名鉄岐阜600Vから福井鉄道に転じた車両のもう一つの主力として、もと美濃町線のモ880にも注目しないわけには行きません。かつて昭和50年代中頃、広島や長崎など各地でカルダン駆動を装備した軽快な雰囲気の新型車が登場し、「路面電車ルネッサンス」がしばしば喧伝されていましたが、美濃町線にもそんな流れの一環として1980年にモ880が登場し、主に各務原線新岐阜~田神経由の1500V~600V直通運用に充当されたという話題をRF誌やRJ誌で目にした私は、小学生ながらも思わずブッたまげたのを思い出します。「あのパノラマカーの名鉄に、こんな小さな電車が走る路線が存在し、しかも大きな電車が走る路線に乗り入れて来るとは……」と (^^;)。そして翌1981年にはRJ誌の特集「電車の時代」で岐阜600Vの現状が詳しく紹介され、岐阜市内・美濃町・揖斐谷汲の各線にモ880を旗手として様々な車両がひしめいていることに圧倒されたものです……。もっともその結果、岐阜600Vに対する関心は圧倒的に揖斐谷汲線に向かってしまいまして、中学高校時代は休み期間のたびに (?) 通ったものの、美濃町線に乗ったのは撮り鉄趣味が復活した約10年前だったという……(^^;)。それでもモ880の存在は、子供心に名鉄岐阜600Vの存在を強烈に印象づけたという意味で、個人的には記念すべき存在です。
そんなモ880のデザインは、何と言っても田の地窓であるという点で個人的にモ770よりも俄然お好みではあります。しかし1月の訪問時は、しばらく田原町界隈で撮っていても来るのはモ770ばかり……。勿論モ770も標準塗装であれば御の字ですが、その次にやって来たのが同じモ770の全面広告編成であったりするとプチ退屈状態に……(^^;)。そこで「仕方がないなぁ……200形も来ないようだし、早々に福井鉄道は切り上げてえちぜん鉄道に転戦しよう。でもその前に、改良後初訪問となる福井駅前の様子ぐらいは見ておこう」と思いまして武生行きに乗り、市役所前に着いたところ、ををっ、ようやく来ましたモ880! そこで福井駅前にて待ち構え、時折激しくみぞれが打ち付ける中で麗しの標準塗装姿を激写したのでした♪
それにしても、モ770は最初から鉄道線区間で75km/h程度の急行運転をすることを前提として製造されたのに対し、モ880は余りスピードを出すことが出来ない (?) 美濃町線用であっただけに、果たして福井鉄道の直線区間などでヘタらないのだろうか?と転出時に思ったものです。実際、福井鉄道入線にあたっては高速化改造が加えられたものの、調子が悪く故障が続出したとか。それでも最近は何とか改良が重ねられ、安定的に運用に入っているようですので目出度しですね~。
こんな感じで久しぶりの福井鉄道訪問を楽しんだあとは、これまた久しぶり (新規開業した2003年7月以来……^^;) となるえちぜん鉄道訪問を果たしたのですが、何せ福井市内は雪の予報にもかかわらずみぞれしか降らないため、まずは「嗚呼……九頭竜川沿いの深い雪景色は期待薄か」と思いつつ、JR福井駅改札前の「今庄そ○」をすすったのでした。しかしその後、福井駅前の日常風景からは想像も出来ないとてつもない展開が待っていようとは……。