地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

風雪えちぜん鉄道 (下) 威厳の凸型EL雪レ

2011-03-30 11:40:00 | 事業用車両


 福井市内ではみぞれ気味な天気と僅かな積雪であっても、九頭竜川の峡谷を奥へ奥へと分け入って行く勝山永平寺線の沿線は一気に豪雪地帯であるという印象を強く受けます。そんな過酷な自然環境の中で30分間隔のパターンダイヤを維持するのは並大抵のことではないように思われ、辺り一面の風景が吹雪で完全にホワイトアウトしてしまった中であっても、私が福井から乗った列車は越前竹原にて対向列車待ちで2~3分遅れたのみであったのは、実に除雪作業に動員された職員の皆様の努力の賜物なのだろう……と痛感した次第です。何があろうと確実に列車を前に進めようとする鉄道魂の束……それがあってはじめて乗客がくつろぐ暖かな車内と美しく流れる車窓風景がある。そんな思いを感じることもまたローカル線の旅の魅力なのかも知れません。



 しかし勿論、降雪量が多ければ人力によるポイント等の雪かきのみでは限界があります。そこでえちぜん鉄道の場合、京福福井から継承した凸型電機・ML521形の出番! しかも、猛烈な吹雪の中に忽然と姿を現す重連の姿は……まさに守護神の如き凄みがあります。乗っていた勝山行きが発坂駅に接近するにつれ、日中は交換列車がないはずの駅に前照灯を照らした黒っぽい車両の姿が見え、「何じゃこりゃ?」と目を凝らしてみると……巨大なスノープロウを装着した凸型電機の武骨すぎる姿に完全に圧倒されまくり……!! そこで速攻で荷物を抱えて下車し、上り線に停車しているシーンを撮影しようとしたものの、ML521は我が列車の到着→青信号点灯を待ち構えていたかのようにグォォォ~と発車してしまい、後追い撮影はホームに厚く積もる雪で足場をすくわれてアウト。そんな間抜けな私の姿を見ていた雪かき中の保線区員の方が「大丈夫。今度勝山から来る列車に乗れば途中で追い抜くよ」と教えて下さったのでした……。そして見事、降りしきる雪の中をゴボゴボと進む姿をゲットォォォ! \(^O^)/ スーツ姿でこんな必死の撮影をしているワタクシ……アホですな (笑)。
 ちなみに、えちぜん鉄道の特雪列車は「降雪日に必ずこのスジで運転」ということではなく、沿線の降雪状況に応じて臨機応変に動くようです。但し、パターンダイヤに乗せる都合上、「毎時○分に福井口または勝山を発車する」ことは決まっているとか。
 なお、私が訪れた後の1月下旬に越前国を襲った豪雪では、他にも「サンダーバード」が今庄駅で立ち往生するなど大変な事態となりましたが、それでもかの38豪雪や56豪雪と比べれば全く大したことではないようです。京福福井の廃止を記念して出版された『越前線写真帖』を眺めてみますと、2mをはるかに超えるとにかく凄まじい豪雪と闘うテキ (ML) 521の姿が載っています……。