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ミステリ感想-『六とん3』蘇部健一

2007年05月12日 | ミステリ感想
~あらすじ~
アホバカミステリあらため、トホホなミステリ『トホミス』として生まれ変わった(?)あの六とんシリーズ(?)第三弾!!

~感想~
いやー酷い。本当に酷い。そして素晴らしい。これでこそ六とん。これでこそ蘇部健一。読者の期待に完璧に応えてくれた。
誤解を恐れずに言うならば、六とんファンは酷い作品を求めている。「次はどんな酷いの書いてくれるんだろう」とわくわくして、つい新刊で買ってしまうのだ。その期待を蘇部健一は決して裏切らない。ざっと各編を紹介しよう。

『もうひとつの証言』
開幕を飾る一編は作者いわく読めば「小さくため息をついて、本をそっと棚にもどすことになる」逸品。
ところが個人的には面白かった。正確にはこれだけが面白かった。

『アリバイの死角』・『×××殺人事件』・『死ぬ』
この3編は順に述べると、マ●コ・チ●コ・ウ●コの話である。小学生か!

『生涯最良の日』・『瞳の中の殺人者』・『栄光へのステップ』
この3編は一口で言うと「世にも奇妙な物語」である。映像作品なら楽しめるのかもしれないが、文にしてみるとものすごく真相が解りやすい。なんにも意外性のない物語が楽しめます。

『殺ったのはだれだ!?』・『嘘と真実』
ちょっと毛色が違うのがこちらの2編。前者は出来の悪いメタミステリ(?)、後者は皮肉を利かせた「世に奇も」風作品である。

『秘めた想い』・『赤い糸』
前作からつづくタイムマシン物。後味の悪い最悪の結末かハッピーエンドかの2択なのだが、最後にこの2編を並べたおかげで「またこのネタかよ」と食傷ぎみになれます。

あとがきでは自虐的に各編を振り返りつつ「世にも奇妙な物語ベスト40」を発表してしまうやりたい放題ぶり。さらに酷さを増した著者近影も見逃すな!
絶対にひとにオススメはできないけれど、堪能できました。次作も絶対買うね。


07.5.12
評価:★☆ 3
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