小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『堕天使殺人事件』リレー小説

2002年12月30日 | ミステリ感想
~リレー順~
二階堂黎人→柴田よしき→北森鴻→篠田真由美→村瀬継弥→歌野晶午→西澤保彦→小森健太朗→谺健二→愛川晶→芦辺拓


~感想~
リレー長編。11人の新本格作家が打ち合わせなし・締め切り2週間の過酷な条件に挑む。

(全体的にネタバレ↓)
二階堂黎人
最高の発端。出足は完璧。でも「ヒグマ男」はないよね。

柴田よしき
見事な展開。斬新な切り口と突然の密室は後続を恐怖におとしいれた。

北森鴻
主要キャラを登場させたが異様な展開で混乱を招いた。

篠田真由美
自キャラを持ち込む豪腕は見事。だが後続は明らかにとまどった。

村瀬継弥
サブストーリーでお茶をにごしただけ。自分のキャラしか使ってないし。

歌野晶午
小休止とおさらい――と見せて、実は核となった重要なパート。中盤を見事にさばいた。

西澤保彦
かなり大胆に展開させ、これも中核となった。あとがきのように暴走してくれても面白かったのに。

小森健太朗
北森氏が出した異形の裏をせっかく復活させたのに、ほとんど捨てトリックにされる。

谺健二
大半を雑学で糊塗し、前章の前フリから逃げただけ。

愛川晶
これまでの展開をブチ壊し、なおかつ伏線(瑕疵?)を拾い集めた功績は大。
それにしても、終局の一文で芦辺氏の退路を断ったのは楽しい。

芦辺拓
こんなモンまっとうにまとめられるかと言わんばかりに、かたっぱしから粉砕・一蹴。
こんな強引なまとめかたしかできないよなあ。ところどころ、目のつけどころは良かった。


~総括~
良くも悪くもツギハギミステリ。悪条件の中、よく奮闘したと思う。
各氏がそれぞれの持ち味を出し、楽しめるお祭り的作品には仕上がった。
自分の後にどう展開するか予想した裏話が面白い。



02.12.30
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『祝福の園の殺人』篠田真由美

2002年12月30日 | ミステリ感想
~あらすじ~
17世紀イタリア。侯爵モンタルト家別邸の、亡き女主人が丹精込めて造った庭園で男の死体が発見される。
つづいて次々と起こる侯爵家に関わる者たちの不可解な死。
“呪われた庭”に隠された真実のメッセージとは何だったのか?


~感想~
前作『琥珀の城の殺人』を「宝塚」と揶揄された作者が「だったら本当に宝塚なミステリを書いてやろうじゃねえか」と一念発起した作品。
こうなったらもう「宝塚なミステリです!」と紹介するしかあるまい。
とにかくイキイキと描かれた、絢爛豪華な洒脱な瀟洒な舞踏会的ミステリ。
読み終わるとどっと疲れるのもたしか。


02.12.30
評価:★★☆ 5
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