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フランス2TVが、ロンドン名物のブラックキャブが、中国製部品を使ったばっかりに、故障だらけで、2万台もリコールしたので、コベントリーの製造会社は破産したと放映していた。
イギリスのBBCならいざ知らず、フランスのTV局が放送するところが、非常に興味深いところだが、このタクシーは、元はオースティンFX4で、もう何十年も同じ形の車体で走っており、2階建ての赤いロンドンバスと双璧の人気公共交通機関である。
運転席と客席が、厳つい隔壁で仕切られていて、客席のタッパが高くて装甲車のような感じの客席で、日本のスマートなタクシーとは違うが、荷物は客席へ持ち込めるのが良い。
その後、FX4R からランドローバー製 2.2 Lに変わり、私がロンドンにいた頃には日産製TD27型に代わったのだが、最近は、中国の吉利汽車の資金導入を得て、生産を続けていたようである。
製造コストが1台3万ユーロもかかるので、部品の大半から車体まで中国製となっており、これが、故障を頻発させたので、急遽、部品交換のため英国製に切り替えたためにコストがアップして、企業を窮地に追い込んだのだと言う。
ここで問題にしたいのは、中国の製造業の抱える問題である。
粗悪品が多くて品質に問題があるとか、公害物質を使った製品が多いとかと言った中国製品の質の問題ではなくて、中国の製造業が、現在のような状態から、どう変わって行くのかと言うことである。
同じ、NHKのワールドWaveで、英国の洗剤メーカーが、かっては、中国で生産すれば、40%のコスト削減になったが、今日では、中国の人件費の高騰でその差は10%くらいに低下し、有能な人材の確保が難しくなったので、中国の工場を閉鎖して英国に帰ってきたと放映していた。
顧客は、Made in UKを好むのだと言うが、当然であろう。
これと同じ状況は、アメリカでも起こっていて、ドル安の貢献もあるのだが、中国の人件費の高騰や信頼できない労働慣行、それに、製品の輸送コストなどを考えれば、今や、中国での生産のメリットがなくなって、中国に進出していたアメリカの中小企業が、どんどん、アメリカに回帰しているのだと言う。
この傾向が、オバマ政権のアメリカ製造業の復活に勢いをつけている。
日本の場合は、100円ショップが健在であることを考えれば、まだ、中国製のコストメリットはあるのだろうが、むしろ、日本にとっては、政治的なカントリーリスクと言う厄介な問題がるので、事情は違ってはくる。
しかし、中国市場など海外市場を目指した製造拠点としての中国投資ならいざ知らず、コスト・メリットを考えて中国に進出していた海外投資は、中国の急速な労働環境の変化や公害など深刻な社会問題など投資環境の悪化を考えれば、どんどん、減少して行くであろうと考えられる。
非効率な中国の国営企業については、今回言及しないが、中国のMNC化したスーパー・ジャイアント企業は別として、中国の製造業の大半は、海外輸出によって繁栄を続けてきており、それらの企業が、ヨーロッパを筆頭として海外需要の大幅な落ち込みによって、過剰投資のために窮地に立っていると言う。
品質が悪くてコスト競争力が落ちた中国製品が、どこで活路を見出すのか、結局、内需の拡大以外にはないのだが、労働分配率が低くて庶民の購買力が低迷するなど消費のGDP比率が35%と低位であるから、多くを期待出来ない。
GDPの50%近くを投資が占めていて、更に、輸出が中国経済のドライブ要因だと言う跛行的な経済構造をいつまで続けられるのかと言うことも、中国経済の将来を占う上では、非常に重要な要因であろう。
同時に、中国が今日の経済成長と経済的活力、政治的安定を維持出来るかと言う問題だが、世銀の「現在ある中国の経済発展モデルが持続不可能」と言ったレポートや「中所得国の罠」など、中国経済の将来には多くの未知数な不安要素もあって予断を許さないと言うのが現状であろう。
さて、先に言及したロンドンタクシーのように、経営危機に陥ったバーゲン価格の先進国製造業の、中国企業による買収なりM&Aと言ったケースだが、欧米でも日本でも、かなり、頻繁に見られる。
