「父と一緒に組合運動をしていた人は全員会社から解雇されたんだ。そして運動の中心になっていた父を訴えたんだ・・・」それを苦にしたジェヒョンの父は自殺を選んでしまったのだ。
そんな経緯を聞き、驚くジス。
ジェヒョンは無力感に労働運動に対する虚しさを感じ、結局今のような道を選んだのだろう。
しかし今は、もう誰も失いたくないという気持ちとやり直したい気持ちからジスを支えることを選んだようだ。
そんな話を聞き、更に心揺れるジス。
そんな中、施設に入所しているジスの父親から会いたいと連絡を受けるジェヒョン。
「君のお父さんを控訴しようとしたのは僕だ。君の義理のお父さんはそこまでは望んでいなかった。ただ、ジスの事もあり僕はやりすぎたんだ・・・・どうしても君が許せなかったんだ。」政治の道に進むことを考えていたジスの父にジェヒョンの義理の父は資金援助も申し出た事で更にジスの父は勢いづいたのだろう。
ただ、あの百貨店の崩落事故ですべては変わってしまったのだ。一旦手に入れたと思ったものを全部失い、更に自分のしたことでジェヒョンの人生もジスの人生もすべて変わってしまったのだ・・・・
ジェヒョンがジスを選ぼうとしていることを何としても止めたいジェヒョンの妻だが、ジェヒョンの心はもう決まっているようだ。
ジスが個人レッスンしか生活の糧が無くなってしまったことを知ると、彼女を援助しようとし、金銭援助を受けようとしない彼女に思いつく限りの食糧を彼女の家に送り届ける。
そんな中「僕が荷物を全部持っていなくなるから・・・もう苦しまなくていい」という言葉を残し、ジスの父親が亡くなるのだ。
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当時の事はジスに打ち明けることはせず、彼女を守ろうとするジェヒョンと、ジスの父親の葬儀にも出席したことが許せないジェヒョンの妻の離婚話はうまくいかない。
ジスをわざわざ呼び出してまで当時の事を打ち明け、彼女の罪悪感をあおるような行動をとるジェヒョンの妻。母に捨てられ、他人を利用してのし上がる父親の背中を見て育った彼女には、そんな行動でしか愛情を示すことが出来ないのだろう。
もう誰も失いたくないと思いながらも、ジェヒョンへの罪悪感から彼を避けようとするジスだが、ジェヒョンはジスから離れるつもりは一つもないのだ。
父の残した日記を読み、ジェヒョンへの罪悪感に苛まれていたジスに、「僕が君のお父さんの気持ちを逆なでしてしまったから、お父さんはあんな行動に出たんだ。結局僕が全部の原因だったんだ・・・」と言い、会社の中で株主工作を行いながらも、ジスの新しい生活を応援しようとする。切ない若い時代のエピソードを見ていると、そんな気持ちになるのも分かるような気がするのだが・・・・
しかし、ジスの父親が亡くなった時も「使えるカードがこんな形で無くなって残念だ。」という言葉を発するようなジェヒョンの義父とその娘であるジェヒョンの妻が諦めるはずもない。特にジェヒョンの義父にとっては、ジェヒョンはジスの父親と同じように簡単に使える駒の一つでしかないのだ。そんな駒の一つだったジェヒョンが自分に反旗を翻そうとしている。ただで済むわけがない・・・
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母の再婚を妨げないように、更には父親の事を考え、母の元を離れることを選択するジスの息子。中学生とは思えない母親思いの頭のいい子どもだ。