日本経済が、失われた20年に呻吟し、経済不況からいまだに脱出できないのは、須らく、デフレが元凶だと言うことだが、そのデフレの原因については、諸説紛々である。
この本のタイトルが、「ネットデフレ」、ITが生み出した負のスパイラルと言うサブタイトルがつく。
「デフレの正体は、ネットの進化にあり! 経済の足を引っ張り、デフレスパイラルを巻き起こし、雇用を奪う恐るべき現在の怪物」との切り口で、インターネットのEコマースを問題としている。
ICT革命が、経済全般に亘って革命的な生産性の向上を齎して、これが、ICTデフレの原因だと思っている私の見解とは、大分違うが、著者の説くネットデフレも、そのデフレ要因の一つだと考えられるので、ネットデフレの問題点について、検討してみたいと思う。
著者の説くネットデフレの発生メカニズムは、極めてシンプル。
商品のメーカーは、ECサイトと言う謂わば自販機で商品を売れるようにパッケージ化し、次に、ヤフーや楽天と言ったEモールへの出店者(または自営ECサイトオーナー)が、そのパッケージ化した商品を購入して自身のECサイトへ陳列する。
消費者は、Eモールまたは価格比較サイト(価格コム等)で、商品名を入れて検索し、最安値ショップを探してそのショップの評価などを参考にして大丈夫そうなら商品をバスケットに入れて購入する。
商品の実物については、リアルショップに出かけて現品を確認し、もし、リアルショップで、iPhone表示の価格比較サイトの価格と比べて値切って安ければ買うが、普通の場合には情報入手先に止めてネットで買うので、益々売れなくなる。
実際にも、安い筈のヤマダ電機やビッグカメラなど量販リアルショップの店頭価格さえ、価格コムの最低価格よりははるかに高い場合が多い。
ネットデフレの問題点の一つは、ECサイトで得るために何でもかんでもパッケージ化して、人間が販売時に提供すべきだった付加価値を捨ててしまうこと。
二つ目の問題は、付加価値を削ぎ落されたパッケージ商品は、価格勝負でしかなくなり、一番安いものしか売れなくなり、益々熾烈な価格破壊競争を助長する。
一つ目の問題は、雇用機会を著しく狭めて行き、二つ目の問題は、商品価格の下落傾向に歯止めをかけることが困難になり、両者相まって、リアル店舗の商行為に悪影響を与えて経済の悪化要因となると言うのである。
このメカニズムについては、殆ど異存はなく、私など、かなりの商品は、ネットショッピングしており、最近では、何かを買ったり何かをしようとする時には、殆どと言っても良い程、パソコンを叩いて価格やその商品に関する情報を得ており、特に、価格については、価格コムなど最低市場価格を表示してくれるのであるから、神経質にならざるを得ない。
尤も、価格コムでの表示価格であるが、最低価格を表示しているショップに在庫が沢山ある訳ではなく、ごく少数の消費者が殺到するだけも、売り切れてしまい、瞬時に価格は変動するが、その価格がある程度理屈が通るものであれば、追随ショップが現れるので、傾向線は分かる。
ところで、ネットショッピングでのトラブルであるが、特にカード決済で心配する向きがあるが、私の場合には、海外生活も永かったので、随分、カードのお世話になっているのだが、殆ど、問題はなかったし、ネットショッピングでもトラブルはなかった。
最近では、アマゾンのショップが充実して来て、本以外の一般商品でも最安値を提示する場合も多くて、同じショップでの買い物と言う安心感さえ出て来ている。
さて、ネットショッピングは、パッケージ化しやすいジャンルで、単純な商品のみならず、旅行、保険、証券、電子出版などにも及んでおり、これらの分野でも急速にネットデフレが進行いしているが、Eコマースは、パッケージ化の困難なアレンジ型の商品・説明商品・人的サービスを販売することが出来ないので、その市場は6.7兆円で伸び悩んでいる。
