熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー展・・・早稲田演劇博物館

2005年11月12日 | 観劇・文楽・歌舞伎
   今、早稲田大学演劇博物館で、「ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー 1961ー2005」と言う現在演劇シリーズ企画展が開かれている。
   元々、この博物館には、一階に、「シェイクスピアの世界」と言う展示室があって、全館日本の芸術博物館でありながら、坪内逍遥の為か、外国芸術では、シェイクスピアだけが展示されている。
   坪内逍遥の逍遥記念室には、シェイクスピア全集やロメオとジュリエットの翻訳自筆原稿や愛蔵のシェイクスピア人形などシェイクスピア縁の逍遥記念品が展示されていて、中々素晴しい。

   RSC展は、3階の回廊全体が会場になっていて、壁にビッシリとRSCの舞台写真やポスターなど記念の品々が展示されていて、懐かしい舞台場面など、中々貴重な資料となっている。
   中央にテレビがセットされていて、RSCのシェイクスピア戯曲の舞台ビデオが映されていて、シェイクスピア役者の台詞回しが雰囲気を盛り上げている。
   
   私が、シェイクスピアに興味を持ち始めたのは、正に、RSCのヘンリー4世第一部をロンドンのバービカン劇場で始めて観た時からで、その後、1993年にイギリスを離れるまで、ロンドンの拠点2劇場と本拠のストラットフォード・アポン・エイボンの大劇場やスワン劇場に通いつめた。
   大体、何時でも予約なしにチケットは手に入ったが、1992年のケネス・ブラナーのハムレットの時だけは、予約も中々難しかった。
   早稲田の資料によると、芸術監督エイドリアン・ノーブルがブラナーをRSCに再び呼び戻して打った公演で、カンパニー始まって以来の前売り記録だと言う、さすがに、国民的シェイクスピア役者である。

   帰国してからは、定期的にイギリスへ出かけたり、日本での公演には必ず出かけて行ったので、RSCの舞台は、シェイクスピア劇以外でも結構観ている。
   それに、イギリスでは、ロイヤル・ナショナル・シアターやグローブ座のシェイクスピア公演にも積極的に出かけているので、シェイクスピア劇は30以上は観ている勘定になる。

   しかし、好きで観ているだけと言うのが正直な所で、それ程、本格的に勉強している訳でもないので、オペラに対するほど、詳しくはないし、それに、難しい。
   学生時代に、イギリスではどんな家庭でも聖書と一緒にシェイクスピア本が置かれていると聞いていたが、全くウソで、イギリス人でもシェイクスピアを楽しむ為には、可なりの教養と修練が要求される。
   従って、日本の歌舞伎や文楽ほどではないが、必ずしも、そうポピュラーでもなく、ミュージカル等の方が人気が高い。

   もっとも、私の場合は、シェイクスピア鑑賞の時には、必ず、小田島雄志先生等の翻訳本を読んで出かけるし、シェイクスピア関連の本は学術書も含めて書店の書棚よりは充実しているくらいあるし、それに、ビデオやDVDも可なりある。
   ピーター・ブルックやケネス・ブラナー、ローレンス・オリヴィエや蜷川幸雄の本も読む。
   突っ込めば突っ込むほど、シェイクスピアは遠ざかって行く、私には、何時もそんな感じである。
   しかし、シェイクスピアには、ヴェルディのシオペラや、それに、映画やバレー、それに文楽や歌舞伎まで、いくらでも楽しみ方があり、目が離せない、それが、正直な所であろうか。

   今回の展示で、RSCがロンドンの拠点だったバービカンを2002年に離れていることを知った。
   一昨年、ウオータールーの故地オールド・ビック劇場で、RSCの「ウインザーの陽気な女房達」を観たが、やはり、新しいグローブ座に客を奪われたのか、ロンドンでの常設館がなくなったのか、この夏にはロンドンでは公演を探せなかった。
   ずぼらをせずに、次は、ストラトフォードに行こうと思う。
   あの木の香りのするこじんまりとしたスワン劇場の雰囲気が素晴しく、臨場感一杯であるが、被り付きなどに座ると劇中に入ったような錯覚に襲われる。
   そして、シェイクスピア生家や妻の田舎家など懐かしい縁の土地を散策しようと思う。

   来月、RSCが来日して、「夏の夜の夢」を公演する。
   今から楽しみである。

   法学のシンポジュームを少し早めに切り上げて、この坪内記念館の博物館に来たのだが、一階の入り口にある中村歌右衛門の展示室を見過ごして帰ってきてしまった。
   近くまた出かけようと思っている。
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