詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(39)

2023-09-17 21:04:41 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

 「午後の日射し」。珍しく「女ことば」で訳されている。なんとなく、べたっとした響きに聞こえる。

ああいう古い物って、まだ身のまわりに漂っているのね、きっと。

 この「漂う」という動詞が、それこそ「身のまわりに」からみついてくるようで、重たい。それに追い打ちをかけるように、「きっと」がつづく。
 もし「男ことば」として訳するなら、「きっと」は行末ではないだろうなあ、と思う。この「きっと」には、追いかけてくるような「未練」がある。そして、実際、この詩は未練の詩である。
 そう思うと、この詩を「女ことば」として訳したのは、深い配慮があるのだ。


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Estoy Loco por España(番外篇399)Obra, Luciano González Diaz

2023-09-17 11:10:43 | estoy loco por espana

Obra, Luciano González Diaz
" La huida " Realizada en bronce patinado, hierro patinado, mide 2mx 75x50cm

 "La huida". ¿De dónde y a dónde huye este hombre de Luciano? ¿De arriba hacia abajo? ¿De abajo hacia arriba?
 Imagino un movimiento de abajo hacia arriba. La esfera es una semilla. De ella crece un brote. Nadie sabe hasta dónde crecerá. Sube hasta donde crece. ¿Qué verá entonces el hombre? No es un mundo visto a través de una estrecha ventana. No hay marco. Él mismo, su cuerpo, sus pensamientos, se liberan en el mundo o en el univercio.
 Quiere ver lo que no conoce (lo que no ha visto). En consecuencia, no le importa dejar de ser él mismo. "Se huye" de si mismo del pasado al si mismo nuevo.
 Lo brote por los que trepa es delgado y siempre torcido. Pero su cuerpo es recto. No vacila en absoluto. Cuando trepe por el brote, éste se convertirá en tronco y el tronco en un gran árbol.

 " La huida(逃亡、脱出) "。Luciano のこの男は、どこから、どこへ逃げるのか。上から下へか。下から上へか。
 私は、下から上への運動を想像した。球体は種子。そこから一本の芽が伸びる。それはどこまで伸びていくのかだれも知らない。伸びるところまで登ってみる。そのとき男は何を見るだろうか。狭い窓を通して見る世界ではない。そこにはどんな枠組みもない。彼自身が、彼の肉体、彼の思想が、世界に向かって解放される。
 知らないもの(見たことのないもの)を見たい。その結果、自分が自分でなくなってもかまわない。彼は、過去の自分から、道の自分へと「逃げる」のである。
 彼が登る芽は細く、頼りなげに曲がっている。しかし、彼の肉体はまっすぐである。そこにはどんな迷いもない。彼が芽を登るとき、芽は幹に、幹は大きな木へと変わっていくだろう。

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