
最近は、ロンドンでのショッピングと言ってもあまり興味がなく、限られている。
本の老舗ハッチャードで本を探すこと、ジャーミン街のベイツで何か気に入った帽子を探すこと、そして、フォートナム&メイソンで紅茶を買うこと、これくらいであろうか。
私は、フォートナム&メイソンには、目的を持って行く。
それは、紅茶ダージリンのその年の新茶ファースト・フラッシュを買うことで、それがなければ、他のダージリンか上等なレア・ティーを買うことにしているのである。
新茶は、季節商品で人気が高い為に、5月から8月にかけて店頭に派手にディスプレイされるが、時期を外すと完全に消える。
もう10数年続いているが、帰国してからは、ロンドンへの旅行徒路や留学中だった娘に依頼するなりして手に入れていたが、それがダメな時は、店から直送して貰っていた。
普通、フォートナム&メイソンで、250g入りの化粧カン入りの紅茶でも5ポンド程度なのだが、同じ250g入りのこの一番摘みの新茶1箱は、20ポンド以上しており、他の上等なレア・ティーと比べても高い方である。
一頃、15ポンド程度だったが、ある年突然20ポンド近くに値上がりし、その年は、レア・ティー様の褐色の木箱に変わり数年続いていたが、今年からまた元の白っぽい木箱に戻った。
木箱には、勿論、ワインのビンテッジの様に年代が入っている。
何故、この一番摘みのダージリンに拘るのかと言うことであるが、色々、試みてみて、ストレートで飲んでこれが一番美味しいからと言う事に尽きる。
ジムやマーゴは、笑っているが、イギリスと一番の違いは、水質の差。イギリスでは、極端に言えば、どんな茶葉でも美味しい紅茶を煎れられるが、日本では、水が合わなくて、茶葉を間違うと、香り、味、風味、総てが各段に落ちてしまう。
今まで、高級なホテルやレストランでも、正直な所、美味しい紅茶を飲んだことがないし、街の喫茶店では、リプトンのティー・バッグに熱湯を注いでいるだけだとか。
私は、日本では、自宅以外ではあまり紅茶を飲まないことにしている。
ところで、美味しく紅茶を煎れる方法とか、正しい紅茶の飲み方とか、結構、巷では紅茶道には、喧しいが、この一番摘みのダージリンでは、新鮮な熱湯さえあり、多少、紅茶の煎れ方に慣れれば、特別な注意など要らない。いとも簡単に美味しい紅茶がストレートで頂けるのは請け合いである。
ところで、このフォートナム&メイソンであるが、1707年創立の英国王室御用達の超名門百貨店。元々、食料品専門店だが、高級食器などは勿論、高級婦人服などを商い始めたので百貨店になってしまったが、食料品に関しては、世界的な名店である。
19世紀半ば、クリミア戦争従軍中のナイチンゲールに、濃縮ビーフ・スープをヴィクトリア女王の命令で送った事は有名な話で、店頭に入れば、豊富な食料品のデスプレィに圧倒される。
今回は残念ながら、1人だったので遠慮して行けなかったが、フォートナム&メイソンの4階(日本の5階)に、瀟洒なレストランがあって、伝統的なアフタヌーン・ティーやハイ・ティーを楽しむことが出来る。
私は、これまでに、有名だと言われているサヴォイやリッツ等のホテル、昔華やかなりし頃のカフェ・ロワイヤル等、色々なところでアフタヌーン・ティーを楽しんでいるが、このフォートナム&メイソンは、紅茶のみならず、ケーキなどの専門でもある食料関連の第一人者で、これに過ぎたる場所はない。
煌びやかな銀器に輝くセッティングで、3段重ねに盛られたスコーン、プチ・ケーキ、サンドイッチ、それに、選択された上等なレア・ティーの香り。パステル調のどこか女性的・王朝風の雰囲気で、相客次第だが、ここは、静かなアフタヌーンを憩うのに最適の場所だと思っているのだが、どうであろうか。
私が、初めてアフタヌーン・ティーを頂いたのは、仕事で訪英した初めの頃で、元貴族の領主風の館で、女主人から、スコーンの食べ方等丁寧に教えてもらった。
スコーンをナイフで半分に切って、クロッテッド・クリームとイチゴジャムをつけて挟んで食べた時の、あの紅茶との素晴らしいマッチングを今でも思い出す。
余談だが、その後、素晴らしい食事でのワインとの出会い(料理とワインとの相性が良ければ両方とも素晴らしく美味しくなること)に、感動したのも、こんな出会いであろうか。
アフタヌーンを豊かにしたのも、英国人のたゆまぬ食への拘り、決して食音痴でもないのかも知れない。
英国人は、休日など、あの豊かなイングリッシュ・ブレックファストをブランチ風に食べて、後、遅い午後に、アフタヌーン・ティーを食べれば、それで充分で一日2食で行けるかもしれない。
ハイ・ティーは、アフタヌーン・ティーより少し遅く、それを多少変形して、軽いベーコンやエッグ、サーモン料理を加えたもので、夕食に近くなる。
紅茶文化に拘る英国人、だから、紅茶を確保する為に、中国でアヘン戦争を起こしたのかもしれない。
ところで、フォートナム&メイソンの社史では、ボストンのティー・パーティ事件に関しては関わっては居ないと言っているがアヘン戦争については記述していない。
何れにしろ、ロンドンの繁華な道路工事現場で、11時になると休息しながら美味しそうにマグカップを傾けて紅茶で憩っている人々を見ていると、イギリスは紅茶の国だとつくづく思う。
しかし、晩餐やパーティでの終わりは、紅茶ではなくコーヒー。これについては、また別の機会に書きたいと思う。
