韓国は日本の植民地ではなく独立国ですので、如何なる内政や外交をしようとも、下世話なイルボンサラムの知ったことではありません。しかし少なくとも、長年来の国際的な慣行や、目下の諸課題をめぐる国際的な取り決めには従えよ、と思います。それを無視して正義の勝者気取りになったり、心から善意の仲介者ぶることが、韓国を開かれた国際秩序の側や、彼らの存立基盤としての安全保障枠組みからことごとく切り離し、北の青年大将ニムのお望み通りの実績=南チョソンと日米の分断を積み重ねることにつながっているのですから、何をかいわんや。
かつてベルリンの壁が崩れたときには、自由で栄えた西ドイツが、行き詰まった警察国家の東ドイツを吸収して統一したものですが、今やそれとは真逆に、世界最貧の閉鎖国家が、自称「ローソク民主革命の先進国」を取り込む形で統一が実現するという、世界史上空前の動きへと向かっているように思えます。そんな奇想天外な展開を、全く干渉も期待もしない隣国として冷静に興味深く見届けたいものですし、奇しくも、以前拙ブログが妄想脳汁をドロリと分泌させてでっち上げた、統一チョソン国鉄ソウル首都圏電鉄や高速鉄道の美しい未来の図が、あながち妄想でもないかも知れないという事実に感慨を深めているところです。
去る8月末、数年ぶりにソウルに出張した際には、まだそこまで事態は動いていなかったものですが、無機質な超高層ビルやマンションが果てしなく広がるという点では平壌と同じ趣味を見せているソウルの街を用務中に時折眺め、最終日には鉄活動しながら、果たして一体このローソク革命国家はどうなってしまうのか、ひょっとするとフツーにこうして撮り鉄出来るのも歴史の刹那の偶然なのではないか、などと思ったりもしました。そんな心象風景を見透かしたかのように、撮り鉄スポット駅で列車を待ち構えている間には、しばしば秋雨前線による土砂降りが……。ISO2000程度の感度にしても大してざらつかないEOS 5D MarkⅣを持参していたとはいえ、さすがに京釜線を時速100km以上でブッ飛ばす列車を撮るには、ちゃんと画面内で止まるかどうか心許なさを感じたものです。まぁ何とか上手く行きましたが……。
そこで、そんなソウルでの土砂降り鉄の模様を連載でアップします。まずは、ソウル市内及び近郊では京釜線を走るKTXです。これが開業して以来、早いもので約15年。一応韓国の鉄道車両は製造後25年で廃車となりますが、日本の新幹線がそこまで長持ちしないのと同様、そろそろTGVそのまんまの姿で走るKTXも本格廃車開始でしょうか (何せ、当初からトンネル内での騒音や圧力変化が激しかったですし)。というわけで、既におフランス風ゲンコツ罐も相当減ったと言われる中、あたかも東京から札幌へ行くのと同じ時間感覚で (しかも時差も無し)おフランスな車両を楽しめるのも今のうちです。