詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

詩はどこにあるか(50)

2005-10-14 00:48:57 | 詩集
寒山(「中国詩人選集5」岩波書店)

 「可笑寒山道」を読む。その5、6行。

  泣露千般草
  吟風一様松

 「一様」に驚く。入矢の口語訳は「くさぐさの草はしっとりとおりた露の下に泣き、どの松の梢もみな風に鳴って同じ歌をうたっている。」「一様」は「同じ」。
 5行目に「千」という数が出てくるので、しらずしらずに松が風に鳴る音も松の数だけあるように思ってしまう。しかし、「一様」。

 私は、寒山のことばにひきずられ、かってに想像してしまう。想像力が先走ってかってに風景を思い浮かべる。しかし寒山は具体的に風景に触れている。そのために想像力ではたどりつけない事実に触れる。それが「千般」と「一様」の強烈な対比となって立ちあらわれて来る。
 この瞬間に「詩」がある。

コメント
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