それは、ネットには欠陥があるからで、ネットは、ホームページのウェブ閲覧と電子メールのコミュニケーションだが、この2つが統合されておらず、この2つはずっとバラバラに進化を遂げて来たからだと言う。
この問題の深入りは止めて、ネットデフレに限定して、経済効果とその影響を考えてみる。
市場を提供して基本料金などフィーを稼ぐ楽天やヤフー、基本料やクリック課金、販売報酬などで儲ける価格コムなどは、収益基調であっても、価格を比較してより安いものしか売れなくする仕組みで、激烈な価格競争で血みどろの戦いを強いられているECサイト出店者は、益々窮地に追い込まれて行き、消費者は利するにしても、その消費者が同時に生産を担う生産者でもあるから、益々、デフレスパイラルが進行して経済が悪化して行く。
一般的には、デフレは、膨大な需給ギャップによって起こると言われているのだが、私は、グローバリゼーションの拡大による要素価格の急激な低下によるユニクロ型デフレやこのネットデフレと言った価格下落現象の方が強烈だと思っている。
過日、アマゾンで、新本と全く変わらない瀬戸内寂聴の小説(ハードカバー)を、中古品の出店、で買ったのだが、本代は1円、送料は250円で、合計251円で、クリック一つで1週間以内に手元に届くと言う現実に直面すれば、いくら広告宣伝のためとは言え、経済原則がどこで働いているのか、疑問を感じざるを得ない。
ECコマースやネットショッピングで、新境地を開いて盛業だと考えていた旅行業でも、生保でも、証券業でも、出版業でも、謂わば、自販機と化した業務でネットデフレが進行し、収益がどんどん悪化して経営が窮地に追い込まれていて、価格破壊と雇用機会の損失が、延々と続いていると言う。
激烈なグローバルベースの競争社会で、ICT革命の最先端を行く筈の、Eコマースにのめり込めばのめり込む程、価格競争に追い込まれて、デフレの波に翻弄されると言う、この逆説的な潮流の中で、如何に、差別化を図り、或いは、無市場のブルーオーシャンを追及して行くのか、益々、難しくなってきたと言うことであろうか。
この本のタイトルが、「ネットデフレ」、ITが生み出した負のスパイラルと言うサブタイトルがつく。
「デフレの正体は、ネットの進化にあり! 経済の足を引っ張り、デフレスパイラルを巻き起こし、雇用を奪う恐るべき現在の怪物」との切り口で、インターネットのEコマースを問題としている。
ICT革命が、経済全般に亘って革命的な生産性の向上を齎して、これが、ICTデフレの原因だと思っている私の見解とは、大分違うが、著者の説くネットデフレも、そのデフレ要因の一つだと考えられるので、ネットデフレの問題点について、検討してみたいと思う。
著者の説くネットデフレの発生メカニズムは、極めてシンプル。
商品のメーカーは、ECサイトと言う謂わば自販機で商品を売れるようにパッケージ化し、次に、ヤフーや楽天と言ったEモールへの出店者(または自営ECサイトオーナー)が、そのパッケージ化した商品を購入して自身のECサイトへ陳列する。
消費者は、Eモールまたは価格比較サイト(価格コム等)で、商品名を入れて検索し、最安値ショップを探してそのショップの評価などを参考にして大丈夫そうなら商品をバスケットに入れて購入する。
商品の実物については、リアルショップに出かけて現品を確認し、もし、リアルショップで、iPhone表示の価格比較サイトの価格と比べて値切って安ければ買うが、普通の場合には情報入手先に止めてネットで買うので、益々売れなくなる。
実際にも、安い筈のヤマダ電機やビッグカメラなど量販リアルショップの店頭価格さえ、価格コムの最低価格よりははるかに高い場合が多い。
ネットデフレの問題点の一つは、ECサイトで得るために何でもかんでもパッケージ化して、人間が販売時に提供すべきだった付加価値を捨ててしまうこと。
二つ目の問題は、付加価値を削ぎ落されたパッケージ商品は、価格勝負でしかなくなり、一番安いものしか売れなくなり、益々熾烈な価格破壊競争を助長する。
