~あらすじ~
数えるから、足りなくなる。それは、はかなくも美しい、もうひとつの「皿屋敷」。
~感想~
まさにレンガ本といった分厚い一冊を読ませる力は、さすが京極夏彦なのだが、いかんせん今回はオチに失敗した感が強い。
オチにいたるまでの過程も、そろいもそろって後ろ向きな人格破綻者たちがうだうだと繰り言めいた独白をするだけで、しかも新聞連載とあってか、あらすじ代わりに同じ内容を何度となくくり返すことも多く、読んでいて終始だれてしまう。
逆に言えばこのぐだぐだトークを最後まで読ませてしまう豪腕ぶりはすごいのだが、肝心の結末が「誰が殺したのかわからない」「最期になんと言ったのかわからない」「どうすればよかったのかわからない」とないない尽くしで藪の中ならぬ井戸の中に沈んでいく始末で、しかも古典改作シリーズ皆勤賞なのだが依然として場違いな気がしてしかたない又市たちによって語られるせいで、楽屋オチめいた雰囲気までただよってしまうのも痛いところ。
これでは古典怪談を京極夏彦が語り直した意味がほとんど見当たらない、とまで言ってかまうまい。
京極の名も――堕ちたものだ……。
10.4.15
評価:★☆ 3
数えるから、足りなくなる。それは、はかなくも美しい、もうひとつの「皿屋敷」。
~感想~
まさにレンガ本といった分厚い一冊を読ませる力は、さすが京極夏彦なのだが、いかんせん今回はオチに失敗した感が強い。
オチにいたるまでの過程も、そろいもそろって後ろ向きな人格破綻者たちがうだうだと繰り言めいた独白をするだけで、しかも新聞連載とあってか、あらすじ代わりに同じ内容を何度となくくり返すことも多く、読んでいて終始だれてしまう。
逆に言えばこのぐだぐだトークを最後まで読ませてしまう豪腕ぶりはすごいのだが、肝心の結末が「誰が殺したのかわからない」「最期になんと言ったのかわからない」「どうすればよかったのかわからない」とないない尽くしで藪の中ならぬ井戸の中に沈んでいく始末で、しかも古典改作シリーズ皆勤賞なのだが依然として場違いな気がしてしかたない又市たちによって語られるせいで、楽屋オチめいた雰囲気までただよってしまうのも痛いところ。
これでは古典怪談を京極夏彦が語り直した意味がほとんど見当たらない、とまで言ってかまうまい。
京極の名も――堕ちたものだ……。
10.4.15
評価:★☆ 3