熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

大阪・奈良へのショート・トリップ(3)

2020年02月02日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   薬師寺を訪れると、前後して、必ず、唐招提寺へ行く。
   玄奘三蔵院を塀越しに、5分ほど、きれいな水の流れる小川沿いに北へ歩くと、唐招提寺の南大門に出る。
   こじんまりした寺院で、この門を入ると、正面奥に、重厚な金堂が見える。
   この金堂は、最近、大修理が終わったところで、テレビでも、その工事が放映されていたが、背後に建つ講堂に、詳細な木組みを示した模型が展示されていて、大屋根を支えるための補強などが示されていて興味深かった。
   木材を補修した個所など散見されたが、金堂そのものは、まったく前と同じ佇まいで、大改修など何のその、太古の雰囲気を醸し出していて凄い。

   金堂は、廬舎那仏坐像を安置する仏殿で、左右に、千手観音立像、薬師如来立像、その前の左右に、梵天・帝釈天立像、堂の四隅に、四天王立像が安置されていて、すべて奈良時代の国宝というから凄い。
   勿論、仏像だけの仏殿なので、内陣や外陣はなく、仏像だけの奈良時代の金堂建築唯一の遺構だという。
   戸が開かれているので、網の間から、仏像が良く見える。
   私は、十一面観音に興味があるので、金堂の仏像の中で、十一面でもある千手観音立像が好きである。
   残っている手は、953本というから凄い。
   

   境内は、薬師寺のように広くてオープンではなく、こじんまりしてコンパクトだが、端正で美しい塔頭が並んでいて、非常に気持ちが良い。
   奥の開山堂には、鑑真和上の身代わり像が安置されており、上野で拝見した時の雰囲気とはほとんど違ってはいないほどリアルで素晴らしい。
   

   開山堂の背後から門を出て、裏の鑑真和上御廟に行くと、その手前の杉林の地面の苔が美しい。
   京都の寺社では、よく見る庭の風景だが、奈良では、比較的珍しい。
   

   さて、唐招提寺は、鑑真和上のお寺で、天平宝字7年(763年)ここで遷化し、弟子の忍基が鑑真の彫像を造り、現代まで唐招提寺に伝わっている国宝唐招提寺鑑真像である。
   私は、大学に入ったころに、井上靖の「天平の甍」を読んでいたので、鑑真和上が、如何に凄い中国の高僧であったかということをよく知っている。
   若い留学僧普照と栄叡の偉さは筆舌に尽くしがたいが、5度にわたる艱難辛苦の船旅を乗り越えて来日した鑑真和上の凄さは、人知を超越している。

   鑑真は東大寺大仏殿に戒壇を築き、上皇から僧尼まで400名に菩薩戒を授け、その後、常設の東大寺戒壇院が建立された。
   唐招提寺で、鑑真和上を偲んだ後であったので、東大寺に歩いて、時間の都合で、戒壇堂だけ訪れた。
   非常に小さくてシンプルなお堂だが、天平彫刻の傑作と言われる凄い四天王像が安置されていて、これを見るために、何度訪れたか、乾漆 不空羂索観音立像など凄い国宝仏が集まっている法華堂・三月堂とともに、私の好きな東大寺の拝観スポットである。
   

   この日、完成なった興福寺の中金堂を訪れた。
   単層裳腰つき寄棟づくりの重厚な巨大な建物で、明るくオープンな広い堂内に、興福寺の本尊釈迦如来坐像が安置されている。
   金ぴかで真新しい感じなので、何となく有難味に欠けてしまうのだが、左右に、国宝の四天王立像や、重文の薬王・薬上菩薩立像や大黒天立像が安置されているものの、威圧されてこじんまり見えるのが面白い。
   重文の吉祥天倚像は、厨子の扉が閉まっていたので拝見できなかった。
   直ぐ傍、五重塔の隣に国宝仏の沢山ある東金堂があるのだが、時間がなくて入れなかった。
   
   

   その後、奈良県庁の屋上と展望台に上って、奈良と周辺を一望した。
   あまり知られていないようだが、奈良を訪れて、まず、最初に上って、奈良の地図を頭に入れるに格好の場所である。
   ここから見た風景は、
   
   
   
   
コメント
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