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ミステリ感想-『銀の檻を溶かして』高里椎奈

2005年08月12日 | ミステリ感想
~あらすじ~
にぎやかな街の一角、まるでそこだけ時に取り残されたかのようなその店。
蒼然たる看板に大書された屋号は、『深山木薬店』。
優しげな青年と、澄んだ美貌の少年と、元気な男の子の三人が営む薬屋さんは
極めて特殊な「探偵事務所」でもあり……。
99年メフィスト賞。


~感想~
文体は未熟で粗けずり、とにかく読みづらく解りづらい。
日常会話・描写でさえ、いまなにが起こりなにを話しているのか見失うこともしばしば。
肝心なところは説明足らずで、どうでもいいことを説明しすぎている。
それが事件の解決にいたっても同じで、トリックや真相がいまいち伝わってこない。
同人誌的ノリやボーイズラブ的設定、同性からは魅力を感じない主人公などなど、とっつきにくさは満点。
しかし、デビュー作ならではとでも言うべき、山のような伏線とすべてがつながっていく展開は、「この作家にはなにかがある」と思わせるに十分。
とにかく読み疲れる文体さえこなれてくれば、大化けする可能性は高い。(デビューから6年経ったいまも第一線に立つ作家に言うのも変だが)


99.12.28
評価:☆ 1
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