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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

魔法科高校の劣等生 第15巻 古都内乱編<下> 感想

2015-01-17 11:04:15 | さすおに
前巻からの「古都内乱編」の完結編。
いろいろと言いたいことはあるのだけど、ネタバレ必至なので、まずは、いつもどおり、スペースを空けときます。






















































全部を読み終わっての第一印象は、肩透かしを食らった、というものかなー。
だって、全然、物語は完結していないからね。
直接的には、17巻からの「四葉継承編」に向けた、壮大な前振り、ってところかな。

だって、結局のところ、周公瑾が本当に消されたのかどうか、有耶無耶だから。
一つには、自害であること。
もう一つは、達也が倒したというよりも、一条が最終的な手を下したこと。

前者は、自害だから、確かに肉体は消えたのかもしれないけれど、それだけだよね。
この、最後の周の捕物のところは、思い切り駆け足だったし、その駆け足で解決された後に、取ってつけたように、九島光宣による、「精神干渉系魔法の原理~」に関する解説が、論文コンペの発表という形で付け加えられたりするとねー。

精神干渉系魔法は、周の十八番でもあったわけだから。
(もちろん、四葉の十八番でもあるのだけど、それについては後で)。

結論から言うと、周も、「霊体」的な存在、情報的な存在、要するに幽霊とか亡霊みたいなものなんだろうな、と思えてくる。
実際、この身体では30年、でも公称年齢は28歳とか、周自身が言ってたしね。
もう、身体を、一つの服みたいに、取り替えている、というのが、バレバレだよね。

だから、陰陽師的にいうと、蘆屋道満みたいなもの、かな。
時代時代に適度な人体に憑依して活動する存在。
彼の魔術を説明するために諸葛孔明が引かれていたけど、意外と、諸葛孔明の生霊だったりしてね。
というのも、古式魔法で、中国の方術士とかいいながら、全然、その核心に触れていなかったから。

それに、中国の魔法師、って、この物語的には、四葉、それも現当主四葉真夜の因縁の相手だからね。むしろ、例の真夜の事件の過程で、方術士側の、精神干渉系魔法を、四葉の方がパクっていてもおかしくないように思えるし。

そうそう、もう一つの、達也ではなく一条が実質的なトドメを刺した、というのも、肩透かしに見えるから。

というか、達也にしても、周がいかなる存在か、わからないまま終えているからね。彼が今回、周に対抗できたのは、あくまでも名倉が残した血のおかげだったわけだし。

だから、これは、きっと、達也と周の間で、因縁の対決が再燃すると思うんだよね。
その時は、今度こそ、達也が、周の正体をきちんと割り出した上で、勝利する、という流れで。

でないと、もはや人間核兵器になった達也に対して危害を加える存在なんて、物量で挑むものではなくて、達也自身の精神を壊しにかかる存在しかいないだろうから。
その意味で、達也の敵になる存在なんて、周ぐらいしか思いつかない。
まぁ、周も中ボスで、彼の後ろに、もっと強烈な精神干渉系魔法師がいるのかもしれないけれど。

ただ、ここまで来ると、もはや、マジでスタンド対決だよなw

で、最後の光宣による「想子(サイオン)」周りの話だけど、これは、もう完全に、四葉の魔法師の秘密バレの方向に向かっている、ということだよね。

あまりに、あからさまに取ってつけた解説だからw
まぁ、確かに、この古都内乱編は、論文コンペの傍らで行われていたことだけどさw
だからといってねー、最後の数ページで、超重要なネタを振ってくるかな―、と思ったよw

うまいぐあいに、次回以降、四葉継承編で、四葉の分家筋も多数登場するわけで、彼ら四葉系の人たちの魔法特性を逐一説明していけば、おのずから、精神干渉系魔法と「想子(サイオン)」との関わりが、具体的に見えてくる、ということでしょ、きっと。

同時に、ピクシー編のあたりからずーっとあった、「想子」と情報体の問題とかも明らかにされる、ってことなんだろうな。

そうすると、前に、確か「追憶編」の感想で書いたように、もしかしたら、深夜も、霊体として生きている、というか、化けて存在している、ってこともありそうだな、と。

まぁ、このあたりは、いよいよ、四葉の秘密、「想子」の秘密、達也の秘密、そして、達也と深雪の出生の秘密!、に迫っていく、ということだよね。

しかし、まさか、ホントに、達也と深雪は、兄妹ではない、という展開が来るとはな~。
あまりに、予想通りで笑ったw
もっとも、あれだけ、DNAが同じ、って連呼してたら、DNAが同じになるところでからくりがある、ってことになるに決まってるよねw

で、そのための、光宣の近親相姦による出生というネタだったとはね。

同じ調整体だから、水波は、光宣に一種の安堵を覚えたわけだし。

しかし、兄・妹ではないとなると、光宣の話から行くと、父・娘の関係にもなりそうで、怖いな。どうしたらそうなるのかはよくわからないけどw

あるいは、達也自身が完全なる調整体ということもあるのかもな―。
まぁ、そうなると、完全に、神話、の領域だけどね。

しかし、二年目に入ってからの、古式魔法、中国魔法の圧倒的な露出の多さを見ると、現代魔術を逸脱した存在である達也は、もう、オカルト的に、古の魔術の総決算としての調整体だった!バーン!、とか言われてもおかしくはないよな。