一つ目の問題は、雇用機会を著しく狭めて行き、二つ目の問題は、商品価格の下落傾向に歯止めをかけることが困難になり、両者相まって、リアル店舗の商行為に悪影響を与えて経済の悪化要因となると言うのである。
このメカニズムについては、殆ど異存はなく、私など、かなりの商品は、ネットショッピングしており、最近では、何かを買ったり何かをしようとする時には、殆どと言っても良い程、パソコンを叩いて価格やその商品に関する情報を得ており、特に、価格については、価格コムなど最低市場価格を表示してくれるのであるから、神経質にならざるを得ない。
尤も、価格コムでの表示価格であるが、最低価格を表示しているショップに在庫が沢山ある訳ではなく、ごく少数の消費者が殺到するだけも、売り切れてしまい、瞬時に価格は変動するが、その価格がある程度理屈が通るものであれば、追随ショップが現れるので、傾向線は分かる。
ところで、ネットショッピングでのトラブルであるが、特にカード決済で心配する向きがあるが、私の場合には、海外生活も永かったので、随分、カードのお世話になっているのだが、殆ど、問題はなかったし、ネットショッピングでもトラブルはなかった。
最近では、アマゾンのショップが充実して来て、本以外の一般商品でも最安値を提示する場合も多くて、同じショップでの買い物と言う安心感さえ出て来ている。
さて、ネットショッピングは、パッケージ化しやすいジャンルで、単純な商品のみならず、旅行、保険、証券、電子出版などにも及んでおり、これらの分野でも急速にネットデフレが進行いしているが、Eコマースは、パッケージ化の困難なアレンジ型の商品・説明商品・人的サービスを販売することが出来ないので、その市場は6.7兆円で伸び悩んでいる。
それは、ネットには欠陥があるからで、ネットは、ホームページのウェブ閲覧と電子メールのコミュニケーションだが、この2つが統合されておらず、この2つはずっとバラバラに進化を遂げて来たからだと言う。
この問題の深入りは止めて、ネットデフレに限定して、経済効果とその影響を考えてみる。
市場を提供して基本料金などフィーを稼ぐ楽天やヤフー、基本料やクリック課金、販売報酬などで儲ける価格コムなどは、収益基調であっても、価格を比較してより安いものしか売れなくする仕組みで、激烈な価格競争で血みどろの戦いを強いられているECサイト出店者は、益々窮地に追い込まれて行き、消費者は利するにしても、その消費者が同時に生産を担う生産者でもあるから、益々、デフレスパイラルが進行して経済が悪化して行く。
一般的には、デフレは、膨大な需給ギャップによって起こると言われているのだが、私は、グローバリゼーションの拡大による要素価格の急激な低下によるユニクロ型デフレやこのネットデフレと言った価格下落現象の方が強烈だと思っている。
過日、アマゾンで、新本と全く変わらない瀬戸内寂聴の小説(ハードカバー)を、中古品の出店、で買ったのだが、本代は1円、送料は250円で、合計251円で、クリック一つで1週間以内に手元に届くと言う現実に直面すれば、いくら広告宣伝のためとは言え、経済原則がどこで働いているのか、疑問を感じざるを得ない。
ECコマースやネットショッピングで、新境地を開いて盛業だと考えていた旅行業でも、生保でも、証券業でも、出版業でも、謂わば、自販機と化した業務でネットデフレが進行し、収益がどんどん悪化して経営が窮地に追い込まれていて、価格破壊と雇用機会の損失が、延々と続いていると言う。
激烈なグローバルベースの競争社会で、ICT革命の最先端を行く筈の、Eコマースにのめり込めばのめり込む程、価格競争に追い込まれて、デフレの波に翻弄されると言う、この逆説的な潮流の中で、如何に、差別化を図り、或いは、無市場のブルーオーシャンを追及して行くのか、益々、難しくなってきたと言うことであろうか。