~あらすじ~
ディーフェンス! ディーフェンス! しょーほく! しょーほく!
~感想~
「呪いつづけて、10周年」のアホなコピーにふさわしい、呪怨らしいある種、頭の悪いホラーに仕上がっている。
バカ映画なので遠慮なくネタバレしていくと、まずバスケ老女。白塗りムンク顔の老女がバスケットボールを抱えてちょこちょこ走り寄ってくるというキャラで、出てくるたびに爆笑を誘われること請け合い。なぜバスケットボールかという説明は作中に一切ないのだが、これがもし手鞠だったらもうちょっと怖かったろうにと思えてならない。
バラバラになった時系列が最後まで観ると一つにまとまるのを褒める心の広いレビュアーも多いが、冷静に思い返してみると、まさにそのバスケ老女の部分で時系列的に説明の付かない点が出てくるのも(おそらくは意図的にやったのだろうが)マイナス要素。順序立ててきちんとまとめるのならば、むしろ正確にすべきであった。
整合性が無いといえば、呪怨名物の「関わったものは皆殺し」テイストも徹底していなくて、今回は温和になったのか目こぼしが多すぎる。こっくりさんで少女の霊を呼び出した三人のうち、一人は殺して(?)おきながら、同じ立場のもう一人には全くのノータッチ。残る旧友のアッキーナには心温まる恩返しだ。売り出し中のアッキーナを呪い殺させるわけには行かないと事務所の圧力が働いたのかと勘ぐってしまう。
そのくせただ殺人犯が利用しただけのタクシー運転手とか、ケーキの配達員の恋人など関連の薄い人間は殺すのだから、まとまりに欠ける。そりゃ説明がつかないのがホラーだけども。
そして極めつけは連続殺人で、殺人鬼と化した男の叔母(? これも作中で無駄に説明されないのでいまいち関係性がはっきりしない)が床に軽く叩きつけられ、髪をつかんで引きずられただけなのに瀕死のダメージを負っていて、浴槽に放り込まれようが灯油をかけられようが「痛いー痛いー」となぜか無抵抗。それなのに火をつけられると今度は「熱いー熱いー」と苦情を訴えるだけで、主に毛根にしかダメージを受けていないのに全く浴槽から逃げ出そうとしない、異常な熱耐性を披露しながらもそのまま焼け死ぬというコントを見せられ、笑い死にしそうになった。
冒頭の不穏な空気を漂わせた屋敷の描写なんかは非常にすばらしく、引きつけられたのだが、後半になるにつれバカ度が加速していったのが残念。だいたい首を切られた少女はともかく、あの老女は化けて出るほど別に怨んでないと思うんだ。
呪怨シリーズをモンスターパニック映画として観ている僕のような人種はいいが、真面目に怖いもの見たさで鑑賞すべきではないだろう。
あと犬のおもちゃと鳴きまね対決をするためだけに、白塗りでパンツ一丁になった俊雄くんにはいろいろと同情したい。
評価:0 なし