この作者は、そういったメチャクチャな設定も、一見もっともらしく、理詰めで説明してくるのだろうし。ていうか、そのために、来訪者編以来、これだけねちねちと想子のことを扱ってきているんだろうし。

だって、想子については、

それが、物質とは違うロジックで動くものであり、
しかし、物質というよりしろは絶対的に必要になる。
要は、PCのプログラムなのだけど、プログラムが、電気や半導体という存在がない限り、実効性をもたない、ってことまで踏襲している。

しかも、今回の、光宣説によれば、その情報体は、人間の認識や意志とも関わる。その意味では、人間なしでは存在し得ないものである。DNAでありながら、意識でもある、みたいなもので、もう、結構、なんでもありだよね。

で、それをピクシーの元になった情報的存在まで加味するのだから、平行世界までくみこむことになる。

もう、どうなるんだ―、この、妄想!って感じw

加えて、調整体たる魔法師の姿と、その血脈の強さから、血の濃さを求める狂気は、もうどこまでも突き進んでしまう。

血脈の維持に近親相姦なんて話は常道だし。
三親等以内は禁忌で、それ以外はいい、というのも、人間の作った勝手なルールでしかないし。

まぁ、そういう血の濃さの悲劇というのが、光宣なわけでしょ?

今回、その光宣の端正さは、物語の端々で、深雪に匹敵すると書かれていた。
つまり、光宣は深雪の男版。
当然、その逆も成り立つわけで、その場合、深雪は光宣の女版、となる。
となると、単に同種の「調整体」とつくろうと試みた際に、九島よりも四葉の魔術のほうが相性がよかっただけなんじゃないかなー、とも思えてきて。

かなりの確率で、深雪もそうやって作られた感じが強いよね。

もう一つ気になるのは、光宣の魔法力の総量の多さが、深雪に似ているというよりは、どちらかというと、達也に近いように感じること。

だから、光宣は達也とも同列のものに見えてくるわけで。

となると、そこから考えられるのは、

光宣 = 達也 + 深雪

という構図。つまり、光宣の虚弱体質の原因を、四葉では、達也と深雪の二人に振り分けることで、身体的な負荷を取り除いているのではないか、ということ。

そうなると、達也は、深雪の影、ということになる。

あるいは、今回ちょっと書かれていた、達也は一度子供の頃に殺されそうになったというのも、実際には、確かに達也は一度死んでいて、そこに、深雪の血を与えることで、蘇らせた?、ゾンビのような存在なのかもしれない。

まぁ、その場合、達也と深雪のどちらがどちらの、補填用の器かはわからないけど。

でも、光宣ですらこれだけのことを行ったんだから、狂気の集団四葉なら、これくらいのことをやってそうな気がするんだよなー。

そうであれば

深夜と真夜が、一時期、九島閣下wに弟子入りしてた、ということも意味がありそうだし。その場合は、深夜と真夜が、九島閣下の目論見を盗み出す、という意味で。

あるいは、前から疑問だった、身体的に破綻していた深夜が、どうして、実質的に年子である達也と深雪を産めたのか、という疑問にも答えられそうだし。こちらは、最初から体外受精の調整体だったから、で説明されそうだし。

深夜と真夜が双子だったから、二人とも、超絶的な魔法力を持つことができたけど、逆に、これが一人として産まれていたら、光宣のように、バランスを欠いた存在になっていたのではないか。だから逆に、四葉では、双子的な対の存在を作ることで、身体への影響を減らしていたのではないか、とか。
それなら、分家の黒羽の文弥と亜夜子が、図らずも「双子」であることも意味がありそうだし。
逆に、双子を選択的に生み出す技術を四葉は、というか、第四研は開発していたのかもね。
で、達也はその代替物として使われた、とか。

まぁ、この辺りは、もはや単なる連想・空想に過ぎないから、この先の展開を待つしかないのだけどw

でも、まぁ、こんなあたりのことが、次の四葉継承編できっと扱われるんだろうな。

で、その四葉の話で、二年生編が終わって、三年生編は、さんざん伏線をまき散らしている、レオとエリカの、ドイツ魔法師編になるんだろうな。

つまり、一年次はアメリカ、二年次は中国、三年次はドイツ、ということで。

で、そこで、そもそもDNA調整体として始まったレオの一族の話と、達也と深雪の血の調整体としての話がオーバーラップしながら語られるんだろうな、きっと。

そのエリカが感じたとおり、達也は、今回、言葉巧みに、一条を仲間にひきこんだわけだけど、その流れで、真由美や十文字も巻き込んでいくんだろうな。

しかし、真由美は、何なんだろうね。
あそこだけ、完全に蛇足だったな。
まぁ、最後に、名倉の一撃が周を追い詰めるのに役立ったということで意味を持ったわけだけど。それだけだったし。
このあたりの、ロマンス展開は、恐ろしく下手だよねw

ということで、古都内乱編の感想は、こんなところかな。

最初に書いたとおり、とにかく、今回の話は、次巻以降のための、長い前ふり、仕込み、にしかみえなかった。だから、お話単体としては、やっぱりそれほどおもしろくはなかった。

なので、本番は、次巻の四葉継承編なのだろう。

そういう意味では、確かに続きが楽しみ。

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