熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

文化三昧ミラノ・ロンドン旅・・・23 世界一の植物園キューガーデン、イギリスでの故郷

2005年08月09日 | 欧州紀行(文化三昧ミラノ・ロンドン旅)
   7月11日、朝から、地下鉄を乗り継いで、キューガーデン(正式には、The Royal Botanic Gardens, Kew)に出かけた。  
   乗り継ぎのアールズコートまで来るともう郊外の雰囲気、ウインブルドン行きとの分岐でリッチモンド行きに乗り換える。便数は少なくて不便だが、急に日本の郊外電車風の車内に変わる。

   12年ぶりのキューガーデン駅である。裏手であった北側の駅前が、小奇麗な高級住宅地の様な瀟洒な雰囲気に変わっていた。
   渡り廊下で反対側の駅正面に出たが、このあたりの環境は殆ど変わっていない。郊外住宅街の小さな小奇麗な駅前で、ビルやビジネスとは殆ど縁がない。
   スターバックスと街路にテーブルを広げた綺麗なレストランが増えたくらいであろうか。小さなスーパーや銀行、果物屋や花屋、雑貨屋、クリーニング店、懐かしい店がそのままの佇まいで残っている。
   
   駅前の小さな広場の向こう側に、私たちが3年間住んでいた家が見える。キューガーデンのビクトリア門に真っ直ぐ突き当たるリッチモンド通りの左側の一番最初の一戸建てが、我が家であった。広いバックヤードには大きなサクランボの木があって、毎年、大変な数の実をタワワニ付けていたし、四季毎に色々の花が咲いてくれていた。
   変わっていない家の前を通ってキューガーデンに向かった。

   私は、あの頃、このキューガーデンの年間メンバー券を持っていて、休日が取れるとカメラを抱えていそいそとこの公園に出かけて、四季の移り変わりと自然の営みの不思議さを感じながら散策していた。
   木枯らしの吹きつける厳しい冬、ほんの少し陽気が緩むと一面に広がるクロッカスの花畑、桜が咲き誇る春、白鳥や水鳥、そして、雉等が雛を従えて岸辺を歩く初夏、温室やアトリウムの世界中から集めた不思議な花や植物、広大な公園の何百年も立ち続ける巨木、・・・行く毎に風景が変わっていたが、多忙な日々を過ごしていたので、私には、公園での日々が憩いであった。

   ビクトリア門の辺りのパブリックスペースが綺麗になっていたが、公園の中は昔のままである。
   もっとも、私が良く出かけて高山植物の花の写真を撮っていたアルパイン・ハウスが工事中で消えていたし、キュー宮殿が修復作業中で入れなかったが、広大な池や庭園は変わっていなかった。
   この公園には、大英帝国の威光を楯に世界中から植物が集められ、栽培され研究されていて植物学の重要な研究拠点でもあるようで、そこまで行かなくても、ガーデニング講習位は受けておくべきだったと後悔している。

   テームズ川が優雅に蛇行する公園の外れに出て、森の中を引き返して、池の畔で水鳥親子の戯れを観察していた。
   白鳥のヒナは大分大きくなっていたが、やはり、これは醜いアヒルの子。他の水鳥も卵が孵った後であろうか、沢山のヒヨコが親鳥を追っている。親鳥がどんな色や形をしていても、どのヒヨコも鶏のヒヨコと同じ白い縫ぐるみの様な姿をしているのが面白い。

   この公園には、至る所に長いすが置かれていて散策者を慰めてくれる。イスの背もたれには、「この公園を限りなく愛したわが父母メアリーとジャックの思い出の為に」等の献辞が書かれている。
   私も、娘達に頼もうかと思っている。

   ビクトリア門を出て、キューロードを左に歩いて、「メイド・オブ・オナーズ」に向かった。所謂、喫茶店であるが、王室に仕えた女官長があみ出したスコーンとかが抜群の味で、私はこれを目的に何度もここに通ってアフタヌーン・ティを楽しんだ。キューに住んでいた時には、休日ごとにこのスコーンんを買いに来た。
   普通のスコーンとは違って、バターをたっぷり含ませて甘く味付けされたスコーンで、焼きたて数時間しか風味と味が持たないが、ここのたっぷりとしたイチゴケーキと共に私のキューの思い出が凝縮されているのである。

   残念ながら、月曜日で12時弊店、店は閉まっていた。
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