時は1920年、英国植民地時代のインドで繰り広げられる愛と友情と信念の物語だ。
村の少女を僅かな小銭で自宅に連れ帰る総督の卑劣な行動に、立ち上がるのは村最強の戦士であるビーム。総督は、警察で頭角を現すべく超人的な勤務態度を見せる屈強な警察官ラーマに彼の逮捕を命じるのだが、そこにはドラマティックな偶然な出会いがあり、何も知らない二人はあっという間に親友となるのだ。
アイコンタクトで少年の危機を救い、ビームの恋心をラーマがさりげなく後押しする。お互いの出自はさりげなく隠しながらも、それでも熱い友情を育む二人。
しかし、そんなブロマンス的なほのぼのした時間は長く続かず、ビームのありえない方法での少女奪還計画の中、火花の散るような熱い二人の直接対決で、映画は一度目のクライマックスを迎えるのだ。
水の中で戦い、燃え盛る炎の中を駆け抜け、銃撃戦の中で不死身の戦いを見せ、弓矢を放ち、そして人間に牙をむく猛獣たちをも自分の味方にして戦いを挑む。二人の運命の不思議さを語る重低音の歌が続く中で、繰り広げられる死闘。
普通だったら、ここで映画が終わってもなんの不思議もないのだが、ありったけの熱量で語りかけるインド映画はここからまた別のクライマックスが待っている。二人の人生とインドのおかれた立場がリンクしてさらに熱く燃え上がるのだ。
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バーフバリシリーズのS.S.ラージャマウリらしく、見ている間中「戦う男たちを称えよ!」というねちっこいシュプレヒコールが聞こえてくるような映画故、劇場が明るくなった時には、やや場内がざわざわしていた。こういう余韻を味わえるのが、映画館で観る醍醐味だと思う。
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3時間の長丁場だが、現地での上映と違って日本ではインターバルはなし。
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追記:
原案は監督であるS.S.ラージャマウリの実父が担当。独立運動の英雄二人は実在の人物で史実では行動を共にした事はないと言われているようだが、そこは壮大な物語を作るために大きな想像の力を働かせたらしい。
Naatu Naatu Full Video Song (Telugu) [4K] | RRR | NTR,Ram Charan | MM Keeravaani | SS Rajamouli
追記2:
この映画は独立運動にフォーカスしているが、今インド映画界では宗教対立(イスラム教徒とヒンズー教徒の衝突)やヒンズー教のイデオロギーを扱った映画が多いとの事。ボリウッド映画の多くは民間資金で制作されるも、政府の主張を広める事で補助金の獲得、撮影現場等の承認など恩恵を受けやすいのだそうだ。