小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『有栖川有栖の本格ミステリ・ライブラリー』有栖川有栖

2004年02月24日 | ミステリ感想
~収録作品~
埋もれた悪意  ――巽昌章
逃げる車  ――白峰良介
金色犬  ――つのだじろう
五十一番目の密室  ――ロバート・アーサー
〈引き立て役倶楽部〉の不快な事件  ――W・ハイデンフェルト
アローモント監獄の謎  ――ビル・プロンジーニ
生死線上  ――余心
水の柱  ――上田
「わたくし」は犯人……  ――海渡英祐
見えざる手によって  ――ジョン・スラデック


~感想~
『埋もれた悪意』
え? これで解けるの? と面食らった。意外性抜群のトリックは、伏線の山に支えられて冴えわたる。逸品。

『逃げる車』
え。これで……解けというの? と面食らった。シンプルすぎてあっけないが、装飾をとっぱらえば、どのミステリもこうなるのだろう。面白い。でも、「異様に論理的」というか「異様な論理的」でしたよね。

『金色犬』
なつかすぃ~。僕のミステリ初体験は、『迷路館の殺人』ではなくこれだったのかあ~。
あんまりなつかしすぎて、評価不能。いま見るともりだくさんの作品。

『五十一番目の密室』
「おお、これがそうなんだ」とマニアならしっぽを振る一編。ただ唸るばかり。

『〈引き立て役倶楽部〉の不快な事件』
「おお! これか! これがそうなのか!」とマニアならよだれを垂らす一編。
こんなによくできた話だとは思わなかった。『五十一番目』ともども、クイーンのルーブリックがすばらしい。
にしても……犯人のあの一言(ネタバレ→)「その前日の午後には(中略)きれいに見逃してしまうにちがいない」あはは。僕も見逃してた。 大好き。

『アローモント監獄の謎』
元祖バカミス? 史上まれに見る不可能トリックが……実際の情景を思い浮かべるだに爆笑の真相へとさま変わり。「本格って楽しい」

『生死線上』
すみません。読むの放棄しちゃいました。

『水の柱』
先にトリックを解説で見てもうた。しかし、トリックらしいトリックはあったろうか? 謎の設定がこうもあやあやでは。文章はえらく読みやすかったが。

『「わたくし」は犯人……』
うおお。「ただそれだけのトリック」見参。堅牢に見えてすっかすかの蟻塚細工。ひとしきり唸らせる傑作。

『見えざる手によって』
アメリカにも泡坂・天藤臭をただよわせる御仁がいた。トリックも鮮やか。不可能状況には心臓わしづかみ。北村氏も解らなくて安心した。


~総括~
アリス、向いてる。北村セレクションとは逆に、僕好みの良作がずらり。
どれもこれも本格の楽しさを改めて思い知らせてくれる。
アリス、新作とかもういいから、またこれやってくれよ。


04.2.24
評価:★★★★ 8
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