
昨日、新高輪プリンスホテルで、ソニーの定時株主総会が開かれた。6000人以上の株主が、3会場に分かれて参加する盛会であったが、何の波乱もなく、淡々とした質疑応答で2時間少しで終わった。
出井体制から、ストリンガー体制への移行であるが、何か、呆気ない、出井会長の退場であった。
私にとっての関心事は、ソニーの業績悪化についてどのような経営陣の回答が出てくるのか、と言うことと、新しいストリンガー体制の戦略と将来の方向付けであった。
まず、ソニーの中期計画10%の利益目標であるが、クリアどころか、ソニーショックを引き起こして、危機に瀕していた松下の後塵を拝する状態に落ち込んでしまった。
株主に、質問されて、出井会長は、
「世界的なグローバル企業として、競争に勝つ為には、利益率10%を上げる必要があると考えて、中期目標とした。
しかし、予想に反して、余りにも激しい経済社会の大変換期に遭遇し、コンシューマーエレクトロニクスのグローバル変化が激しくてその動向を読み誤った。責任は重大であると思っている。」といった趣旨の回答をし、予測判断の甘さを認めた。
去るに当たって、「競争激化のオーバーエレクトロニクスの時代にあって、これ単独の存在では生きてゆくことが困難なので、エンターテインメント部門をコアに組み入れようとした。
今日では認知されているが、当時は、極めて厳しい反対と糾弾を受けた。
活路を開く為に、新ビジネスにチャレンジもしてきた。」と言う。
アベグレンが、近著「新日本の経営」で、日本の総合電機メーカーが、見境もなく総花的に総ての電気関連事業に手を出して業績が悪化したが、専業電機メーカーが、極めて好調なのと対比させて、選択と集中を貫けなかった総合大手電機企業の戦略の失敗だと指摘している。
ソニーは、他の総合メーカーと違って、もっと、コンシューマーエレクトロニクスに特化した総合電機企業でありながら、お家芸の革新的な消費者をワクワクさせるような商品をヒットさせられなくて、コアのエレクトロニクスで負けてしまったのである。あのiPodにさえ、先を越されてしまった。
出井会長は、メキシコに落ちた「巨大隕石と恐竜絶滅」の話を引用しながら、如何に、巨大隕石の落下の様な大変革に対処して革新的な経営に心掛ける事が大切かを説いていた。
ソニーそのものが、トランジスター時代への変換期に、膨大な真空管工場を廃棄出来ずにトランジスターに乗り遅れた電機メーカーを尻目にして、革新を追及しながら伸びてきた会社である。
革新的な技術と製品の開発、革新的な経営を追求できなくなれば、もう、ソニーはソニーではなくなる。
もう一つ気になったのは、ソニーの中期目標、利益率10%は、十分に検討されて、かつ、十分な戦略的な根拠があって設定されたものではなくて、単なる目標に過ぎなかったのかと言う疑問である。
そうでなければ、あんなに簡単に業績が悪化してソニーショックを引き起こす等考えられないし、現在の経営状態の苦境を理解できない。
組織疲労が生じているのか、経営が経営管理、経理財務部門を十分管理できているのか、そんな詰まらない疑問まで感じてしまう。
一昨日、経営数字にはメモを見ないで立て板に水、十分な根拠と確信を持って計画をぶち上げるカルロス・ゴーンCEOの姿を見ているので、その落差が余りにも大きいのが気になる。
(追記) 新体制の経営については、稿をあらためたい。
出井体制から、ストリンガー体制への移行であるが、何か、呆気ない、出井会長の退場であった。
私にとっての関心事は、ソニーの業績悪化についてどのような経営陣の回答が出てくるのか、と言うことと、新しいストリンガー体制の戦略と将来の方向付けであった。
まず、ソニーの中期計画10%の利益目標であるが、クリアどころか、ソニーショックを引き起こして、危機に瀕していた松下の後塵を拝する状態に落ち込んでしまった。
株主に、質問されて、出井会長は、
「世界的なグローバル企業として、競争に勝つ為には、利益率10%を上げる必要があると考えて、中期目標とした。
しかし、予想に反して、余りにも激しい経済社会の大変換期に遭遇し、コンシューマーエレクトロニクスのグローバル変化が激しくてその動向を読み誤った。責任は重大であると思っている。」といった趣旨の回答をし、予測判断の甘さを認めた。
去るに当たって、「競争激化のオーバーエレクトロニクスの時代にあって、これ単独の存在では生きてゆくことが困難なので、エンターテインメント部門をコアに組み入れようとした。
今日では認知されているが、当時は、極めて厳しい反対と糾弾を受けた。
活路を開く為に、新ビジネスにチャレンジもしてきた。」と言う。
アベグレンが、近著「新日本の経営」で、日本の総合電機メーカーが、見境もなく総花的に総ての電気関連事業に手を出して業績が悪化したが、専業電機メーカーが、極めて好調なのと対比させて、選択と集中を貫けなかった総合大手電機企業の戦略の失敗だと指摘している。
ソニーは、他の総合メーカーと違って、もっと、コンシューマーエレクトロニクスに特化した総合電機企業でありながら、お家芸の革新的な消費者をワクワクさせるような商品をヒットさせられなくて、コアのエレクトロニクスで負けてしまったのである。あのiPodにさえ、先を越されてしまった。
出井会長は、メキシコに落ちた「巨大隕石と恐竜絶滅」の話を引用しながら、如何に、巨大隕石の落下の様な大変革に対処して革新的な経営に心掛ける事が大切かを説いていた。
ソニーそのものが、トランジスター時代への変換期に、膨大な真空管工場を廃棄出来ずにトランジスターに乗り遅れた電機メーカーを尻目にして、革新を追及しながら伸びてきた会社である。
革新的な技術と製品の開発、革新的な経営を追求できなくなれば、もう、ソニーはソニーではなくなる。
もう一つ気になったのは、ソニーの中期目標、利益率10%は、十分に検討されて、かつ、十分な戦略的な根拠があって設定されたものではなくて、単なる目標に過ぎなかったのかと言う疑問である。
そうでなければ、あんなに簡単に業績が悪化してソニーショックを引き起こす等考えられないし、現在の経営状態の苦境を理解できない。
組織疲労が生じているのか、経営が経営管理、経理財務部門を十分管理できているのか、そんな詰まらない疑問まで感じてしまう。
一昨日、経営数字にはメモを見ないで立て板に水、十分な根拠と確信を持って計画をぶち上げるカルロス・ゴーンCEOの姿を見ているので、その落差が余りにも大きいのが気になる。
(追記) 新体制の経営については、稿をあらためたい。