熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

久しぶりの鎌倉・東慶寺、源氏山越え

2013年04月08日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   好天に恵まれた日の午後、時間が取れたので、久しぶりに北鎌倉駅で降りて、源氏山に登って鎌倉に抜けることにした。
   一つだけお寺を訪問するとするならば、私の場合には、東慶寺に決まっている。
   別に特別な理由はないのだが、背後の墓地も含めて、殆ど境内全体が庭園のようなもので、何か花が咲いていて、季節の移り変わりを感じさせてくれるからである。
   明月院など、鎌倉には、他にも花の寺はあるのだが、元尼寺であった所為もあって、東慶寺は、境内そのものが実に優しくて、散策するだけで、心を和ませ憩わせてくれる雰囲気がある。

   梅も桜も盛りを過ぎてしまって、遅咲きの梅や八重桜などが残っている程度なのだが、微かに残る色合いが新緑に映えて、パステルカラー調の優しい春の風景を醸し出していて、それなりに絵になっている。
   山門を潜ると、鐘楼の前にピンクの乙女椿が咲いていて、その背後の濃桃色と白色の八重桜が彩りを添えており、黄緑の新芽が淡い逆光を浴びて輝いていて美しい。
   鐘楼の背後の藪には、赤い藪椿と白椿が咲いていて、手前にボリューム感たっぷりのヤマブキの陰にひっそりと佇む風情が実に優しくて良い。

   この東慶寺の境内の背後の山にかけては、沢山の墓が並んでいて、西田幾多郎や和辻哲郎など日本屈指の文化人たちの墓もあるようだが、私には、花木や草花などが織り成す風景や自然の営みなどにしか興味がないので、墓石を調べたことはない。
   左手の山中に、聳え立つ大きなヤマザクラには、まだ、少し花が残っていて、墓地の八重桜と、新緑とのコントラストが実に良く、杉の大木の頂上の枯葉さえもが彩りを添えて絵のような景色を作り出している。

   このお寺の境内には、沢山の花木や草花が植えられていて、季節毎に、花を咲かせていて、楽しませてくれるのであるが、どうも、参道の梅並木以外は、厳格な作庭プランに従ったのではなく、思い思いに、花などがどんどんと付け加わって植えられたような感じである。
   境内の参道手前には、塔が立ったハボタンが並んで植えられていて、その背後には、オレンジがかった強い色のボケが咲いていて、仏殿の手前には、ハナカイドウの幼木が花を咲かせている。
   墓地の入り口には、何株かのミツマタが花を咲かせていて、境内のあっちこっちには、シャガが盛りで、鎌倉のいたるところで見かける淡い紫色のスミレも、墓地の陰にひっそりと咲いている。
   
   面白いのは、このお寺の名物でもあるイワタバコが、びっしりと岩の壁面に、鮮やかな葉を茂らせて、花季を待っている。
   その合間に、気まり悪そうにスミレが咲いているのが面白い。
   しきりに囀り続けるウグイスの鳴き声を聞きながら、春の心地よい涼風に吹かれて、春のひと時を憩っていた。
   
   
    
   

   帰りは、浄智寺脇を抜けて、源氏山を登って行った。
   何時もは、銭洗弁天側から北鎌倉に抜けるのだが、初めて逆方向の道を源氏山越えをしたのだが、この道の方が、大分、のぼりが多いようで、一寸、きつい感じであった。
   源氏山の遊歩道も、ピンクの八重桜、椿、そして、新緑の織り成す彩が、春の気配を感じさせてくれ、ウグイスの囀りが、どこまでも追いかけてくる。
   シーズンだと言うのだが、賑わうのは銭洗弁天までで、源氏山には殆ど観光客はいなかった。
   
   
   
コメント
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