採集生活

お菓子作り、ジャム作り、料理などについての記録

201108台湾:中元節

2011-08-23 | +海外

先日台湾に行った折り、店頭の歩道にお供えを出しているところをよく見かけました。
何だろう、と思っていたところ、スーパーのチラシに”中元節”というフレーズを発見。

なるほど、中元節か。

とはいっても何のことかさっぱり分かりません。
とりあえず目に留まったものを写真に撮っておき、帰ってから調べてみました。

資料いくつかを読んで、主観もまじえつつざっくり要約してみると次のようになります。

◎中元節とは・・・
道教の行事と仏教行事の盂蘭盆会(うらぼんえ)が習合し一体化したもの。

道教では旧暦の7月15日を中元といい、赦罪大帝(地官大帝)(中元公)の誕生日とされている。
なお、旧暦1月15日(賜福大帝/天官大帝の誕生日)を上元、旧暦10月15日(解厄大帝/水官大帝の誕生日)を下元といい、これら3つを総称して三元、この3人の神様を三官という。

赦罪大帝(地官大帝)の仕事は「赦罪」なので、お誕生日の月には死後の世界の門を開いてしまうので、ちゃんとしたお墓がない霊(好兄弟、ハオテンショー)はそのあたりをウロウロしまわることになる。
このさまよえる霊をなだめるため、赦罪大帝(地官大帝)の誕生日の日には供物をささげ、"拝拝(パイパイ)"をして供養する。
台湾では旧暦7月は"好兄弟"=鬼が徘徊している月ということで"鬼月"とも呼ぶ。

盂蘭盆会とは仏教行事のひとつで、安居(あんご)の最後の日(旧暦7月15日)を盂蘭盆とよんで、父母や祖先を供養するというもの。
道教の中元節と盂蘭盆会はたまたま(?)同じ日だったため、両者がひとつとなって盛んな行事となっていった。

詳しいことはよく分からないが、中国と日本のの中元(+盂蘭盆会)はかなり異なると考えてよさそう。日本では「地獄の釜の蓋が開く」という「赦罪」的な言い伝えもあるが、道教的な色合いはかなり薄れ、先祖供養という仏教的な意味合いが強い。
台湾では、みんなが実家に集まってお墓参り(先祖供養)をする日はこの日ではなく、清明節(4月7日頃)とのこと。

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宗教というのは土地によって独自の習合・発展をしていくので、本当はもっと複雑なのかもしれませんが、いまのところこの程度しか分かりませんでした。
現地の人に何をお祭りしているのですか?と聞いてみられればいいのだけどな。
(人によって微妙に違うような気もする)


さて、復習してから写真を見返すと、ちょっと理解が深まるような。

2011/08/12台南の中元節 街角のお供えの一例。
これはビル(大会社)の前だったせいかどうか、大規模な方です。

個人商店の前は、机ひとつ分くらいというのが多いです。
2011/08/12台南の中元節 こちらもりっぱな方。
手前に見える飲み物のカップは7つというのが台南の方の決まりだとか。

左側に縛って積み上げてあるのは、おそらく
神様用のお金の"紙銭"で、燃やします。
これだけ大量の紙を燃やすのは環境上如何なものかという意見もあるようで、最近は小切手方式もあるとかないとか・・・。
2011/08/12台南の中元節 お供えは、お頭つきの魚(揚げ魚)、鶏の丸焼き、豚バラ肉(揚げてある)の3点がセットのようです。

2011/08/12台南の中元節 どうりで市場には、鶏の丸焼きが勢揃い。

2011/08/12台南の中元節 そしてお魚も、尾頭付きで立派なものが。

2011/08/12台南の中元節 ベジタリアン(素食)のお供え3点セットも用意されています。
これはお豆腐製ではないかと。
(もしかするとサツマ揚げ的なものかもしれません)

2011/08/12台南の中元節 こちらはサツマイモの薄切りチップを飴で固めたもの。
通常時もお菓子として売られているものですが、肉・魚・鶏のお供えの形になるのはこういったお祭りの時ならではだと思います

2011/08/12台南の中元節 あんこ入りおまんじゅうでできた、豚肉・魚・鶏のお供え。

2011/08/12台南の中元節 街角ではなにか燃やす儀式をしていました。
みんなが捧げ持っているのは竹ではなくサトウキビ。

奥の路上に見える黄色いものは、神様用のお金の"紙銭"で、後でこの缶で燃やすのだと思います。

街中には紙銭(及びお供え用品)の専門店をよく見かけます。それくらい一般的。

2011/08/12台南の中元節 かなり盛大に燃えてます・・・。

ここでは大きめの缶を使っていますが、街中には焦げ目のある小さめの缶(円筒形の5ガロン缶くらいのサイズ)がよく置いてあります。
台湾では月に2回くらいは何らかの"拝拝"をするようです。

2011/08/12台南の中元節 その奥の通り全体がお供えロード。

右手前にスツールに乗った赤い洗面器とタオルが見えますが、これはお供えにつきもののお道具で、亡霊達"好兄弟"が体を綺麗にするための配慮だそうです。


上のお供えテントは、特にどうってことのない街角にありました。
ぱっと見たところでは寺院なものも見えなかったし。

これが立派なお寺だったら、さぞかし・・・。

という訳で祀典武廟(大関帝廟)に行ってみました。
台湾の関帝廟の総本山で、道教の神様関羽をまつったところです。


お供えはやはりすごいことになっていました。
台南でおそらく一番盛大なのではないかと思います。
(結構なまなましい写真ですので、苦手な方はお気をつけ下さい)


2011/08/12台南の中元節 バラ肉なんかじゃなくって,尾頭付きの豚・・・。

左手前の丸焼きも、ニワトリではなくもっと大きな鵞鳥か何かと思われます。

豚の頭に刺してあるのはおそらくお香で、これが燃えている間は神様や亡霊たちがお食事中、という意味になるとか。
2011/08/12台南の中元節 写真には写りませんが、ものすごーく暑いのです。

色々心配になりますが、おそらくお腹には保冷剤が入っていると思われます。
扇風機を回して冷却&ハエ除けも考えているようです。
2011/08/12台南の中元節 奥にももう3頭。
計6頭の豚がお供えされていました。

テントの外には人だかりが。
2011/08/12台南の中元節 近寄ってみると、祭壇の上ではお坊様(?)がお経(?)を唱え、時折、ばらばらっと飴やお菓子を蒔いていました。
お経は日本のものとは全く違う音程・曲調でした。


台湾人の知人に以前聞いたところによると、神様へのお供えの豚は、とても特別なものだそうです。
子豚の時に、丈夫そうなものを厳選して選抜し、美味しいものをたっぷり食べさせ、限界まで太らせるのだそうです。成長するに従い自分の足では立てないくらい大きくなるので、横倒しに寝かされてエサを与えられるそうです。
ひ弱な子豚だと、ここまで太れずに途中で死んでしまったりするとか・・・。


今回見かけたお供えの豚はそこまで大きな豚ではないように思いますが、それでもずいぶん立派な豚でした。
しかも6頭。

お供えのお下がりは一体どうなるのかとっても気になります・・・・・。



■参考情報
農暦中元節 拝拝  台湾在住経験のある方のブログ記事
Wikipedia 盂蘭盆
Wikipedia お盆
Wikipedia 清明
台南の祀典武廟

コメント (4)
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