熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

リオの地球環境サミットに欠席した日本・・・郵政民営化にウツツを抜かす日本

2005年08月27日 | 地球温暖化・環境問題
   ノンフィクション作家山根一眞氏が「環業革命」と言う本を書いた。人類最大の危機「地球温暖化」等宇宙船地球号が直面する極めてシアリアスな試練について報告した貴重なレポートである。
   環境をテーマにした「愛・地球博」に呼応して出版されたのであろうが、売れなかったのであろう、神田神保町の古書店で山積みされ叩き売られていたので買って読んだ。  
   巷では、アスベスト、アスベストとマスコミに煽られて騒いでいるが、根本的な環境問題については無関心、みんなの環境問題意識はこの程度なのである。

   話は飛ぶが、山根氏が公演でも、この本でも触れているのは、1992年6月リオ・デ・ジャネイロで開催された「地球サミット」に、日本だけ、代表者が出席しなかったことである。
   当時のブッシュ(父)大統領、メイジャー、ミッテラン、中国・李鵬、ムバラク、マハティール、それに、カストロまで参加しており、183カ国の代表やNGOやNPO等7、946団体、18、900人が参加した。
   この「地球温暖化、酸性雨など顕在化する地球環境問題を人類共通の議題と位置付け、『持続可能な開発』という理念の下に環境と開発の両立を目指して開催された国際環境開発会議に、宮沢首相は、今は泡沫政党になってしまった某野党に国会会期中逃げるのかと言われて東京を発てなかった、そして、ビデオ出演を申し入れて世界の失笑を買ったと言う。

   私が問題にしたいのは、為政者が考えなければならないのは、その時点で、何が最も人類にとって国民にとってプライオリティが高いか、緊急重要かと言う判断、価値観で行動しなければならないと言うことである。
   以前にこのブログでも触れたが先のローマ法王逝去の時も、日本からは適切な参列者を送れなかった、いや、送らなかった。
   とにかく、環境問題は、もう既に地球のオゾン層に穴が開き、地球のエコシステムが破壊し始めて危機的な状態まで来ている。

   ところで、衆議院議員選挙が近づいているが、原因は、小泉首相の郵政民営化法案の帰趨が発端。
   基本的には、官僚主導の社会主義的な日本の経済社会には、民間主導への舵取りは必須であり郵政の民営化には賛成である。
   郵政の問題点の大半は、日本の官僚制度に起因して発生したことで、官僚主導の日本の経済社会政治体制そのものを改造する為の一環である。
   しかし、日本独特の膨大な資産と影響力を持った事業体を、妥協に妥協を重ねた今の政府案で改正することが果たして良いことなのかどうか、私自身はもう少し別な道があると思っている。
   何れにしろ基本的には、小泉首相の主導する構造改革を含めた日本の社会主義的な経済社会の大変革への道の追求には賛成している。
   
   郵政の民営化には、国民の大半が賛成だと思うが、それぞれ段階的に意見の相違が有り、今の自民党の案に賛成か反対かは別の次元の話。
これを十羽一絡げに自民党案を持って「郵政民営化賛成か反対か」を問い、その賛否を争点として黒白をつけようとしている小泉自民党は、まさに、民主主義の本道を踏み外している。
   悪く言えば、自民党案の郵政の民営化に国民の注意を集中して、他の重要案件に対して白紙委任状をとろうとしていると言う共産党の言い分もあながち間違いではない。
   折角、悲惨な歴史を経て獲得した民主主義の精神を大切にしなければならないと思う。

   従って、今回の選挙が郵政民営化一色に染まって戦われていることが問題で、今の日本で緊急重要なことは、本当に郵政民営化だけであろうか。
   近年の革命的な変化は、憲法の改正が極めてオープンに議論されるようになったことであり、風雲急を告げていた北朝鮮問題が愈々大詰めに近づいていることや中国との政経に亘る協調など国家の安全や国際問題、国連安保理入りを模索している国際外交、国民の厚生福利問題、京都議定書などクリアー出来そうにもない環境問題、少子高齢化問題、税制の問題、殆ど進んでいない構造改革等々問題は山積している。
   個人的には、憲法改正が表舞台に立った今、国際舞台で名誉ある地位を占めたいとして常任理事国入りを模索しており、日本の国のありかた・国のかたちを真剣に考えられるのは、まさにこの時期をおいて他にないと思っている。
   私自身は、もっと緊急な問題は、人類の傍若無人な自然環境の破壊、地球のエコシステムの崩壊によって、今世紀中に、人類の運命が岐路に立たされると思っているのだが。

   毎日のようにTVに出る程度の低い小泉首相の記者会見(これはお粗末なマスコミの質問にも問題がある)、殆どポピュリズム志向に近い政治家の姿勢と一般の対応、あまりにも太平天国で幸せな日本人には、イラクやイラン、北朝鮮の人々のような逼迫感はない。
   たった一杯のビールで口角泡を飛ばして安保を論じ、街頭で警官と衝突してジグザグデモに明け暮れたのはそんな昔の話ではないのだが、どうせ投票しても大勢に影響はないし、どの党に投票しても世の中が大きく変わる訳でもない、そんな思いが頭をかすめる昨今が恨めしい。
   
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 成長するアメリカ企業・・・... | トップ | 男はつらいよ・寅さんの世界... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

地球温暖化・環境問題」カテゴリの最新記事