熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

国際水準の革新に挑戦する大学・・・21世紀COEプログラム

2006年02月03日 | 政治・経済・社会
   本日、経団連ホールで、北海道大学と九州大学共催で、「北と南から、日本が変わる、世界が見える」と言う21世紀COEプログラム活動報告会が行われた。
   遠山敦子元文部大臣や吉川弘之元東大総長など関係者でのパネルディスカッション「日本の大学はどうあるべきか?」を挟んで、中村睦夫北大総長と梶山千里九大総長から大学の未来を志向した戦略戦術等が語られ、両大学から21世紀COEプロジェクトの使命や進行状況について熱っぽく報告されるなど極めて密度の高いシンポジュームが展開された。

   最大の成果は、各大学で平成14年度から進行している21世紀プログラムの日本の大学に与えた大きなインパクトであろう。
   平成13年6月の「大学の構造改革の方針」に基づき、平成14年から文部科学省に新規事業として「研究拠点形成費補助金」が措置され、世界トップレベルの大学と伍して教育及び研究活動を行って行く為に、毎年、多くの大学から応募されたプロジェクトを選考してCOEプログラムとして補助金を交付し助成している。
   世界最高水準の研究教育拠点を形成し、研究水準の向上と世界をリードする創造的な人材育成を図るため、重点的な支援を行い、国際競争力ののある個性輝く大学作りを推進するこの21世紀COEプログラム、Center of Excellennce(COE)とは云い得て妙である。
   このプログラムが、国立大学の独立行政法人化とイノベーション志向のベンチャービジネス活性化の世の風潮と呼応して、今まで眠っていた大学に知の集積拠点としての自覚と革新への息吹に火を点けて始動させ始めたのである。

   例えば、今回報告された
   北大の「海洋生命統御による食料生産による革新」では、地上生物による食料生産では高々90億人の人口しか地球上では養えないので、無限の可能性のある海を開拓漁場にして、食料安全保障プロジェクトを推進すると言う。
ニジマスや金魚にウナギを産ませて汚染や伝染病フリーの安全な食料を提供すると言うのである。
   Boys. Be Ambitious! クラーク先生の意志が生きている北大、「スラブ・ユーラシア学の構築」は、ベーリング海を越えて、ロシアから東欧を見据えた壮大なプロジェクトで、世界の研究拠点として認知されていると言う。

   東京より中国・アジアに開いた九大では、アジア人のための学問、例えば、モンゴロイドに効く薬の開発など、アジアの大学の中心拠点、知の集積拠点を目指している。
   「水素利用機械システムの統合技術」は、「地球温暖化」や「化石燃料の枯渇」を見越した明日のエネルギー開発と機械化へのプロジェクト。
   「大規模コホートに基づく生活習慣病研究教育」では、生活習慣病の発症機構と治療法の開発の為に、エビデンスを集積する目的で、長期に及ぶ多数の集団の臨床データとゲノムデータの蓄積と解析、即ち、臨床ゲノム疫学的研究を続けている。

   午後から、更に、北大九大とも各々2プロジェクト報告があり、両大学の副学長から、研究戦略が説明され、両大学OB代表から期待が述べられた。

   明日は、東京工大、来週は東大。大学発信のオープン講座が多くなった。
   わが母校京都大学の経済学部からもCOE報告会の案内が来た。
   早稲田には、もう、何回もCOE報告会の聴講に出かけている。
   とにかく、日本の大学が動き始めたのである。

   ブッシュ大統領も、年頭教書で、基礎科学・先端科学の研究を重視し、数学・科学教育を更に強化することによってイノベーションを志向した強いアメリカを作るのだと宣言している。  
   アメリカには、巨大な軍隊があって膨大な国家予算をつぎ込んで戦略兵器を開発すると同時に、最先端の科学技術を開発して民間に移譲している。
   それに、産軍共同体、その協力体制は強く、アメリカの先端科学開発の能力は桁外れに強い。

   どうするのか、日本。
   21世紀COEプログラムは、せめてもの進展。
   出る杭を打つ文化の日本、長所を伸ばす文化のアメリカと言われて20年とか。坂村健教授は、唯一十分な開発予算を使えたNTTが分割されて弱体化して技術開発力を削いでしまったと言う。 
   豊かな文化の開発も、最先端技術の開発も、膨大な富の蓄積と投入が必要であったことを歴史が教えているのだが。
   
コメント
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