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卒業式で校長が何を話しているのかということは、6年生関係者以外には分からないことです。
また、今年度は御来賓の方々もお招きすることができない状況にありました。
そこで異例ではありますが、式辞の原稿を掲載しておきます。
【式辞】
世界の人類が、未知なるウイルスとの戦いをするために、激動の1年間となった令和2年度ではありますが、今日まで見事に矢口小学校のリーダーを務めながら、安全で安心の学校生活のために、下級生の世話をし抜いてくれた6年生の皆さん、ご卒業、誠におめでとう。
また、保護者の皆様方におかれましても、臨時休校や行事の変更や中止もあり、お子様の小学校生活最後の1年間の思い出が、はたして補償されるのだろうかと、気が気ではなかったことと思います。しかし、数々の困難を、教職員と共に乗り越えてきた子供たちの心には、きっとどんな状況の中でもあきらめずに、「やればできる」という宝物が残されたのではないかと思います。各ご家庭でも、健康面での細心の注意を払いながら、子供たちの学校生活を支えていただきましたこと、心より御礼申し上げます。
さて、卒業生の皆さんには、今日の日を祝うための話を一つだけしておきます。それは、大田区立矢口小学校の卒業生であることの誇りを忘れずに生き抜いてほしいということなのです。学校の最大の評価は何か。それは卒業生が社会の中で大活躍しているかどうかなのです。有名にならなくてもいい。普通の生き方でかまわない。どんな生き方をしてもかまわない。しかし、あなた方、一人一人の胸に、赤々と燃えている「矢口魂」があるかどうか。それが人生の支えとなるはずです。
この「矢口魂」という言葉について、2010年(平成22年)12月に、地域の方々と学校が、開校120周年の話し合いをした時に確認された記録を最近見付けました。そこには次のように記録されていました。
「矢口魂」とは、「高い目標に向かって、一生懸命がんばる気持ち、全力で取り組む姿勢である」と。
この日から10年が過ぎ、130周年を迎えようとしている今、この学校精神は、人が入れ替わる中でも年々高め、深めていくことが伝統となります。私は、皆さんへの花向けの言葉として、次のように深めたいと思います。
「矢口魂」とは、物事を深く考え、人に言われなくても自ら学ぶ態度。
「矢口魂」とは、人にやさしく、正直な態度で、人に信用される心。
「矢口魂」とは、いつも元気でじょうぶな体。
「矢口魂」とは、何事も最後まであきらめずに挑戦する姿。
「矢口魂」とは、この街を愛し、そして世界一の幸せを感じる生き方。
このような前向きな行動すべてが矢口魂であるということを、卒業式という最後の授業の場において、皆さんに言い伝えておきます。
私は教師という仕事に就いて30年以上がたちますが、どの時代であっても、日々成長し続ける、皆さんのような十代の子供たちの姿を見るたびに、未来に希望を感じます。輝ける未来を夢見るような気持になります。教師という仕事が心から楽しく感じられます。
皆さんの明日には、未来の二文字が、可能性の扉が開かれています。その未来の大舞台で心豊かに成長して、幸せな生き方をしてくれることが、ご家族にとっても幸せなことです。新しい時代の新しい課題に対しても、避けて通らず面と向かい合って、どうか強く、そしてまた強く、生き抜いていただきたいという期待を込めて、卒業式の式辞といたします。
令和3年3月24日