~あらすじ~
少年リンツの住む国では、怪盗ゴディバと探偵ロイズが子供たちのヒーローだった。
ある日リンツは、父の形見の聖書の中から古びた地図を見つけだす。地図が怪盗ゴディバ事件の鍵をにぎるものだと確信したリンツは、探偵ロイズに知らせるべく手紙を出したが……。
~感想~
敗因は期待しすぎたことだろう。
絶賛していない書評サイトがないというくらい、各方面で絶賛の嵐を巻き起こしている今作、実に良質ではあるが、良質なジュヴナイルの域を出なかった。
子供にトラウマでも与えそうな探偵の豹変や裏切りの連続など、物語として大人の鑑賞に余裕で堪える、深読みさせる物語なのはたしかだが、手放しで褒められる傑作とまでは思えなかった。ミステリよりも冒険・成長に主眼がおかれ、どんでん返しや意外な真相は皆無。なにより冒険も成長もミステリも心理も、分量不足のせいでなにもかも中途半端になってしまったのが残念。登場人物は魅力的だが、そこに深みを描けるほどの分量が――決して作者の力量が足りないわけではなく――絶望的に足りなかったのだろう。ミステリーランドという制約を離れ、のびのびと描きたいだけ描いていれば、文句なしの傑作に仕上がっただろう、なんとも惜しい作品に思えてならない。
07.5.8
評価:★★☆ 5
少年リンツの住む国では、怪盗ゴディバと探偵ロイズが子供たちのヒーローだった。
ある日リンツは、父の形見の聖書の中から古びた地図を見つけだす。地図が怪盗ゴディバ事件の鍵をにぎるものだと確信したリンツは、探偵ロイズに知らせるべく手紙を出したが……。
~感想~
敗因は期待しすぎたことだろう。
絶賛していない書評サイトがないというくらい、各方面で絶賛の嵐を巻き起こしている今作、実に良質ではあるが、良質なジュヴナイルの域を出なかった。
子供にトラウマでも与えそうな探偵の豹変や裏切りの連続など、物語として大人の鑑賞に余裕で堪える、深読みさせる物語なのはたしかだが、手放しで褒められる傑作とまでは思えなかった。ミステリよりも冒険・成長に主眼がおかれ、どんでん返しや意外な真相は皆無。なにより冒険も成長もミステリも心理も、分量不足のせいでなにもかも中途半端になってしまったのが残念。登場人物は魅力的だが、そこに深みを描けるほどの分量が――決して作者の力量が足りないわけではなく――絶望的に足りなかったのだろう。ミステリーランドという制約を離れ、のびのびと描きたいだけ描いていれば、文句なしの傑作に仕上がっただろう、なんとも惜しい作品に思えてならない。
07.5.8
評価:★★☆ 5