熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

質の経営、そしてモノ創り・・・花王・常盤文克前会長の話

2005年11月01日 | 経営・ビジネス
   本日、恵比寿のウエスチン東京でNTTソフトウエア主催の「NTT Solution Fair 2005」に出席して、常盤氏の「質的存在感の企業」と言う演題の講演を聞いてきた。
   常盤氏の「質の経営」については、本でも読んでいたが、久しぶりにカレント・トピックスを交えた話を聞いたので、感想などを記してみたい。

   モノ創り、そして、企業経営の本質は、新しい良き生活文化を作り出すことで、如何に客を満足させる良き物を作り出すか、その質の追求にあると言う。

   グローバル、グローバルと、何でもグローバルと付ける傾向があるが、それも、アメリカ一辺倒の風潮で間違っている。
   EUと言う枠内に入っているが、夫々の固有の文化と伝統を残しながら競い合っている多元的なアイデンティティを持って成長を続けているヨーロッパを見習うべきである、と仰る。
   多元協働主義が、質と活力を生むのである。

   日本経済は、少し良くなったが、勝ち組と負け組みの二元化が進んでいる。
   負け組みは、量を追求しているが、勝ち組は、かって存在しなかった質を追及することによって勝っており、正に、その製品、サービスの質が企業の優賞劣敗を決している。
   
   質をどうして作り出すか、それは、まず第一に、異と交わること。好奇心旺盛に情報網を張って、オープンにして欠けている所を学び、新風を吹き込むことである。 
   次は、選択と集中。優先順位をつけて、捨てることで、トランスフォーメイション、即ち、企業を変身、変態することである。
   質とは、異質、他にはない全く違った価値ある質を言うのであって、その質の追求なしには、モノ創りの成功はありえない。

   顧客満足(CS)が大切だと言うが、あまり顧客に近づきすぎると、モノが見えなくなってダメだ。
   企業の使命は、マーケットに価値ある商品やサービスを提案して、サプライズや喜びを与えることで、驚きを演出するからヒット商品になるのである。
   最近、プレミアム商品に人気があるが、いくら売れ行きが落ちている商品でも品質が良くて価値があれば客は付いて来る。

   モノ創りは、10年20年、長い年月がかかる。
   客を見ずに競争者ばかり見て、開発競争に明け暮れるから、急ぐあまり欠陥商品を作ってブランドや企業のレピュテーションヲ落とすのである。
   スピード競争は、商品の短命化を導く。
   顧客のニーズに応えて、新しい豊かな生活文化を創造する、それが製造業の使命である。

   経営には、コト創り、即ち、夢を掲げて実現する仕組みを作ること、が大切である。コト創りの典型は、アポロ計画で、人間の月への夢を実現した。その副次的効果は限りない。
   身近には、例えば、トヨタのハイブリッド・カー・プリウス等、その例だが、企業経営には、コト創りの発想が極めて重要である。

   結局、コモディティのような製品ばかり作って、コスト競争に明け暮れている企業には将来はないと言うことであろうか。
   コモディティでも、ダントツの一位、価値ある製品を作り出してディファクト・スタンダードにならなければならない。
   コンシューマーエレクトロニクスの世界で、勝ち組として、松下、キヤノン、シャープをあげていたが、サモアリナンと言うことであろうか。

   ところで、このセミナー、後半に野村監督の「敵は我にあり」と言う特別講演があったのだが、残念ながら、歌舞伎の初日夜の部の切符を持っていたので、木挽町に行って聴講できなかった。
   
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