地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

冬空の秩父鉄道 (2) 1010F最後の力走

2014-01-03 00:00:00 | 地方民鉄 (秩父)


 新年の鉄道シーンは、ジャカルタだけでなく日本国内でも大きく変化することが十分予想されますが(と申しますか、既にほとんど分かりきった話をなぞり続ける展開となりそうな)、特に巷で注目を集める特急「あけぼの」の廃止などは、車体が老朽化し、かつ夜行列車を運行しても人件費がかさんでペイしないとJREが判断していると思われるだけに、致し方ないことなのでしょう。こうして、車両の限界に達し次第、馴染みの車両と列車が次々と消えて行くという事態が不可逆的に進むわけですが、今年のとりわけ大きな歴史的分かれ目といえば、個人的には国鉄101系→秩父1000系の完全引退でしょうか。今から約四半世紀前、101系の中でも最も新しめな車両をまとめて譲り受けたとはいえ、既に新造から約半世紀。技術的には昭和20年代後半以後各社で澎湃として現れた初期カルダン駆動車の集大成というべき車両でしょうから、約60年モノの技術が今日まで走り続けて来たというのは、技術立国日本らしいとはいえ、結構凄みのある話です。しかしそれだけに、完全引退は「やむを得ない」という感情と「惜しい」という感情がないまぜになります……。



 そんな秩父1000系、かねてから(誰も注目していない頃から)それなりに撮っていることに加え、最近は本数の激減により「待てば来る」とも限らなくなったことから、さよなら運転や6連運転の類を除いて御無沙汰だったのですが、昨年末の「さいたま鉄道フェスタ」のついでに秩父鉄道を久々に訪れた際、奇跡が起こりました……。何と、乗ろうと思って駅で待っていた列車が、標準塗装1010Fでやって来たのです!!! というわけで、デハ1110の車端部に座り、ついに絶滅危惧種となったMT46(他にこれを採用しているのは何処がありましたっけ……)の「軽やかに重い」サウンドを満喫し、羽生から折り返して来る列車をド順光で激写できるスポットに徒歩で向かい待つことしばし……。薄雲混じりの冬空をバックに、これ以上の注文を付けようがないほどの超ド順光な斜光線を浴びて白く輝き力走する1010Fの姿は、本当に例えようもないほどの美しさであり、昨年一年間七転八倒しながらも何とか乗り切った私自身への御褒美なのであろう……と痛感したのでした♪
 秩父1000系といえば、復活国鉄色や復活旧塗装が注目を集めるところですが、最後の最後、残り2編成になってみると、やはり現行標準色もなかなかどうして大いに魅力的であり、むしろ秩父1000系・約27年の歴史を締めくくるラストランナーとしては、この1010Fが最もふさわしいのだろうと思えて来ます。残念ながらこの日は、オレンジ1003Fが熊谷で終日寝ていましたが、まずはこの2編成が今春のさよなら運転まで無事故で走り続けることを祈るばかりです。