辰巳ジャンプの所属する江東区の小学校は、3学期制ではなく前後期の2学期制を実施しています。そのため、前期の通知表を受け取る時期は、この10月の3連休前となります。
辰巳ジャンプは、小学校の管理職をしている私が指導をする小学生スポーツでは特別な状況のチームですから、その立場的特色を活かすために、今日は全員に通知表を持ってこさせ、一人平均30分間の個人面談をしました。その目的は次の通りです。
(1)通知表を分析し、次への課題を明確にすることで、大きな学習成果を生み出し、子供たちの自信につなげること。
(2)学校の授業での学びと、バレーボールの技能との関連を明らかにし、どちらも努力することで相乗効果を生み出し、その結果、学業成績・バレーボール成績共に向上すること。
(3)学び方を身につけること。
(4)学ぶということの精神的な意義を実感すること。
(5)人間の脳の働きを理解し、プラス思考がいかに効果のある考え方であるかを理解すること。
何度も書きますが、私は小学校の管理職であり、しかも管理職になってから赴任している2校は、ともに東京都内でも名門校と言われる、優秀な子どもたちが通う学校です。その区は3学期制になっていますから、1年に3回、全児童の通知表を点検しています。これまでに、のべ5000人の通知表を真剣に確認してきました。しかも私の上司であった、某校長先生は、全国女性校長会の会長を務めるほどの方であり、その方から3年間、徹底して通知表の見方も鍛えられてきました。はじめは、私が点検して、「修正しなさい」という赤ペンを入れた通知表を、その校長先生が点検して、私の直したところを赤ペンでさらに直されるということもありました。こうしてとても厳しい訓練を受けた結果、たぶん、通知表の成績の付け方、所見の書き方を見れば、担任の先生がどういう年代で、どのような指導を好んでする方なのか、どのような規準で評価をしているのかということを想像がつくところまで鍛え上げられてたのだと感じます。今回、辰巳ジャンプの子供たちの通知表を見させてもらうにあたっても、「この〇〇先生は、ベテランの先生でしょ。」「この〇〇先生は30代の先生であってる?」「この先生は20代だね。」と子供たちに確認したところ、100%合っていました。
ところで、各チームの保護者の皆さんは、子供たちの通知表を一緒に見ながら、次への課題を真剣に、冷静に話し合ったことがあるでしょうか?
今回、私が辰巳ジャンプの子供たちの通知表と真剣に向き合うにあたり、とくに注意をしたのが、通知表とは何のためにあるのかということを教えることです。日本の学校教育は、すべて日本国憲法、教育基本法、学校教育法といった法律を基にして動いています。じつはこうした法律の中に、「通知表を作成し、子供たちに渡すこと」という項目はいっさいありません。法律で決められていないので、本来は出しても出さなくてもよいものなのです。実際に通知表を出さない学校も少数ですが、あると聞いています。
では、通知表は何のために出しているのでしょうか。
私が今日、子供たちに指導をした内容は次の通りです。
(1)通知表は現時点での、あなたの学習状況を伝えるものである。
(2)この通知表に書かれた内容は、すでに過去のものである。どんなに努力しても変えることができない。喜んだり悲しんだりすることは無駄である。
(3)大切なことは、この通知表をしっかり分析をして、自分の課題を明らかにし、大きく成長できるように、次の目標を立てることである。
(4)分析をするためには、ABCで評価されている項目がどんな意味をもっているのか理解することが必要である。
(5)さらには担任の先生が、あなたをどう見て、何を期待し、どうなってほしいと思っているのかと読み取り、その期待に応えるように学習態度を変えていくことができれば通知表の成績は、信じられないくらいに上がるはずだ。
あとは子供たち一人一人、課題が違いますから、個別に分かりやすく指導を入れておきました。
全員に、私が通知表を分析して課題を明らかにしたメモを持たせました。そのメモはものすごく大事だから、なくさず持っていて、毎日読みなさいとも伝えました。
子供たち全員に確認したことですが、通知表の意味、通知表の見方、通知表から考えられる次への努力方法や目標設定方法、通知表とバレーボール技術との関連など、どれかひとつでもいいから、先生か親といっしょに考えたことがありますか?と聞いたところ、全員が「ありません」と答えました。子どもの学びを引き出すためには、大人が子どもの10倍学ぶ必要があります。これまでの大人としての経験に自ら疑問を投げかけ、我が子を革命的に伸ばすためにはどうしたらいいかということを、ぜひ模索してほしいと思います。
チームの保護者の皆さんは、創意工夫した「その子にあった指導の方法」という答えを私に教えてくださると、私としてもとても助かります。
こんな感じで、これまでの辰巳ジャンプの卒業生や、私が担任してきた子供たちも、「ありえない成長」を遂げてきました。
その一端を、教え子のお母様からのコメントで紹介して終わります。
「先生、ご無沙汰しております。どこに書いていいか分からず、でも一言お礼と報告をとこちらに書かせて頂きます。先生の最後の受け持ちのクラスにいました娘の母親です。この春、無事に娘が都立J高校に入学しました。習い事に打ち込んでおりましたので、塾も行けない中、希望の学校に入学できたのは思い返すと先生からの考え方の教えが根底にあってのことと思います。本当にありがとうございました!毎日、嬉々として学校に通っております!」