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ミステリ感想-『桜さがし』柴田よしき

2005年11月11日 | ミステリ感想
~あらすじ~
中学時代から十年来の仲間である歌義、陽介、綾、まり恵の四人と、作家として京都郊外の山奥に独居する恩師・浅間寺との心の交流。出会いと別れ、すれ違う恋、そして事件。四人に訪れる人生の岐路。古都の移ろいゆく季節のなか描かれる、せつない青春群像。

~収録作品~
一夜だけ
桜さがし
夏の鬼
片思いの猫
梅香の記憶
翔べない鳥
思い出の時効
金色の花びら


~感想~
ミステリ第一主義の僕だが、この作品に限っては、ミステリ味が蛇足に思える。
物語の展開上、事件が起こる必要性があると思えないのだ。
青春群像にまぎれこんだ、数々の血なまぐさい事件。事件のほとんどが殺人がらみで無駄に重いのも難点。
トリックはトリックで、「こんな植物がある」「こんな動物がいる」というだけで、ひねりが足りない。
物語自体も一話目の『一夜だけ』からして、ちょっと展開が唐突すぎる気も。
決してつまらなくはないし、読後感もいいのですが……。
ミステリとして見なければいいのだが、ミステリ味があまりにちらつきすぎているきらいがある。


評価:★★☆ 5
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