熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

本屋さんがドンドン消えて行く

2022年12月11日 | 書評(ブックレビュー)・読書
   先日、日経が、「書店の無い市町村26%に 店舗10年で3割減 文化発信の場、消失に懸念」と報じた。
   書店のない市町村が全国で26.2%に上ることが出版文化産業振興財団(JPIC)の調査で8日、分かった。全国1741市区町村のうち456市町村が書店の空白域となっている。人口減少による経営難や活字離れ、スマートフォンの普及による娯楽の多様化が背景にあり、全国の書店数はこの10年で約3割も減少。地方では文化発信の場が失われるとの懸念も強い。と言うのである。
   

   書店は売り上げの約8割を出版社や取次会社に支払うため、粗利益は2割程度とされている。人口減と活字離れに加え、雑誌を扱うコンビニの増加が書店の経営を圧迫。電子書籍やネット通販の台頭も影響する。地方のみならず、東京都内でも10年で約3割も書店数が減少している。と言うことで、最早、尋常では、商売にはならないと言うことであろう。

   さて、読書が人生そのものである私だが、傘寿を超えた今でも、専門書を含めて月に3~4冊は中身のかたい新本を買っているので、本離れとは無縁である。
   若いときには、暇があればしょっちゅう書店に立ち寄って時間を過ごして、読めないのが分かっていても、何時か読めるであろうと期待して本を買い続けてきた。
   読んだ本の数も膨大だが、宿替えが頻繁であった所為もあって、随分処分してきたが、今でも、倉庫には1000冊近くは残っていて、フィラデルフィアとロンドンから帰国するときに買いそろえた本も少しになったが、まだ残っている。
   それに、わが書斎には所狭しと本が積み上がっていて、まだ増え続けている。

   ところが、本の調達方法なり調達先が、全く変ってしまっていて、本屋に直接行って本を買うことがなくなって、殆どAmazonなどインターネットで処理している。
   コロナ騒ぎ以降、観劇などで頻繁に出かけていた東京へも足遠くなって行く機会も殆どなくなって、東京都心の大型書店や神田神保町、それに、横浜などの書店に行くこともなくなってしまった。
   文化都市であるはずの鎌倉も書店不毛地帯で、近所の書店が消えてしまって、バスや電車に乗って行くほどの魅力的な書店もない。

   勿論、リアル店舗に行って、実際に本を手に取って、知の遭遇を楽しみながら本を探す醍醐味に勝るものはないのだが、それには、東京の都心にあるような何でも揃っている大型店舗に行かないと満足できない。
   書店では、本の中身をチェックするので、買い間違いはないのだが、ネットショッピングだと、結構当たり外れがあって失望することもあるが、仕方がない。
   尤も、Amazonだと、試し読み機能があり、かなり、本の中身を確認出来るし、それに、解説やレビューなど、結構関連情報も記載されていて、翻訳本だと、USA Amazonを検索すれば、更に詳細な情報が得られるので、それ程不自由はなくなっており、とにかく、ロングテール、どんな本でも手に入るシステムが良い。
   
   本屋が、ドンドン消えて行くと言う現象は、地方都市の駅前通りがシャッター通りに変っていくのと同じで、小売り産業の構造変化の一環であることは間違いなく、これに、活字離れが加速しているのであろうから深刻である。
   「地方では文化発信の場が失われるとの懸念も強い。」と言うのなら、公立図書館や役所に本屋を併設したり、公共機関が調達する本をすべて地元書店で調達させるなど、地方政府が、本気になって本屋救済の行政指導に乗り出すべきであろう。
   極論かも知れないが、イギリスではビル開設時には必ずパブを付設することになっていたように思うが、日本も大型開発案件の時には、書店併設を義務づければ良かろうと思うがどうであろうか。
コメント
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