成功するかしないかは、ケースバイケースだと思うが、私は、先進技術と新興国のローカル・ニーズが上手く融合した形のリーバース・イノベーションを目指すのなら成功するだろうが、資金の投入だけで中国ビジネスをやるのなら失敗するケースが多いであろうと思っている。
イギリスのBBCならいざ知らず、フランスのTV局が放送するところが、非常に興味深いところだが、このタクシーは、元はオースティンFX4で、もう何十年も同じ形の車体で走っており、2階建ての赤いロンドンバスと双璧の人気公共交通機関である。
運転席と客席が、厳つい隔壁で仕切られていて、客席のタッパが高くて装甲車のような感じの客席で、日本のスマートなタクシーとは違うが、荷物は客席へ持ち込めるのが良い。
その後、FX4R からランドローバー製 2.2 Lに変わり、私がロンドンにいた頃には日産製TD27型に代わったのだが、最近は、中国の吉利汽車の資金導入を得て、生産を続けていたようである。
製造コストが1台3万ユーロもかかるので、部品の大半から車体まで中国製となっており、これが、故障を頻発させたので、急遽、部品交換のため英国製に切り替えたためにコストがアップして、企業を窮地に追い込んだのだと言う。
ここで問題にしたいのは、中国の製造業の抱える問題である。
粗悪品が多くて品質に問題があるとか、公害物質を使った製品が多いとかと言った中国製品の質の問題ではなくて、中国の製造業が、現在のような状態から、どう変わって行くのかと言うことである。
同じ、NHKのワールドWaveで、英国の洗剤メーカーが、かっては、中国で生産すれば、40%のコスト削減になったが、今日では、中国の人件費の高騰でその差は10%くらいに低下し、有能な人材の確保が難しくなったので、中国の工場を閉鎖して英国に帰ってきたと放映していた。
顧客は、Made in UKを好むのだと言うが、当然であろう。
これと同じ状況は、アメリカでも起こっていて、ドル安の貢献もあるのだが、中国の人件費の高騰や信頼できない労働慣行、それに、製品の輸送コストなどを考えれば、今や、中国での生産のメリットがなくなって、中国に進出していたアメリカの中小企業が、どんどん、アメリカに回帰しているのだと言う。
この傾向が、オバマ政権のアメリカ製造業の復活に勢いをつけている。
日本の場合は、100円ショップが健在であることを考えれば、まだ、中国製のコストメリットはあるのだろうが、むしろ、日本にとっては、政治的なカントリーリスクと言う厄介な問題がるので、事情は違ってはくる。
しかし、中国市場など海外市場を目指した製造拠点としての中国投資ならいざ知らず、コスト・メリットを考えて中国に進出していた海外投資は、中国の急速な労働環境の変化や公害など深刻な社会問題など投資環境の悪化を考えれば、どんどん、減少して行くであろうと考えられる。
非効率な中国の国営企業については、今回言及しないが、中国のMNC化したスーパー・ジャイアント企業は別として、中国の製造業の大半は、海外輸出によって繁栄を続けてきており、それらの企業が、ヨーロッパを筆頭として海外需要の大幅な落ち込みによって、過剰投資のために窮地に立っていると言う。
品質が悪くてコスト競争力が落ちた中国製品が、どこで活路を見出すのか、結局、内需の拡大以外にはないのだが、労働分配率が低くて庶民の購買力が低迷するなど消費のGDP比率が35%と低位であるから、多くを期待出来ない。
GDPの50%近くを投資が占めていて、更に、輸出が中国経済のドライブ要因だと言う跛行的な経済構造をいつまで続けられるのかと言うことも、中国経済の将来を占う上では、非常に重要な要因であろう。
同時に、中国が今日の経済成長と経済的活力、政治的安定を維持出来るかと言う問題だが、世銀の「現在ある中国の経済発展モデルが持続不可能」と言ったレポートや「中所得国の罠」など、中国経済の将来には多くの未知数な不安要素もあって予断を許さないと言うのが現状であろう。
さて、先に言及したロンドンタクシーのように、経営危機に陥ったバーゲン価格の先進国製造業の、中国企業による買収なりM&Aと言ったケースだが、欧米でも日本でも、かなり、頻繁に見られる。
成功するかしないかは、ケースバイケースだと思うが、私は、先進技術と新興国のローカル・ニーズが上手く融合した形のリーバース・イノベーションを目指すのなら成功するだろうが、資金の投入だけで中国ビジネスをやるのなら失敗するケースが多いであろうと思っている。