竹内健二郎『四角いまま』(ミッドナイト・プレス、2019年12月25日発行)
竹内健二郎『四角いまま』の「あくび」。
「あくび」とひとことにするのではなく「あ/くび」。その一呼吸のずれが、男を見ている感じを端的にあらわしている。あくびをするときも「あ」と肉体の中からおさえきれないものが漏れ、それにかたち(あるいは意味)を与えるようにして、残りの息が追いかけてくる。
これを竹内はさらに言い直している。
さて、吸い込まれたのは「男」か、「男」を見ている竹内か。あるいは、この詩を読んでいる私か。
見ること(読むこと)は自分の肉体をつかって、「事実」を反芻することである。くりかえすことによって「肉体」のなかで「事実」が「真実」になる。
そこには「あ/くび」のように、ちょっとことばにしにくい「間」のようなものがある。「間」を「意味」にしないで、「間」のままにしておくと、それは「魔」に変身するだろうと思う。
どうやって「意味にしない」か。
これは難しい。
*
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竹内健二郎『四角いまま』の「あくび」。
プラットホームで
男は
鼻からけむりを
大きく吐き出し
あ
くび をはじめた
「あくび」とひとことにするのではなく「あ/くび」。その一呼吸のずれが、男を見ている感じを端的にあらわしている。あくびをするときも「あ」と肉体の中からおさえきれないものが漏れ、それにかたち(あるいは意味)を与えるようにして、残りの息が追いかけてくる。
これを竹内はさらに言い直している。
閉じられていく まぶた
開かれていく くちびる
開きながら閉じていく ひとの身の
どこかに
男は
吸い込まれてしまったようなのだが
さて、吸い込まれたのは「男」か、「男」を見ている竹内か。あるいは、この詩を読んでいる私か。
見ること(読むこと)は自分の肉体をつかって、「事実」を反芻することである。くりかえすことによって「肉体」のなかで「事実」が「真実」になる。
そこには「あ/くび」のように、ちょっとことばにしにくい「間」のようなものがある。「間」を「意味」にしないで、「間」のままにしておくと、それは「魔」に変身するだろうと思う。
どうやって「意味にしない」か。
これは難しい。
*
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嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
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2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
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