熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

庭で何となく過ごすひととき

2022年12月17日 | 生活随想・趣味
   歳の所為でもないと思うが、書斎でパソコンを叩いたり、和室で本を読んでいるときなどに、休憩を兼ねて、フッと庭に出て、何となくぶらぶら過ごすことがある。
   そんな時には、マグカップにコーヒー牛乳をタップリ入れて出て、花が咲いていればカメラを持ち出す。

   週日には、学校に行き来する小学生達の賑やかな声が聞こえるが、古い住宅地なので、普段は人通りも少なくて、静かである。
   時々、飛行機の爆音が遠くに聞こえたり、宅配便など作業車が通るくらいで車も少なく、時折、散歩姿の老人に出会うが、寒くなってきたので、鎌倉山に歩く観光客もいなくなった。気の遠くなるような静けさが支配する。
   いわば、気分転換に過ぎないのだが、なぜか、歳を取ると苦しかったことや面白くないことばかりを思い出すことが多いので、庭の冷気に触れると妙に気が落ち着くのでホッとしている。
   
   
   
   
   

   庭園に出て、何もせずに無為にぶらぶらすることは、ロンドンのキューガーデンの傍に住んでいたときにも、良くやっていた。
   この時は、一眼レフを持って出たので写真を撮るつもりであったが、殆どは、観光客を避けて自然環境が残っているような林や裏庭に回って、目的もなくぶらぶら歩くのが好きであった。珍しい綺麗な野鳥が近づいてくることもあったし、小動物も足下を駆け抜けた。
   多忙を極めていたので、キューガーデンを訪れる機会も少なかったが、目と鼻の先であったし、年間パスポートも持っていたので、偶然取れた散策の時間は貴重であった。
   近くのリッチモンドの山間に入ると渓谷となるが、キューガーデンに接するテームズ川は、とうとうと流れていて、ロンドン近郊の僅かな距離でありながら、大都会有り田園地帯有り、幾重にも姿を変えて流れる不思議な大河である。
   このキューガーデンには、あっちこっちに生前の思い出のためにとファンに寄付されたベンチがあって、テームズの河畔で、小一時間座って瞑想に耽ることもあった。
   このキューガーデンは、世界最高の大植物園であって、古い昔から世界中にプラントハンターを派遣して植物を集めてきたので、日本の桜もモミジも椿も沢山植わっていて、日本の花木がシーズンには咲き乱れていた。
   これらの花木に癒やされながら、望郷の思いに浸っていた日々が無性に懐かしい。
コメント
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