「夏の身体」。
不死の一瞬を再発見する。
「不死」は「いのち」。生きているということ。しかし、この行が「生を再発見する」、あるいは「いのちを再発見する」だとしたら、たぶん、印象は弱くなる。
「不死」は単純な「いのち/生」を意味しない。「不死」のなかにある「死」ということばが否定されることで、その奥から「いのち/生」が新しくよみがえってくる。「死」を越えて、よみがえってくる。この超越の運動が、詩の、ことばのいのちである。
この詩には「比喩」がたくさんある。「ヴィーナスの丘」とは「恥丘」のことだが、こういう「比喩」は何かをあらわすのではなく、何かを隠すことによって、逆に隠されたものを思い出させるという働きをしている。「恥丘」(このことばは、もはや死語かもしれない)を「ヴィーナスの丘」ということばで隠す。すると、人間というのはスケベなものだから、その隠されたものを「見たい」と思い、探す。そして「恥丘」を見つけ出し、にたりと笑う。この「探し出す」という行為をあおるのが「比喩」なのである。つまり、「比喩」とは、挑発なのである。
そう考えると、「不死の一瞬を再発見する。」の「一瞬」も、とてもおもしろい。挑発は、いつでも「一瞬」である。気づかないひとは、気づかない。「比喩」に感動するひとは多いが、「比喩による挑発」は「一瞬」のことである。感動しているひとは、「一瞬の挑発」を見逃している。詩人は「不死を再発見」したのではなく、不死の「一瞬」を再発見したのである。「不死」ということばの、そのことばのなかにある「衝突」を。
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