりかざして安倍を追及し、菅自身の正しさをアピールするとき、その反動として安倍も「正義」をふりかざして菅を追い詰めることを考えるだろう。ひとりだけ政治の世界から追放されるということを受け入れるわけがない。すでに「鶏/卵」にからんでやり玉に挙がっている人がいる。
 もう「正義合戦」ははじまっているのだ。
 そして、この「正義合戦」がつづくとき(つづけてほしいと私は思うけれど)、コロナ対策や学術会議問題がわきにおいやられてしまう。そのことが心配だ。とくに「学術会議」の問題は、「批判」(反対意見)を民主主義にどう生かすかという問題と関係しているのに、いまは追及する声が聞こえにくくなっている。ジャーナリズムに登場しにくくなっていることが心配だ。






#菅を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#菅を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする