詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(38)

2023-09-13 23:18:51 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

 「九時から」は、ちょっと複雑な詩である。

十二時半。九時からの時間の早さ。

 九時から何かをし始め、十二時半になった。時がたつのは速い。
 主人公(カヴァフィス)は何をしたのか。何もしない。ただ思い出していた。そして、思い出すのは、若かったときだ。
 だから、ここに書かれているのは、実は九時から十二時半までの三時間半ではない。彼の長い年月のことを書いているのだが、では、なぜ九時からなのだろうか。十二時半までなのだろうか。
 たぶん。
 九時から十二時半まで、彼は楽しんだのだ。あるいは、十二時かもしれないが。毎日。それは、日課だったのだ。
 中井は「早さ」という表現を一行目でつかっているが、最後の方では「疾き」という表現をしている。わざと、「速さ」を「早さ」と、書いているだと思う。
 「十二時半、帰らなくては」「まだ早いじゃないか」。そんな会話が、書かれていないことばが、遠くから聞こえてくる。

 

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Estoy Loco por España(番外篇398)Obra, Jesus del Peso

2023-09-13 22:23:21 | estoy loco por espana

Obra, Jesus del Peso

 Esta obra de Jesús también es extraña. Existe en una forma inestable sobre una piedra inestable. Normalmente, esta obra caería. Pero ahí sigue. Como si ser inestable fuera el estado más estable.
 Contradicción.
 El descubrimiento de contradicciones puede ser el arte. No, el arte no es el descubrimiento de contradicciones, sino la creación de contradicciones. Crea algo que no existe. No hay contradicciones en la naturaleza. Sólo las cosas creadas por humanos pueden decirnos que existen contradicciones.
 ¿Esta obra, que parece un hombre sentado sobre una piedra leyendo un libro, es resultado de un cubo desmantelado o está a punto de convertirse en cubo? Jesús deja que el espectador decida. En otras palabras, le está diciendo al espectador que mire esta obra e imagine cómo se moverá, no sólo para imaginarla, sino para crear nuevas contradicciones.

 このJesus の作品も不思議だ。不安定な石の上に、不安定な形のまま、載っている。ふつうなら、この作品は落下する。だが、そのままとどまっている。まるで、不安定であることが、いちばん安定した状態であるかのように。
 矛盾。
 矛盾の発見が芸術かもしれない。いや、発見ではなく、創造が芸術である。存在しないものをつくりだす。
 この、石に腰掛け本を読んでいる男にも見える作品は、立方体が解体してできたものなのか、これから立方体になろうとしているか。どう判断するか、Jesus は見るひとに任せている。つまり、この作品を見て、この作品がどう動いていくか、それを鑑賞者に、想像し、さらに創造しろと言っている。

 

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