小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

ミステリ感想-『太鼓叩きはなぜ笑う』鮎川哲也

2003年06月26日 | ミステリ感想
~収録作品~
春の驟雨
新ファントム・レディ
竜王氏の不吉な旅
白い手黒い手
太鼓叩きはなぜ笑う


~感想~
『春の驟雨』
(ネタバレ→)共犯者の存在 はあまり好みではないが、長編なみのアイデアが惜しげもなく詰め込まれた佳作。
最後の一言が切れる切れる。

『新ファントム・レディ』
まさかあんなのが伏線だったとは。読者には解きようのない謎だが、見事。

『竜王氏の不吉な旅』
そうかそうか。そういう仕掛けか。一部、妙な気がするところもあるが(ネタバレ→)来客が鍵を閉めるのは不自然では? 突如こんな手を使われては脱帽するしかない。

『白い手黒い手』
なるほど。解決にあ然。そして感嘆。1度目の三番館来訪から180度反転する展開。すごい。

『太鼓叩きはなぜ笑う』
短編なみの分量になり、切れ味がさらに増した。太鼓叩きはなぜ笑ったのか――いやはや。


~総括~
本当にこの作家はすごい。傑作がいくつあるのだろうか。
謎解きはもちろん物語でも楽しませてくれる作家だと、この一冊だけでも明らか。


03.6.26
評価:★★★★ 8
コメント