
★入国と出国について……インドネシアは観光産業振興のため、昨年上半期から帰りのEチケットを所持している短期訪問の外国人観光客に対するビザ免除政策を実施しています (Eチケットは見ない場合の方が多い?)。しかし、ビジネス目的の場合はその対象にならず、空港で着地ビザを取得する必要があります (35ドルの年貢を払ってレシートを受け取るだけですが)。
問題は、「こいつは観光客か否か」を判断するのは、イミグレ職員の裁量によるということです。したがって、入国カウンターで「お前は観光客ではない」と判断されれば、「35ドル払って来い」と言われて最初からやり直し。凄まじく長い入国の列に並び直さなければなりません。Tシャツ姿の大学生がバックパッキングを担いでいるのでなければ、普通の日本人野郎鉄ヲタの場合、ラフな格好であっても恐らく観光客とは見なされない可能性が大です。
私の場合今回、自分よりも2名前のビジネスマンと覚しき日本人が私服で入国しようとして、「ビザ代払ってこい」攻撃を受けていました。また、仮に観光客として入国できたとしても、出国時に「お前ビザがないが、本当に観光客なのか?」と疑われ、出国カウンターを長時間塞いで後ろの人々から白眼視される可能性もあります。私の列とその隣の列では、「Cぉんふあれんみんこんほーぐお」の複数の輩がこの攻撃を食らって質問攻めに遭っており、「あちゃー、オランCナが並んでいたのか……」とエラい目に遭いました (通過後一刻も早くKamar Kecilに行きたかったのでなおさら。滝汗)。普通に35ドル払いさえすれば、この手のストレスは一切なく、出入国カウンターをあっという間に通過出来るのですから、インドネシア鉄道への協賛金と割り切って支払うことをお薦めします。なお、ビザ代を払って入国する場合、簡単に所属する会社などを訊かれます。英語またはインドネシア語力は必須。
まぁ要はこの制度、「観光客を優遇する」という美名の裏側で、基準が一体何なのか全く分からず、恣意的に運用されてしまうという、実に宜しくない制度になってしまっているということです。一刻も早く、「日本人の短期訪問であれば一律に○週間までノービザ」という制度に改められることを願います。

★鉄道撮影について……駅とその周辺における警備が、昨年と比べて厳しくなっています。軍人・PKD (駅や客車区などをガッチリ固めている鉄道警備員) や駅の管理職は恐らく上層部の指示により、テロリストを厳しく警戒しているのみならず、無許可のメディア取材や商用撮影 (雑誌記事化を含む) を激しく嫌っています。しかし、無報酬の趣味で写真撮影をすることは全く禁じられていません。このため、上記の出入国シーンと同様、極めて曖昧テキトーな制度運用に伴い降りかかってくる難癖と闘う必要が生じます。もしPKDに「お前は何者か?撮影許可はあるのか?」と問われた場合、決して逆ギレしてはならず (他人に怒り飛ばすことはこの国では最大級の恥)、《単なる趣味で写真を撮りに来た日本人》であることを、あの手この手で分からせなければなりません。
彼らが「こいつは趣味で撮っているのか、それとも他の目的か」を判断するにあたり、手っ取り早い主な基準にしているのは、スマフォ・コンデジによる撮影か、それともレンズ交換可能なカメラによる撮影か、ということです (最近のスマフォは非常に良く写る場合が少なくないはずですが……)。日本人鉄ヲタはフツーに趣味でゴツい一眼レフを使うことを、彼らのほとんどは理解していません。このため、理解のギャップを埋めるのは結構ややこしいです。
彼らは、カメラを構えている人間が日本人であると分かった瞬間から、無礼ではなく総じてとても丁寧な対応をしますが (これはまさに日イ関係に貢献してこられた先人のおかげで感謝感謝。パスポートは必携です)、そこで握手をしてすぐに無罪放免となるか、それとも長時間あれこれ「こいつは本当に趣味か」を問い詰められるかは、まさにその時々によりけりです。
駅構内での一眼レフでの撮影は数年前からこのような状況ですので、私もここ数年は乗り換えついでにサッと撮ってすぐ仕舞う以外やっていませんが、今年眼にした新たな状況は、警備範囲が駅の外側周辺の目の届く範囲にも拡大されたということです。このため、駅の近くでの撮影は基本的にお薦めしません。警備員の目から遠く離れたところであれば、従来通りのんびりと撮影可能です。
なお、非常に興味深いのは、警備員に文句を言われるにしても、線路用地内撮影自体を厳しく咎められたことは全くないということです (^^;)。勿論、原則は立入禁止であり、職員・警備員等による指示があれば、それに従うべきであることは言うまでもありません。それでも今回も、自己責任による線路内での撮影中、運転士氏からの点灯サービスやVサインサービスをしばしば受けております。
ちなみに、駅周辺での撮影で警備員から文句を言われた際、彼らがもう一つ気にしていたのは、下車後ちゃんとICカードをタップして正規に出場したうえで、道路脇から線路内に入ったのか否かということ。タップしていれば「なら良いよ」となりますが、タップせずに駅構内からそのまま撮影地まで行き、それが発覚した場合 (駅で自動改札にかざせば一目瞭然)、相当高額の罰金を覚悟するべきでしょう。
なお、今年のインドネシアの全体的な印象として、今後も明るいムードの成長が続くか、それとも経済成長よりも速いインフレによる社会不安が高まるのかという分岐点に至っているような気がします。最悪の場合、インドネシアと同じく「イスラームで自由・民主主義を実現した」と賞賛されたはずのトルコのように息苦しい国になってしまう可能性もありますし、既に片鱗があるIS勢力が拡大しないとは断言できません。そこで、今後どんどん撮影環境が厳しくなる可能性もありますので、撮影を希望される方はパクアン急行様のブログなどで最新の状況をお確かめ下さい。