1996年5月16日にローマ近郊のカタコンベを訪れ、その時従来のわたくしのカタコンベについての理解(主に高校世界史教科書から)が間違っていたことに気づき2005年~2006年にかけてそのことをこのブログに書きました。2018年各教科書会社に連絡(電話)したところ「帝国書房」から訂正の手紙が来、それをこのブログに今年4月20日に紹介しました。その他の教科書出版社からは連絡はありませんでしたが、多分もう修正されているからだと思っていました。山川出版社にも連絡(電話)をしましたが電話であったせいかクレーマー扱いで「ケンモホロロ」の応対でその後連絡ももちろんありませんでした。ところが、今年山川出版の教科書英訳本を見るとやはりまだ間違いの記述がありました。そこで今度は手紙でそのことを連絡しました。この30日に返事があり、間違いを認めて訂正の回答がありました。写真はその手紙の主要部分です。写真は少し見にくいので主要部分を転記します。
頂戴したご質問は、47頁「catacomb」の解説について、「place of refuge and clandestine worship during the persecution」とあるが、この記述は誤りではないか、とのことでしたかと存じます。
このたび、本書のもととなる『詳説世界史 改訂版』の執筆者に確認しました所、確かにご指摘のように、キリスト教徒のカタコンベは迫害がない時代から造られており、またキリスト教に限らず「異教徒」のカタコンベもローマから延びる街道沿いによく造られたことから、「迫害されたから地下墓地に難を逃れてそこでひそかに礼拝していた」という理解は、現在では適切ではないだろうとのことでございました。つきましては、『詳説世界史』並びに『英文詳説世界史』の該当部分は、執筆者と相談の上、今後修正をさせていただきます。ご迷惑をおかけしたこと、深くお詫び申し上げます。
この後「こうした記述にいたった背景は***」との説明がありますが、わたくしにはよく理解できなかったので省略します。しかし、私とってなぜこのような間違った記述が長い間高校教科書にあったかの疑問は残ったままです。したがって、帝国書院の釈明の冒頭の「近年では」、同じく山川出版社の「現在では」には引っ掛かりがあります。
なお、以前にも紹介したように、わたくしが調べた範囲では唯一実教出版社「高校世界史B」のみが「迫害→避難→カタコンベ」の記述がなかったことを付け加えておきます。