本の老舗ハッチャードで本を探すこと、ジャーミン街のベイツで何か気に入った帽子を探すこと、そして、フォートナム&メイソンで紅茶を買うこと、これくらいであろうか。
私は、フォートナム&メイソンには、目的を持って行く。
それは、紅茶ダージリンのその年の新茶ファースト・フラッシュを買うことで、それがなければ、他のダージリンか上等なレア・ティーを買うことにしているのである。
新茶は、季節商品で人気が高い為に、5月から8月にかけて店頭に派手にディスプレイされるが、時期を外すと完全に消える。
もう10数年続いているが、帰国してからは、ロンドンへの旅行徒路や留学中だった娘に依頼するなりして手に入れていたが、それがダメな時は、店から直送して貰っていた。
普通、フォートナム&メイソンで、250g入りの化粧カン入りの紅茶でも5ポンド程度なのだが、同じ250g入りのこの一番摘みの新茶1箱は、20ポンド以上しており、他の上等なレア・ティーと比べても高い方である。
一頃、15ポンド程度だったが、ある年突然20ポンド近くに値上がりし、その年は、レア・ティー様の褐色の木箱に変わり数年続いていたが、今年からまた元の白っぽい木箱に戻った。
木箱には、勿論、ワインのビンテッジの様に年代が入っている。
何故、この一番摘みのダージリンに拘るのかと言うことであるが、色々、試みてみて、ストレートで飲んでこれが一番美味しいからと言う事に尽きる。
ジムやマーゴは、笑っているが、イギリスと一番の違いは、水質の差。イギリスでは、極端に言えば、どんな茶葉でも美味しい紅茶を煎れられるが、日本では、水が合わなくて、茶葉を間違うと、香り、味、風味、総てが各段に落ちてしまう。
今まで、高級なホテルやレストランでも、正直な所、美味しい紅茶を飲んだことがないし、街の喫茶店では、リプトンのティー・バッグに熱湯を注いでいるだけだとか。
私は、日本では、自宅以外ではあまり紅茶を飲まないことにしている。
ところで、美味しく紅茶を煎れる方法とか、正しい紅茶の飲み方とか、結構、巷では紅茶道には、喧しいが、この一番摘みのダージリンでは、新鮮な熱湯さえあり、多少、紅茶の煎れ方に慣れれば、特別な注意など要らない。いとも簡単に美味しい紅茶がストレートで頂けるのは請け合いである。
ところで、このフォートナム&メイソンであるが、1707年創立の英国王室御用達の超名門百貨店。元々、食料品専門店だが、高級食器などは勿論、高級婦人服などを商い始めたので百貨店になってしまったが、食料品に関しては、世界的な名店である。
19世紀半ば、クリミア戦争従軍中のナイチンゲールに、濃縮ビーフ・スープをヴィクトリア女王の命令で送った事は有名な話で、店頭に入れば、豊富な食料品のデスプレィに圧倒される。
今回は残念ながら、1人だったので遠慮して行けなかったが、フォートナム&メイソンの4階(日本の5階)に、瀟洒なレストランがあって、伝統的なアフタヌーン・ティーやハイ・ティーを楽しむことが出来る。
私は、これまでに、有名だと言われているサヴォイやリッツ等のホテル、昔華やかなりし頃のカフェ・ロワイヤル等、色々なところでアフタヌーン・ティーを楽しんでいるが、このフォートナム&メイソンは、紅茶のみならず、ケーキなどの専門でもある食料関連の第一人者で、これに過ぎたる場所はない。
煌びやかな銀器に輝くセッティングで、3段重ねに盛られたスコーン、プチ・ケーキ、サンドイッチ、それに、選択された上等なレア・ティーの香り。パステル調のどこか女性的・王朝風の雰囲気で、相客次第だが、ここは、静かなアフタヌーンを憩うのに最適の場所だと思っているのだが、どうであろうか。
私が、初めてアフタヌーン・ティーを頂いたのは、仕事で訪英した初めの頃で、元貴族の領主風の館で、女主人から、スコーンの食べ方等丁寧に教えてもらった。
スコーンをナイフで半分に切って、クロッテッド・クリームとイチゴジャムをつけて挟んで食べた時の、あの紅茶との素晴らしいマッチングを今でも思い出す。
余談だが、その後、素晴らしい食事でのワインとの出会い(料理とワインとの相性が良ければ両方とも素晴らしく美味しくなること)に、感動したのも、こんな出会いであろうか。
アフタヌーンを豊かにしたのも、英国人のたゆまぬ食への拘り、決して食音痴でもないのかも知れない。
英国人は、休日など、あの豊かなイングリッシュ・ブレックファストをブランチ風に食べて、後、遅い午後に、アフタヌーン・ティーを食べれば、それで充分で一日2食で行けるかもしれない。
ハイ・ティーは、アフタヌーン・ティーより少し遅く、それを多少変形して、軽いベーコンやエッグ、サーモン料理を加えたもので、夕食に近くなる。
紅茶文化に拘る英国人、だから、紅茶を確保する為に、中国でアヘン戦争を起こしたのかもしれない。
ところで、フォートナム&メイソンの社史では、ボストンのティー・パーティ事件に関しては関わっては居ないと言っているがアヘン戦争については記述していない。
何れにしろ、ロンドンの繁華な道路工事現場で、11時になると休息しながら美味しそうにマグカップを傾けて紅茶で憩っている人々を見ていると、イギリスは紅茶の国だとつくづく思う。
しかし、晩餐やパーティでの終わりは、紅茶ではなくコーヒー。これについては、また別の機会に書きたいと思う。